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#5004 未遂に終わったロシア版「本能寺の変」:プリゴジン Jun. 26, 2023 [8. 時事評論]

 プリゴジンは、「ウクライナ特別軍事作戦」は、NATOがウクライナと一緒になってロシアに攻めてくる、ドンバスのロシア人をウクライナ軍が殺しているという虚偽情報でプーチンが決定したと主張し、ジョイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を弾劾して、モスクワ200kmまで、迫った。
 プーチンが祖国に対する重大な裏切りとテレビで公表して、ワグネルを国家反逆罪の罪に問うと明言。
 その後、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介して、プリゴジンをベラルーシへ亡命させることで、収まりがついたかに見えるが、これで終わるはずがない。

 ロシアの正規軍はウクライナ戦争で前線に張り付いており、モスクワ周辺には治安部隊しかいなかった。だから、わずか1日で、ロストフ・ナ・ドヌの南部軍管区司令部を制圧し、そこから1000㎞あるモスクワへあと200kmのところまで少人数の部隊で進軍できた。
 本能寺に入った信長が、わずかの兵しかともなっていなかった状況によく似ている。明智光秀はその間隙をついて、信長を殺した。秀吉は毛利討伐で戦線が膠着して動けない状態だった。

 プリゴジンがそのままモスクワへ攻め入ったら、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長を殺害できたかもしれない。軍部のエリートの無能さと政治家の息子は徴兵を免れているなど、国民の批判は根強いようで、支配下に置いたロストフ・ナ・ドヌでプリゴジンはロシア国民の歓迎を受けている。

 さて、FSB出身で裏工作で政敵を殺害し続けてきたプーチンの考えることは、容易に推察がつく。ベラルーシへ亡命させたのはルカシェンコの提案ではなくて、プーチンの提案ではないのか?
 亡命させておいて、暗殺する、これはプーチンの常とう手段だ。影武者を2人使い、地下室に隠れ、猜疑心が強くて、権力を誇示しなければ気が済まない気の小さな男である、行動や考えることがわかりやすい。
 ワグネルは罪に問わない、プリゴジンの亡命も認める、そうロシアのペスコフ報道官が発表している。昨日の決定がまるで嘘のようだが、はたして額面通りに受け取れるか?

 プリゴジンはお人よしだ。暗殺を含めて、プーチンの私兵としてさまざまな裏工作を担当してきた人間が、亡命先で軍事力を有する政敵になるかもしれないのだ。危なくて、そのままにしておけるはずがない。
 どうせ殺されるなら、プリゴジンはモスクワへ突入して、ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長、プーチン大統領を殺害すべきだった。殺すか殺されるかの一線を越えてしまったのだから、腹をくくるべきだった。
 戦争の大義を否定され、メンツを潰された狭量なプーチンがどのような行動に出るかは、近くにいて一番よく知っていたのではないか?判断が甘い。

<自他弁別能と平等性智>
 プーチンは自我本能むき出しの人。自他弁別能が脳を支配しいる。自分の利益のためなら政敵や批判的なジャーナリストを暗殺することをいとわない。不正蓄財も同じ本能の発動である。
 大数学者の岡潔によれば自他弁別能は動物本能そのもので、それを乗り越えたところに、平等性智とその働きがある。他人も自分も一緒というのが平等性智である。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」は他人も我も同じということ。自分が得をするときは自分に関わる全ての人が得をするべきで、他人の不幸や他人の損失の上に蓄財してはならないということ。
 日本の老舗企業は経営者が平等性智の持ち主であるケースが多い。それが伝統となっているから百年、二百年と経営が代を継いで存続している。

 そうしてみると、日本の上場企業の経営者たちも自我本能の制御ができないものがほとんどのようだ。非正規雇用割合を増やして人件費を削りながら、自分たちの報酬は天井知らずでアップする。そうして、巨額の利益を上げながら、内部留保し、自社株を購入・消却して株価を上げて株主に還元している。働いている社員や非正規雇用者はどうでもいいかのような、経営がまかり通っている。会社を経営している自分たちと、社員や非正規雇用者は別の存在、自他弁別能が発動している。

 岸田総理は自分の息子を秘書官にして、度重なる不祥事で首にした。どの政治家も自分の息子を政治家にしたがる。これも自我本能の発動だ。だれも国の未来なんて考えてやしない、平等性智が働いていないのだから、政治が劣化するはずだ。

 ウクライナ戦争を始めたプーチンと日本の企業経営者と有力な政治家たちには、同じ自我本能が発動していて、平等性智が働かない。その知性も情緒も動物並みということ。その欲望は足るを知らぬ。


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