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#4260 五月の気温としては史上最高か? 28.5度 May 30, 2020 [85.サイクリング]

 5月に28.5度なんて10年に一度もあるのかな?先週より18度も気温が高かった。根室でこんなに高かったから、別海や中標津は30度越えだっただろう。

 少し涼しくなった4時半ころ気温26度の牧の内を走ってきた。
 道端のフキの緑色も牧草地の緑色も若々しい。カッコーがあちこちで長閑に啼(な)いている。小鳥たちがさまざまな声で囀(さえず)る。原野の色彩はいまころが最高!空気が乾燥しているせいか、国後島がはっきり見えていた。
 今日の走行距離は25㎞だったが、降りるときに足がふらつかなかった。航空自衛隊分屯地周回コースを3回ほど走ったから、脚に少し筋肉がついたのかも。
 陽気がいいと体調もよくなる、ご飯もおいしい。脂っ気のない秋刀魚が手に入ったので、出汁昆布をたっぷり入れた煮つけを作ってくれた。好い食材が入るからふるさと根室はありがたい。

 平均時速20.1km、瞬間最高時速37.9km、安全運転。(笑)
 5月走行距離 RB:49㎞ 累計5335km
       MTB:8km 累計1542km

 さて、今年は10月末まで、どれだけ走れるか、体調と気分次第。

(5/31追記:釧路市中徹別で全国一の32.5度、釧根で13地点が30度越え、別海町、標茶町、弟子屈町などの名前が挙がっている。)

(6/1追記:最低気温28.5度、最低気温7.8度、一日の気温差は20.7度、年寄りにはストレスが大きすぎる温度差だから、重篤な老人は亡くなる確率が上がる。)


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#4259 Sapiens (29th) : page 40 May 30, 2020 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

<最終更新情報>5/31朝8:50

<40.0> When two strangers in a tribal society want to trade, they will often establish trust by appealing to a common god, mythical ancestor or totem animal.
<40.1> If archaic Sapiens believing in such fictions traded shells and obsidan, it stands to reason that they could also have traded information, thus creating a much denser and wider knowledge network than the one that served Neanderthals and other archaic humans.

 アンダーライン部のit stands to reasonの 'it' が何を指しているのかと言いう質問があった。
 話の流れを確認すると、「部族社会の見知らぬ二人が交易したいと思ったら、共通の神とか神話上の祖先とかトーテムの動物に訴えることで相互の信用を確立する」、「そうした虚構を信じる古代のサピエンスが貝殻や黒曜石を交易していたと仮定するなら...」という文脈である。前のものを指示しているとすれば、その候補は archaic Sapiens か文全体かという選択肢が思い浮かぶ。

 theyはarchaic Sapiensである、人だからitでは受けられないし、集合名詞としてのSapiensでもない。個々のサピエンスがハラリの脳裏に浮かんでいる。weで受けずにtheyで受けたのは、飛行機で移動し、飛行機でスマホなどのエレクトロニクス製品を運び、電子決済をして地球規模で貿易する現代社会に生きるサピエンスであるわたしたちと物々交換をしていた古代のサピエンスに距離を感じているからだ。

①archic Sapiens believing in such fictions traded shells and obsidian (このような虚構を信じる(同じ部族内の)古代のサピエンスたちが貝殻や黒曜石を物々交換していた) 

it stands to reason that they could also have traded information


 could have treded は形だけ見ると仮定法の帰結節にも見えるが、文脈から判断するとこの場合は仮定法ではない。「過去時の可能性・推量」で、その意味は「情報を交換できたであろう」
である。美しい貝殻や黒曜石が数百キロメートルを隔ててなお物々交換がなされたという事実から、ハラリが合理的に推量しているのである。日本語の論説文でも事実と意見を分けて書くのは、あたりまえのお作法に属するが、英文でも同じこと。書き手が考古学的な事実とそこから推して有力な仮説を自分の意見として述べているのだから、読み手の方もそれらを分けて受け取る必要がある。数万年も前に数百キロメートルという距離を隔てた交易がなされていたという考古学的事実から、それを行ったサピエンスにはすでに共通の神とか神話上の祖先とか、トーテムの動物に語りかけることという共通の虚構があったはずというのが、彼のユニークな推論である。考古学的な事実や証拠はたくさんの人が目にしているが、共通な虚構が存在したこと、そしてその重要性に気がついた人はいない。ハラリの仮説はとてもユニークなのである。この本が世界中でベストセラーになっているから、このユニークな意見は現在進行形で通説化しつつある。


 文法的な解説に戻ると、standは前置詞句を伴なっているから自動詞である。「立っている、位置している、…である」のどれだろう?toは到達を表すから、「(理由のないところから)理由のあるところに到着して立っている⇒明確な理由がある」、なんだか慣用句の匂いがするので、reasonを辞書で引いたらあった。ジーニアス4版から引用する。
-------------------------------------
 it stands to reason that (…は当然である、理に適う)
 It stands to reason that workers are paid. (労働者が賃金をもらうのは当然だ)
-------------------------------------
 「理由のあるところに到着して立っている⇒明確な理由がある⇒理に適う」、なるほど。
 なんてことはない、慣用句化したit...that構文である。itはthat節ということになる。
 「(ものばかりでなく)同時に情報も交換しえたということは理にかなっている」

③archaic Sapiens could have created a  knowledge network.
(古代のサピエンスはある種の知識ネットワークを創り出すことができたかもしれない)
④the knowledge network served Neanderthals and other archaic humans.
(その知識ネットワークはネアンデルタール人たちや古代の人類に役にたっていた)

④’ the one that served Neanderthals and other archaic humans.

 それで、③と④が比較されている。片方は古代のサピエンスが創りだした知識ネットワーク、比較されるのはネアンデルタール人たちやその他の古代の人類の役に立った知識ネットワーク。the one となって定冠詞がついているのは、[ネアンデルタール人や古代の人類の役に立った]知識ネットワークという限定がついているから。同じ名詞句の繰り返しを嫌ったということ。英文の修辞法(rhetoric)では基本に属する知識。
 servedを「役に立つ」と訳したが、気になるので『英語基本動詞辞典』を引いてみると次の用例が載っていた。
-----------------------------------------
2c. S serve O  :S〈物〔事〕〉がO〈人〔人の目的など〕〉に役にたつ〔かなう〕
   That excuse will not serve you. (それは君の言い訳にはなるまい)

-----------------------------------------

⑤archaic Sapiens could have created a much denser and wider knowledge network than the one that served Neanderthals and other archaic humans.


 以上で解説終了、やっかいな文だ。(笑)


 翻訳者の柴田裕之さんは上手に処理してる。
部族社会で見知らぬ人同士が交易しようと思ったときには、共通の神話的な祖先やトーテムの動物に呼びかける。
 もしそのような虚構を信じている太古のサピエンスが貝殻と黒曜石を交換していたとしたら、情報も交換して、ネアンデルタール人ら、他の太古の人類のものよりも格段に濃密で広範な知識のネットワークを生み出せたと考えるのは理に適っている。」p.53

 柴田さんは「貝殻と黒曜石を交換していたとしたら」と書いているが、もしそうなら、ハラリは次のように書いただろう。

  If archaic Sapiens believing in such fictions traded shells for obsidan, ...

 美しい貝殻や刃物として役に立つ黒曜石は、物々交換される貴重品の代表としてあげられているのであって、貝殻と黒曜石を交換する話ではない、細かい話だが、意味が違ってしまっている。
 わたしの訳案を書いておく。

「このような虚構を信じる古代のサピエンスが貝殻や黒曜石を物々交換していたとしたら同時に情報交換もしていたと考えるのが理にかなっている。したがって(thus=数百キロメートルもの距離を隔てた交易によって)、ネアンデルタール人たちやその他の太古の人類が利用していたもの(=知識ネットワーク)よりはるかに濃密で広範な知識ネットワークを太古のサピエンスが創り出していたと云いうる。」




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