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「学力向上策まとめる」、何たる愚策 [87.根室の話題]

「学力向上策まとめる」、何たる愚策 

 根室・研究プロジェクト
 学力向上策まとめる
  数学の習熟度別学習も
【根室】文部科学省が実施した全国学力テストで、根室管内は小、中学生ともに、2年連続で正答率が全道平均を下回ったことを受け、管内の教員らでつくる学力向上推進プロジェクト(事務局・根室教育局)が改善策をまとめた。(幸坂浩)
 プロジェクトは3月に発足。「基礎・基本定着」「学習意欲向上」「学習成果活用」の3グループに分かれ、学力テストの結果を分析した上で、具体的な学力向上策をそれぞれ5,6項目示した。
学習意欲向上では、子供が問題を解けずに家庭学習をやめてしまうことがないよう、「ノートで似た問題を探す」「問題集の解答を真似て解く」などと、勉強の仕方を具体的に指導するよう提案。学習の全体像を示して目標を明確にする「シラバス」を、中学校へ導入する案も示した。
 また、数学の習熟度別学習の推進(基礎・基本定着)や小・中・高の連携授業(学習成果活用)などの提案を盛り込んだ。
 年内にも冊子にまとめ、小中学校に配布して、来年度のカリキュラム作りに役立ててもらう。根室教育局の川島政吉・生涯学習課長は「改善策を出しっぱなしにせず、来年度は成果を検証するプロジェクトを実施したい」と話している。

《コメント》
 12月10日北海道新聞夕刊の記事である。
 現職教員のプロジェクトらしいが、どなたがプロジェクトリーダーなのだろう。この記事には5W1HのWhoが脱落している。家庭学習の習慣が欠落していることに加えて、現職教員の教え方にも問題があって根室管内の生徒の学力が道内最低なのだから、当の本人たちが集まって提案をすることに、いったいどれほどの意味があるのだろうか。
 案の定、自らの授業への反省が一つもない。生徒を見ているのだろうかと疑問に思う。

 今日も中1の生徒の授業をしたが、生徒の大半は先生が教えたことの半分程度しか理解していない。だから、今日学校でやった授業内容に質問が次々に出た。休み時間でも、放課後でも先生が生徒の疑問に答えていないからだ。先生は授業が本職のはずだ。優先すべきは部活ではなく授業とそのフォローではないのか?生徒は疑問を一杯抱えている。生徒から出た質問は比例と反比例の文章問題である。距離・時間・速度の問題はとくに難しいところだから生徒の3割しか理解できていなくても当然である。プリントを見ても、ノートを見ても分からないから塾に来て質問をする。実によく質問をする。
 一度で100%理解できるような完璧な授業など誰にもできない。だから生徒が質問できる時間を補習等の形で放課後にとればいいのだ。そういう教師の側が汗を流す作業が「提案」には1項目もない
 基礎計算に問題のある生徒(約40%)は個別に補習するしか救済方法がないだろう。中学校の学習指導要領の範囲外(つまり小学校の範囲)だから、中学の正規授業では扱っていない。先生たちは小数位取りや分数の通分ができない生徒たちを前にしても、授業でそれらを教えていない。そもそも学習指導要領通り教えることに問題があるのだが、そのことすら提案で触れていない。現職教員が学習指導要領通りの授業を批判することなど考えられない。事務局は根室教育局だ。現職教員で構成され、根室教育局が事務局をしているこのプロジェクトの限界だろう。
 根室教育局は北海道で根室管内の学力が最低であるという現実を前にして、市民にお詫びの言葉も、提案の中にいままでの教育行政に対する反省の弁もないが、プロジェクト事務局としてふさわしいのだろうか?

 指導要領を無視して補習しないと、小学校で分数や小数の計算をマスターできなかった生徒たちを救うことができない。最近テレビ番組で紹介された(日曜日にブログで書いた)東京都北区神谷中学の実践を見てもわかるだろう。教員になりたての頃の素直な気持ちに戻って真似てみればいい
 根室では西高校で夏休み前まで小学校レベルの基礎計算トレーニングをやっている。小学校の先生が教えることに失敗し、中学の先生たちが小数位取りや分数の通分を教えないで生徒を放置しているからだ。
(「提案」は小学校で基礎計算トレーニングが不足している原因についても触れていない。授業からソロバンが外されたことで基礎計算力が衰えた事実も・・・)
 根室西高校の数学担当の先生たちにプロジェクトチームに加わってもらうべきだ。小学校や中学校が手抜きしたツケを払わされて苦労している彼らは、身にしみて中学校や小学校の数学教育に何が欠けているのかを承知している。プロジェクト事務局も実際に基礎計算力不足の生徒を教えている彼らにお願いすればいい。中学生の3分の一は根室西高校へ進学するが、数学の得意な一部の生徒を除いて、彼ら・彼女たちは基礎計算力に問題を抱えている。

 「検証するプロジェクト」は必要もない。結果は今年もでた。来年も相変わらず道内最下位だろう。このような杜撰な提案で、学力テスト全道最下位から脱出できると本気で考えているのだろうか。わが故郷根室の教育を憂う

 2008年12月11日 ebisu-blog#435
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