#5066 森永卓郎氏のジャニーズ事務所騒動収拾案 Sep. 21, 2023

＜最終更新情報＞9/22午前8:42　＜余談：商道徳＞を追記

　いままで、マネジメント（企業経営）という視点から、この問題を扱ってきました。今回もそうした観点から思うところを書いてみます。

　森永卓郎氏がジャーニーズ事務所性加害騒動に、昨日のスポーツニッポン紙に解決案を公表しています。
　ジャニーズ事務所は性加害補償にだけ専念して、タレントは新会社を作ってそちらへ移し、その新会社を上場するという案です。新会社へは藤島ジュリー景子氏の出資を極力減らすことも記されていました。

　タレントを新会社に移すと、ジャニーズ事務所は仕事がなくなるので、収入がなくなりますから、性加害補償が済み次第会社清算ということになりそうです。

　新会社がどういう形でスタートするのか悩ましいところです。というのは営業権の問題が絡むからです。営業権の評価額をどうするのか。ジャニーズ事務所側が了承すればゼロという選択肢はありえますね。まともに評価したら1000億円は下りませんが、CMをやっている企業のほとんどが手を引き、テレビ局もいままでの在り方を反省し、変えていけば、営業権の評価額は著しく減少します。つまり、客観的な算定が難しい。
　営業権をゼロで新会社へ譲渡すれば、贈与税がかかる可能性が出るかもしれません。国税局の判断はどうなるのでしょうね。事前にお伺いを立てるしかありません。

　新会社を上場するには「上場審査基準」があるので、それをクリアするには、手慣れた人がやっても、最短で5年はかかりそうです。3年間の活動実績がなければいけませんし、財務諸表の公表が必要になります。利益は最低年間1億円以上の実績が必要です。

　だから簡便なのは、藤島ジェリー景子氏が管財人を選んでジャニーズ事務所を清算し、性加害補償を責任をもってやればいいだけです。ジャニーズ事務所の財務諸表が公開されていませんが、年間800億円の売上でファンクラブからの収入が500億円以上あるということですから、年間の売上高経常利益額は400億円を超えていたのではないかと推定されます。会社の純資産も配当によって手にした資産もどちらもおそらく1000億円を軽く超えているでしょう。
　被害者が300人いて、一人2億円支払っても、痛くないほどの財産があるでしょうね。

　結論です。
　ジャニーズ事務所は清算してしまえばいい。あれだけの性加害を創業者が数十年間もし続けたブラック企業にはもう存続の余地はないでしょうね。タレントたちは独立するなり、他の芸能事務所へ移籍するなりしたらいいだけです。自分たちの真の価値がどれほどのものが、問うてみたらいいのです。
  これが一番シンプルな方法で、そして最善です。
　Simple is the best of all.

＜余談：商道徳＞9/22朝8:42追記
　経営は商道徳を踏み外してはいけません。

　「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
　「浮利を追ってはいけない」
　たったこの二つを常に守るだけででいいのです。利益をあげながら、商道徳にかなう経営ができる経営者こそ、すばらしい。ジャニーズ問題では、性加害の噂はずっとあったし、週刊文春とジャニーズ事務所との間で裁判まで起きていましたから、知ろうと思えばその詳細は誰にでも知り得ました。それなのに、CMのジャニーズ事務所のタレントを使い続けた大手企業も、マスコミもテレビ局も自分たちの売上を増やすために目をつぶってきた。そういう経営者たちの行動選択は動物本能の発現であって、日本の伝統的な商道徳から外れたものでした。
　1社有名企業でジャニーズ事務所のタレントを使わなかったところがあります。噂を知っていたので使えないと社長が判断したからです。犯罪を犯し続ける企業とは取引しないというのは、まっとうな経営です。
　ネスレ日本の高岡浩三氏です。週刊現代9/18号の記事です。ジャニーズ事務所を退所したSMAPの香取慎吾にはCMを依頼しています。
　

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コメント 3

浅学なので私の理解で合っているか教えていただければと思うのですが、ジャニーズ事務所が被害者弁済をするためにはキャッシュが必要になりますよね。低金利の中、保有現預金は事業運営上の最低限とすると、何らかの方法でキャッシュを確保しなければならないと思います。有形固定資産の切り売りでキャッシュ化する方法もありますが、新会社に移行するならば、手っ取り早いのは、喜多川家が保有する株式を新会社に全て買い取りしてもらうのが現実的かと思います。

ジャニーズ事務所は未上場ですが、ネットで拾った情報ではジャニーズ事務所の登記上の発行株式数は20万株で、類似業種比準方式から株価算定すると、一株あたり評価額は約220万円、20万株×220万円でざっと4400億円の株式評価になるかと思います。

問題は、新会社がこの4400億円をどのように用意するかということになるかと思います（銀行借入が一般的ですが、巨額なためハードルは相当高そうです）。もちろん、喜多川家には株式売却で譲渡所得による税金が発生するため、ざっくりと税金20％で計算すると、約900億円を差し引いた3500億円が手元に残り、それを被害者への弁済原資とする、ということになるのかなと思いますが合っていますでしょうか？（あまり税務に長けていないので自信無しです）

それから、ebisuさんが書かれているように、営業権の評価が難しいところですが、ブランド価値が毀損されているということを前提にすると、新会社が喜多川家から株式を買い取る際には、負ののれんとしてディスカウントして買い取るのが現実的なのでしょうね。
by mina (2023-09-21 23:19) 

minaさん
こんばんわ。
一緒に考えてみたいと思います。

財務諸表が公表されていないので、キャッシュがジャニーズ事務所にどれくらいあるのかはわかりません。
普通は現金預金で持っているのは運転資金だけですから、800億円の売上と仮定したら、80億円の運転資金があれば十分です。
次に、株価の算定ですが、類似業種比準方式というのは一つの計算法でしようが、実際の売買はそんな方式ではやりません。売上高経常利益率が異常に高い企業でしょうから、類似業種比準方式よりもはるかに高くなります。売上高成長率も評価の指標の一つです。
純資産でいくらあるのかは一つの指標になるでしょうが、これも貸借対照表がないと不明です。どれだけ配当していたかが不明ですから、会社のものとして純資産がどれくらいあるのかについては算定不能です。
一つ假定を置きましょう。
この20年間の売上が毎年800億円、売上高経常利益率が50％と假定します。同族企業の税率がいくらなのか確認しないといけませんが、仮に35％とすると、利益剰余金は毎年260億円です。20年間で累計5200億円となります。
ジャニー喜多川は不動産を買いまくるのがお好きなようでしたから、ソニーから買った本社ビルもキャッシュで買ったでしょうね。あちこちに高額の不動産をお持ちのようですが、それが個人名義（資産管理会社）になっているのか、ジャニーズ事務所のB/Sに載っているのかは個人企業ですから、この際どうでもよいことです。どちらにしても藤島ジェリー景子さんの所有物です。
キャッシュがなければ、不動産の処分をすればいいだけです。2000億円くらいは簡単に作れると思います。性被害補償には十分すぎる金額ではありませんか？
実際の補償はどんなに高額になっても数百億単位でしょうね。
藤島ジェリー景子さんにとっては、誰かがこの仕事を肩代わりしてやってもらえばいいだけで、それが済めば、大手を振って贅沢三昧の生活ができます。

次の営業権の問題ですが、いままで通りの売上計上は不可能ですから、評価不能です。ファンクラブ売上が500億円を超えているので、これがどうなるかが新会社の収益性を決めるでしょうね。
会社を譲渡するとしたら、スタートラインは純資産がベースでしょうね。ファンクラブを崩壊させない具体的な手があれば、それを営業権として評価はできます。ようするに、営業権は買い手がでてきていくら出すのかということだけ。買い手の経営手腕次第です、客観的な評価はできません。

この騒動をどう収めるのか、ジャニーズ事務所側に、被害者の補償に800億円用意させ、誠実に支払うこと、そして支払いが済み次第会社を清算することなどを契約書に謳うことになるでしょうね。そうでないと、一蓮托生、火事場泥棒にみられます。
ジャニーズ事務所はレイムダック状態です。

「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の経営が理想ですが、ジャニーズ事務所はもとより、性加害の噂を知っていながら黙認して、ジャニタレをCMに起用して売上拡大を図った大企業経営者たちも褒められたもんじゃありません。テレビ局もね。

経営はすべからく、この商道徳でやってもらいたい。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
by ebisu (2023-09-22 00:33) 

会社の売買をする場合には、いくつかの前提条件を元にして、具体的な損益シミュレーションをします。
通常は前提条件をそれぞれ変えた3つの損益シミュレーションがなされます。5年分やれば十分です。
実際にどこをどのように改善すればいいのかが見えていないと、精度の高いシミュレーションができません。マネジメントのセンスが要求されます。
買収した後に、シミュレーションの結果と、それほど違いのない実績値を叩きだす必要がありますから。
by ebisu (2023-09-22 00:42)