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国家財政破綻回避のための時価会計基準変更 [91.経済]

国家財政破綻回避のための時価会計基準変更

 10月下旬に時価会計基準が変更された。中川財務大臣が金融危機対策として基準見直しをテレビで何度か言っていたのでご記憶の方が多いだろう。大臣の意を受けて10月下旬に企業会計基準委員会がいとも簡単に会計基準を変更した。
 11月14日付北海道新聞朝刊11面にその内容が載っている。

 「国債、社債、証券化商品などで、異常な価格と示しているものについて、従来の市場価格ではなく金融機関の経営陣が合理的に算定した価格を時価と認める内容だ。
 札幌北洋HDは07年9月末の保有有価証券2.1兆円(取得原価ベース)のうち、約30%が価格が暴落している変動利付国債など。
 緩和措置の適用により資産価値の目減りが抑えられ、9月末に札幌北洋銀行で7.7%程度としていた自己資本比率は大きく回復する見通し。
 一方、ほくほくFGは道銀が変動利付国債を保有しているものの、有価証券の評価をめぐりkん悠長が自己資本比率規制見直しを固めるなど、事態がなお流動的なことから中間決算への適用を見送ったもようだ。」

 財務省は財政破綻を回避するためなりふり構わない権限行使をしている。金融危機だから会計基準を変更するなどもってのほかである。恣意的に会計基準を変更したらそもそも基準の意味がなくなる。
 基準委員会の会計学者の節操のなさには驚くばかりだ。このような恣意的変更に反対もせず、唯々諾々と手を貸すから会計学者の社会的信用が地に落ちる。
 会計学の一分野である会計監査で求められるのは「独立不羈の第三者」としての判断である。監査人に求められるのは、恣意的な判断がひとかけらもないことである。
 中川財務大臣がなぜこのような変更を急いだかといえば、金融機関が中間決算で保有株式や国債の評価がらみで大きな赤字を計上することになるからである。銀行救済が狙いの一つだが、その奥にもうひとつ重要なターゲットが隠されている。
 保有国債で大きな赤字を計上することになれば、現在の低金利では国債新規増発や借り換え国債の市中消化が不可能になる。長期金利は5%程度まで上昇せざるを得ない。並行して円高が60円/$程度まで進み不況は底なしとなるだろう。米国との金利差で安直に暴利をむさぼってきた都市銀行が利益の源泉を失って経営破たんするだろう。800兆円の国債発行残高は順次5%の金利に書き換えられ、残高が増えなくても税収の全部を利払いに当てなければいけない事態が起きる。公務員の給与半減と半数リストラを実施しても追いつかない。とても来年度の予算編成どころではない。国家財政破綻が現実となる。
 酔いどれ中川財務大臣が慌てるのも無理はない。彼の真の狙いは銀行救済よりは財政破綻回避である。こんなに迅速な会計基準変更は戦後初めてだろう。検討から実施まで、金融危機勃発後わずか1ヶ月である。

 2008年11月14日 ebisu-blog#397
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