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#5147 災害拠点病院市立和島病院に学ぶ Jan. 15, 2024 [30. 地域医療問題]

 今朝(1/15)の朝日新聞第3面に災害拠点病院である市立輪島病院の状況が載っていた。
 入院患者85名を他の病院に転院させたという。2007年から院長をやっている医師の苦渋の判断だ。元旦の夕方に被災し、常勤医20名中、10名が駆けつけて診療に当たっているが、2週間たって医師やスタッフたちは疲弊している。このままでは職員の命が危うい。災害派遣医療チーム(DMAT)は、「病院が崩壊してしまう」と助言、それで入院患者を転院させた。そのあとに感染症(新型コロナ、インフルエンザなど)で40~50名が入院している。少しずつ増えているという。
 水がないので人工透析ができない。
 近隣の福祉施設と災害時に食糧等の支援の約束をしていたが、同じ地域ではまったく役に立たなかったと院長は後悔している。独立で医療が続けられるような仕組みをもっておくべきだったという思いが強い。

 ところで、輪島市は人口規模では極東の町である根室市とほど一緒である。令和5年12月1日の輪島市の人口は23,192人、根室市は23,006人(令和5年12月末日)である。
 病院の規模は輪島市が199床(一般147床、感染症4床、療養病床48床)、根室市は135床(一般病床135、感染症4床、療養病床ゼロ)となっている。

 どちらも地域中核病院で、災害拠点病院となっている。
 病院は水と電力がないと診療に著しい制限が出るから、災害拠点病院は井戸の掘削による水の確保と自家発電設備が最低限必要となる。災害が起きてからでは手遅れで、起きる前に設備を備えておかなくてはならない。
 とくに極東の町の根室は、釧路まで120㎞もあるし、千島海溝で四百年に一度の巨大地震が起きれば、釧路の被害も大きいから、透析患者を釧路へ運んでも治療できないことが予想される。水と電気の確保は災害拠点病院として確保が欠かせない。

 火力による自家発電設備とソーラパネルの屋上設置による発電設備を用意すべきだということ。
 水は井戸を100mも掘れば、湿地の下の帯水層にぶつかるから、ソーラパネルと電動ポンプで汲み上げが可能だ。
 根室市は市立病院が災害拠点病院として単独で機能しなければならない。備えあれば患いなしだ。

 今回の能登半島地震から、全国の僻地にある自治体や住民が学ぶべきことは多い。
 東南海連動型巨大地震や首都直下型震災、四百年に一度の千島海溝巨大地震はいつ起きても不思議ではないが、日本全国どこで明日巨大地震が起きても不思議ではない、日本列島とはそういうところなのだ。原発はもってのほかだろう。またいつ爆発が起きても不思議はない。

<余談-1:療養病床>
 同じ程度の規模の市なのに、輪島には療養型病床が48ベッドあり、根室にはゼロである。地域の老人医療の貧困さを療養病床ゼロの事実がつきつけている。病院建て替えの時に、病院職員へのアンケートでも療養病床を設置すべきだという意見があったが、当時の市長や副市長、市議会が無視した。地域医療協議会からも同様の意見が出されていたが、それも無視した。全国に稀な療養病床ゼロの市がこうした誕生した。
 高齢か割合に差があるので、書いておく、石川県の高齢者の割合は45%、根室市は30%前後。


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