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ワーク・シェアリングの時代(1) [A4. 経済学ノート]

ワーク・シェアリングの時代到来

 お昼のニュースを見ていたら、フランスの人口2500人の村でソニーの工場が閉鎖されるという。小さな村だから、影響は甚大だ。女の人が言う「私たちを見捨てないで」、若い男の人が言う「社員は家族といっていたのに・・・」。
 日本人として恥ずかしかった。都合のいいときは社員は家族と言い、不景気になり売上が減ると簡単に工場を閉鎖し社員も非正規社員も切り棄てる。企業経営者はこのような二枚舌を平気で使い分けている。数十年前の日本人なら恥ずべき行為だろう。
 ソニーのCEOはハワード・ストリンガーだ。トップが外人になったら、日本企業ではなくなるのか?いいやそうではあるまい。生粋の日本企業が日本人経営者をトップに戴いてもリストラは花盛りである。もちろんそのようなことをしない、「社員は家族」を地で行く老舗企業もある。創業125年の伝統を誇る根室の造り酒屋碓氷勝三郎商店(商品名は"北の勝")もそうした企業の一つに数えられる。

 企業経営の道徳律がおかしくなり始めたのはいつのことだろう。倫理基準の低下に雪崩を打ったのが、株式の評価基準変更、つまり時価評価基準導入にあったことはあまり知られていない。
 会計基準変更によって企業の業績が悪くなったときに、益出しできる資産の半分がなくなった。保有株式の売却は魔法の杖のような便利なツールだった。それがなくなったので、人件費を切り詰めること、すなわちリストラで損失補てんをやるようになってしまった。
 本来、社員を首にして人件費を詰めることは最後の最後の選択肢、それも限りなく禁じ手に近い選択肢だったはずだが、マスコミがもてはやした。リストラをして利益を拡大する最低の企業経営者を「有能な経営者」ともてはやしたのである。言葉は恐ろしい。売春を援助交際というよりひどい。

 リストラによって企業業績を向上させるのは日本人の倫理観からは唾棄すべき方法である。やってはいけない選択肢である。
 ではどうすればいいのか。弱者にしわ寄せせずに、ワーク・シェアをやればいい。リストラをせずに給与を切り下げて対応すればいい。痛みをシェアするのである。給与を1年間30%切り下げて不況を耐え忍べばいい。ボーナスを棚上げして耐え忍べばいい。非正規社員も時間給を下げて雇用確保を優先すればいい。生産するものがなければ、余った時間で皆で製品開発をすればいい。品質を上げコストを下げられるように生産工程を見直せばいい。販売方法を見直せばいい。やることはいくらでもある。
 ワーク・シェアで不況を乗り切る企業をマスコミがどんどん採り上げ、世の中の流れの方向を変える。オピニオン・リーダ、こういうことはマスコミの使命の一つだった。
 2008年12月10日 ebisu-blog#434
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