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基礎データの開示要請と提案 [26. 地域医療・経済・財政]

2,008年2月9日   ebisu-blog#079
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 予算や決算に関する基礎データが開示されていない。その一方でさまざまに加工された情報だけがいろいろなところから公表されている。市側は市民が市の財政状態を的確に判断できるように、市の財政に関する予算と決算データを速やかに公表すべきだ。決算データは上場会社と同じく、決算締日後3ヶ月以内にホームページ上で公表すべきだ。上場会社では決算短信を2ヶ月以内に公表している。市は平成18年度決算後9ヶ月を経たいまも、決算データをホームページ上で公表していない。

 道新記事の数字の整合性を検証してみたい。あちこち資料を検索すると、いろいろな数字が出てきてほんとうに困る。道新掲載記事の数字の中にも表面上は整合性のないように見えるものもある。背景になっている基礎データが公表されていないからだ。市役所はホームページに平成18年度の「決算カード」すらまだ掲示していない。上場会社で決算3ヶ月を経てもホームページ上に決算データが公表されない例はひとつもないだろう。そもそも公表しなければ証券取引法違反に問われる。市役所は市民が市の財政を的確に判断できるように、予算と決算データを基礎データを含めてホームページ上で速やかに開示すべきだ。市民に隠すデータなどあってはならない。

編成中の新年度予算案では、一般会計から病院事業会計に、前年度比1億3千万円増の6億1000万円を繰り入れ、収支均衡を図る考えだ。
 これは道新記事からの引用である。平成17年度の病院会計事業への繰出金がある資料(根室支庁?による管内病院事業会計比較データ)によれば10億円を超えている。単年度不良債務がそれだけあったのか、累積不良債務も含めて繰出金で充当したのかについては不明である。
 とりあえず不明なものは不明なままにしておいても、次の事実は考慮に入れる必要がある。平成18年度は平成17年度よりも事業内容が悪化した。常勤医師数は17人から11人に減少、平均入院患者数も145人から103人に減少、外来患者数は722人から605人に減少した。これらの事実から、赤字幅はさらに4億円程度は増加したろう。19年度も常勤医師数はほとんど変わらなかったとしても4月5月の落ち込みはひどかったようだから、平成18年度よりもよかったということはない。平成19年度は資料がまったくない。平成18年度の決算数字も公表されていないので確認する術がない。

 新聞記事の数字をさらに拾ってみる。
本年度決算見通しでは、不良債務は8億3000万円。さらに累積している不良債務2億8000万円を加えると、11億1000万円に達する見通しだ。本年度当初で一般会計から4億8000万円を繰り入れる予算を組んでいるため、6億円程度の特例債発行が必要になる。
 H19年度決算見通しで不良債務が8.3億円だという。1年間で8.3億円の不良債務が出るにも関わらず、来年度の病院事業への一般会計からの繰出金は6.1億円で「単年度収支が均衡する」という。おかしな話ではないか。今年度の不良債務発生額が8.3億円と書いてある。6.1億円では2.2億円不足する計算になる?仁科記者は市側の説明をそのまま記事にしたのだろうが、数字には整合性がない。一般会計予算で8.3億円病院事業会計へ繰り入れなければ、単年度収支は均衡しない。
 よく読むと、平成20年度の収支均衡を言っているようにも受け取れる
平成19年度から繰り越された不良債務は、平成20年度からみると「累積不良債務」である。それが11億円ある。この繰越不良債務を消すのに、平成19年度の予算「繰出金」4.8億円と平成20年度の6.1億円を充当するように解釈できる。しかし、これでは平成20年度の赤字額に対して引き当てるべき繰出金はゼロになってしまう。市側の説明はおかしい。もしこのようなことなら、平成20年度の赤字に引き当てるべき繰出金はありませんと正直に説明すべきだろう。財政が危機に瀕する重大な事態なのだから
 なぜこのようなことがおきるのだろうか。基礎データを開示していないからである。市側の言っていることが正しいかごまかしか、取材する記者も市民にも一切判断ができないように情報が隠蔽されている。

 項目の定義を整理してみよう。「病院事業売上-病院事業費用=病院事業赤字<0」、「病院事業赤字-減価償却費-繰出し金=不良債務」のはずだが、減価償却費額がわからない。建物減価償却費はほとんど無視してよいだろう。医療器械は未償却分がどれだけあるのか固定資産台帳を確認しないとわからない。減価償却費額についても情報が開示されていないのである。市民は開示情報から不良債務額の計算すらできないのが現実である。
 市立病院は、不良債務比率が10%を超えて「経営健全化計画」を作ることが要請されている。不良債務を営業収入で除した数字が10%を超えると、病院事業に関わる起債が制限される。北海道知事あるいは総務大臣の許可が必要になる。医師増員要請活動しかやっていないから、医師が増員されない限り、平成20年度も不良債務は縮まらない。先手を打って病院事業の縮小を検討すべき時期ではないだろうか。本来は平成18年度にやっておくべきことなのだ。すでにずいぶん後手に回り、この3年間の病院事業に関わる赤字額、推定35~40億円が根室市の負担となった。市民一人当たり15万円、4人家族ならば60万円の負担である。

【根室】市は6日までに、本年度末で約11億円を見込む市立根室病院の累積不良債務の解消に、政府が2008年度限定で創設する「公立病院特例債」を充てる方針を固めた。 「公立病院特例債」は医師不足の深刻化などで発生した不良債務を、7年償還の長期債務に借り替える措置。
 この赤字特例債は「平成20年度中に策定する改革プランで単年度収支均衡を図ることができる」という条件がついているたとえば平成21年度予算でどうやって「単年度収支を均衡」できるのか。根室市は魔法使いでも雇っているのだろうか?平成19年度8.3億円の不良債務が発生すると市側は発表した。どうやってこれをゼロにできるのだろうか。医師派遣の増員要請以外、赤字問題へ対策がないから、一般会計からの繰出し金で消すしかない。140億円の予算から捻出できるのだろうか。例の民間金融機関への借換債の返済期限がまもなく来る。その基礎情報(借入れの年月、返済スケジュール)もまた公表されていない。一般会計から毎年8億円を超える繰出し金を捻出することは不可能だ。国の基準では3.8億円ではなかったか。その2倍強(~推定最大4倍)の繰出金を継続することはどうみても異常である。

【提案】
 病院建設については白紙撤回して見直すべきだろう10年後の人口は2.5万人前後になる。20年後は2万人だろうか?そうすると人口4.5万人のときに建設した病院と同じ規模の病院がわが町に必要なのだろうか?という疑問が湧くのは当然だろう
 建物は一度建てたら50年間利用することになる。そういう前提で、規模を半分~7割に縮小することを検討すべきではないのだろうか。そうすれば病院建設費は少なくて済むし、なにより新築が容易になる

 わたしは小学4年生のときから(数ヶ月の間は辞書のお世話になりながら)、生意気に社説と一面の記事を読んできた北海道新聞ファンだ。仁科記者には、追跡取材を期待している。開示情報が少ないので、市民は新聞記者の報道によってしか、根室市の財政状態の的確な判断ができない。
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