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#5056 歌とは何か:最後の瞽女小林ハルさんの唄 Sep. 10, 2023 [17. ちょっといい話]

 NHK朝のラジオ番組をうとうとしながら聞いていた。話していた女性の名前は起きたら忘れていました。
 最後の瞽女(ごぜ)と言われた小林ハルさんに会ったことのある女性でした。101歳で寝たきりになっていた小林ハルさんを見舞い、耳元で一節歌ってくれませんかとお願いすると、背筋を伸ばして歌ってくれたそうです。
 それを聞いた後、涙が止まらず、帰りの電車の中でも泣いていました。
 そのあと、彼女は小林さんの最後の弟子に弟子入りします。長唄と三味線を幼いころから習っていたので、違いがよく分かったそうです。長唄や三味線には「楽譜」があります。その通りに弾いて歌うのですが、瞽女の歌は違っていました。瞽女は目が見えないので、楽譜は読めませんから、そんなものはありません。耳で覚える、そして大事なのはいかに聞き手の心に届くものにするかということ。だから、楽譜のような縛られるものがありません。

 小林ハルさんが90代の頃に唄ったものが流れました。声の質もメロディも美しくはありません。しかし、心にとっても沁みるんです。ああ、歌の原点とはこういうことだったのかと思いました。

 96歳の時の越後追分 映画『瞽女』

 実話に基づいた映画です、視力障害を持って生まれた子の将来を慮って心を鬼にしなければいけない母親、躾の声が怒号とともに家中に響く、幼い子供が泣き叫ぶ、哀しいね。将来は諸国を歩いて回る旅芸人になるしかなかった時代、盲目で冬の越後を歩く女旅芸人の姿を想像してください。

*瞽女とは盲目の女性芸能者です。三味線を弾きながら歌い、時に踊りもします。旅芸人でもあります。


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