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産婦人科常勤医が着任(北海道新聞より) [32. 市立根室病院建て替え]

市立根室病院
産婦人科常勤医が着任
分娩は再開せず
外来週5日に
【根室】市立根室病院に13日、産婦人科医師の吉田孝さん(42)が着任した。産婦人科の常勤医は2006年4月以来、2年9ヶ月ぶり。分娩の扱いは安全面を考慮すると、常勤医が2人以上必要なため、再開しない。市は、もう一人をできるだけ早く確保したい考えだ。(仁科裕章)
・・・吉田さんは「根室でお産ができないことをインターネットで知った。私一人できてもすぐにはできないが、スタッフをそろえ、分娩を再開したい」と抱負を述べた。
 同病院の産婦人科は06年4月に常勤医がいなくなったが、北大が非常勤医を交代で派遣し、実質的に常勤体制を維持していた。しかし、同年9月から派遣が週2回に減り、分娩に対応できなくなった。
・・・全診療科の常勤医師はこれで14人になった。今後はもう一人の産婦人科医と整形外科医2人の確保が課題になる。

《コメント》
 1月14日付け北海道新聞20面の記事である。
 待望の産婦人科医が来た。ありがたい。しかし常勤医が2名そろわないと産科病棟は再開できない。もう少しの辛抱だ。

 ひとつだけ残念なことがある。地方医療協議会の斡旋で春に産科医の赴任が決まっていたが、根室市はこれを拒否した。その医師が月に一度離島への診療を希望したからである。離島も根室も医療事情は同じだろう。どうして連帯感がもてないのだろう?自分の都合だけ主張していては、地域医療はますます状況が厳しいものとなるし、産科病棟再開も遠のいてしまう。
 假定の話しだが、その医師がいたら常勤医2名体制で産科病棟を再開できたかもしれない。根室では年間200人ほどしか生まれていないから、月に一度だけ、2~3日なら常勤医が一人待機していればやりくりできるかもしれない。産科学会のガイドラインはあるが、地域の実情に合わせて臨機応変なところがあってもいいのではないだろうか。妊婦の数が少ないから、実務上シビアな問題が生じない可能性がある。根室市のほうで妊婦に状況の説明を丁寧にして理解を求めればいい。緊急の場合は1時間あるいは2時間かけて別海や釧路へ運ぶほうがはるかにリスクが高い。刑事事件で立件されない限り、医療事故による民事の損害賠償は根室市が保証すればいい。
 このような体制がとれれば、市外の病院へ通うよりも、根室病院を選択する妊婦が多いのではないだろうか。日本最東端の地を故郷とする市民は「完全な医療」を求めているわけではない。市や病院から丁寧な説明があり、理解と納得できればいいと私は思う。トライしてみる価値はあっただろう。可能だったら、新年度、根室病院の赤字が3億円程度減らせた。産科病棟を再開できなければ、医師が増えても病院赤字は縮小できない。

 3億円の赤字縮小ができれば、H5N1亜型の新型インフルエンザに備えて、人工呼吸器(1台300~1000万円)を10台購入できる。新型インフルエンザ流行の兆しについては春に何度かブログに書いた。治療法についても言及した。
 SARSの治療に人工呼吸器は不可欠だ。患者は急性の呼吸不全を起こすので、それを乗り切らないと助からない。10台もあれば半年ぐらいの流行期間の内に数百人の市民の命が救えるだろう。無駄になってもいい、備えておくべきだ。
 人工呼吸器は取り扱いが難しいから、普段からトレーニングをして慣れておかなければ、パンデミックがおきたときに看護師さんたちが対応できない。取扱説明書は分厚いし、メーカごとに取り扱いが異なる。
 機器をそろえることも、機器に慣れておくことも、すべては先を読みパンデミックから市民の命を守る努力だ。
 病院はあっても、医者も看護師も十分にいても、人工呼吸器がなければ呼吸不全症状を起こした患者の治療はできない。抗ウィルス剤タミフルだけで新型インフルエンザの治療ができるわけではない。

 判断ひとつ間違えばツケは途方もなく大きくなる。目先の事柄にとらわれることなく、はるか先を見て判断し、平時にきちんと経営改善度努力をすべきである

 2009年1月15日 ebisu-blog#489
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