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経済効果 年最大650億円?新幹線札幌延伸 札幌市試算 [91.経済]

経済効果 年最大650億円?
   新幹線札幌延伸 札幌市試算

 6月17日付北海道新聞1面の記事より。
 新幹線が札幌まで延伸されたら、経済波及効果が550~650億円あるという。札幌市は「札幌へ往来する人は現在より200~230万人増えて1550~1580万人となり東北などと道外との新しい経済・文化交流が生まれると想定」している。
 「市幹部は「現状の経済情勢に沿って厳しく計算したが、大きな効果が見込まれた。早期の着工を実現したい」と話している」そうだ。
 
 こういうのを我田引水というのだろう。長期的に「経済情勢を考えれば」2020年の札幌への人の往来は減少するだろう。北海道の人口は減少するし札幌の人口も減少に転ずる推計が出ている。北海道経済も縮小していく。20%も増えるような推計はどのような人口構成や経済状況を想定しているのだろう?
 どの部局の誰がこのような試算をしたのか資料を全部公表してもらいたいものだ。そうすれば恥ずかしくて誰もこのような資料を作成しなくなるだろう。

 先に結論ありきの利害関係者によるこのような甘い試算で公共事業がなされ、国家財政や地方財政が赤字を増やし続けている。関わった個人の責任が問われることは一切ないから、仕事に対する責任感もまた生まれるはずがない。こうして無責任な「仕事」が連綿と続いていく。国債発行残高が膨らみ続けるわけである。

 さて、北海道に新幹線はいるのだろうか?もし、延伸が実現したらどうなるかを考えてみればよい。
 最初は利用客側の事情だ。東京からだと飛行機運賃は「早割」を1~1.5万円であるが、新幹線だと3万円にもなるのではないだろうか。飛行機の方が安いのである。
 2番目は沿線地域住民にとっての問題である。函館から札幌までの在来線の赤字が大きく膨らむことになり、長い目で見れば、通勤や通学、通院に使われている在来線が赤字で切り捨てになる。反射神経の衰えを感じて運転免許を返上したらどうやって病院通いをすればいいのだろう。沿線地域住民は医療からも見捨てられることになるだろう。JR民営化とはそういうことだ。
 45年前に東海道新幹線が開通したことで、在来線の東海道線が日本一の赤字路線に転じたことはすでに昔話である。

 さて道産子としては新幹線札幌延伸に「イエス」「ノー」のいずれを投じたらいいのだろう?

《50年後の日本》
 2060年、日本の人口は8700万人へ減少した。全国には新幹線網、東海道にはリニアモータカーが走っている。昔は東海道新幹線は日に100本以上も走っていたそうだが、いまでは数本、乗客は少ない。「旧型新幹線」は老朽化が進み、いつ脱線するかもしれない線路を時速を150キロに落として走っている。
 各地を結んでいた車両1~3両の在来線は累積赤字に押しつぶされてとっくの昔に廃止されてしまった。新幹線が延びてこなかった帯広や釧路、根室は人口が三分の一にはなったが、何とか町の形や機能を残しているが、新幹線が通過する、在来線の駅があった道南の町村は寂れてほとんど無人の野原に化している。
 JRは赤字で毎年国から多額の補助金交付を受けているが、財政難からまもなく補助金が打ち切られるとの噂が流れている。50年、百年先をみて交通網を考え、整備しなかったツケが回ってきた。

*政府の人口推計によれば日本の人口は2055年には9000万人を切るという。2020年の時点ではおおよそ現在よりも8%人口が減る勘定になる。1億3千万人が1億2千万人を切り、北海道の人口は560万人から515万人へ45万人減る。老人比率はおおよそ三分の一になる。三人に一人が65歳以上となる。
 もちろん、企業数も雇用数も減っているに違いない。にもかかわらず、230万人も札幌への往来が増えるという札幌市の推計は私には不可解にみえる。

 2009年6月18日 ebisu-blog#616
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