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#4996 粋ということ:不倫は動物本能 Jun 16, 2023 [8. 時事評論]

 広末涼子(1980~)の不倫騒動で報道各社はにぎやかだ。

 40過ぎて、理想の恋愛のお相手はなかなか見つからないだろう。魅力的な男性は仕事でも成果を上げている年齢であるし家族もいる、そういう男が魅力的に見えるのだからどうしようもない。
 その一方で年齢から言って、身を焦がす恋はそろそろ人生で最後かもしれない。
 夢中になって我を忘れて下半身の命ずるままになったって、誰が非難できよう。
 子供がいるとかいないとか、関係なしになってしまうほど、夢中になったということ。
 ふと目が覚めたら、代償の大きさに気がついた。
 いい肥やしにして、大女優へ脱皮してほしい。

 気に入った異性とセックスしたいというのは、動物本能である。優秀な子孫を残すためにプログラムされているのは哺乳類に限らない。人間本能に関わることだから、みんな同じ問題にぶつかり、多かれ少なかれ苦悶した(あるいはこれから苦悶する)時期があるよ。乗り越え方はそれぞれ、他人ごとではないのだ。

 40歳を過ぎた人なら、誰にだって、多少は身に覚えがあるのでは?
 そもそも女優家業に聖人君子を求める方がどうかしている。マリアだって、処女受胎なんてことになっているが、ヘブライ語の原典では不特定多数の男といたして、誰が父親かわからないということだと、ロシア語翻訳家の米原真理が本に書いていた。聖書のラテン語への翻訳ミスで「処女受胎」という解釈が生まれた。だから、聖職者はセックスを忌避し、人間本能を否定することで精神をやられ、児童への性的虐待が後を絶たぬ。聖書ではセックスなしに生まれた神の子ということになっている。それはキリスト教徒の物語だから、事実関係はどうでもいい、物語の方が大切なのだ。その物語が、聖職者を精神病患者に駆り立てている。人間本能の否定は碌な結果を産まない。
*弊ブログ#4791参照

 『サピエンス全史』の著者によれば、不倫が絶えないことや離婚率が高いのは、わたしたちが自分の生物学的ソフトウェアと相容れない、核家族と一夫一婦の関係の中で生きるように強制された結果だというのである。
*「#4287

 どなたか有名な映画監督の奥方が、本番をする映画のオファーがあったら受けると答えた方が、昔はいた。それは職業魂かもしれない。仕事と夫婦関係は関係なしということか。
 恋は演技の幅を広げるもの。
 大目に見てやったらいいではないか。これからますますますいい演技をして見せてくれるだろう。
 沢尻エリカという個性派のすてきな女優さんがいたが、スキャンダルを乗り越え、またスキャンダルを巻き起こして、女優として復活してもらいたい。4年前に麻薬取締法違反で逮捕されたんだ、もったいないね。
 薬物でセックスの感度を上げるのは癖になる。相性のいいパートナーを見つけたら薬物なんて必要がなくなるが、それがなかなか見た目だけではわからない。見つけるために試してみなけりゃわからないので乱脈になる。人間のサガだね。
 ヨガも座禅も武道も、呼吸が大切だ。マスター(達人)は呼吸が違う。呼吸がコントロールできるようになるといいね、深くてゆったりとした呼吸を手に入れるために、相性の良いパートナーとトレーニングに励んだらいい。

 日本人は本来、セックスにはおおらかだった。盆踊りやお祭りはもともと乱交の場だった。結婚している男女もお祭りの3日間はそれぞれ別々に出かけて、踊りの輪の中で相手を見つけて、まぐわう。宮中でも歌垣(乱交)が催された記録すらある。称徳天皇主催の大乱交パーティである。あれは日本書紀だったか。
 盆踊りの夜にはらめば、それは当然に自分の子として育てた。乱脈ではないのである、寛容とルールがしっかりあった。粋ではないか。

*「#4177大人の恋愛事情:鈴木杏樹さん
*「#4035 何もかも小さきものはみな美し
*「#3615 万葉集と宇治拾遺とあの時代の性風俗

<余談-1:谷崎潤一郎の妻千代子の佐藤春夫との不倫>
 谷崎潤一郎は3度結婚していますが、2番目の妻千代子は佐藤春夫と不倫、後に、三人連名で谷崎が妻千代子を佐藤春夫に譲渡する旨の声明文を発表しています。
 佐藤春夫は千代子と恋してかわいらし詩を作っています。

 こぼれ松葉をかき集め
 をとめのごとき君なりき、
 こぼれ松葉に火をはなち
 わらべのごときわれなりき。

 わらべとをとめよりそひぬ
 ただたまゆらの火をかこみ、
 うれしく二人手をとりぬ
 かひなきことをただ夢み。

 入日のなかに立つけぶり
 ありやなしやとただほのか、
 海べの恋のはかなさは
 こぼれ松葉の火なりけむ。

 不倫がなければ、この詩は生まれなかった。
 実年齢とはまったく別に、少年と少女の恋に仮託した、読後感がほのぼのとする詩ですね。詩人はどろどろした現実世界から飛翔して仮想現実の世界で生きることができる。だれにでもそういう能力は多寡の差はあっても、あるもの。
 恋をしたら、想いの丈を紙に綴ってみてください。技巧なんて必要なしです、素朴ないい詩になるかもしれません。

 メディアは稼ぐために面白おかしく騒ぎ立てる。人の恋路をうんぬんするよりも、恋をして粋に生きることの方が大切ではないかね。

<余談-2:色好み>
『徒然草』第137段より
 逢はで止みにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜を一人明かし、遠き雲井を思ひやり、浅茅が宿に昔をしのぶことこそ、色好むとはいはめ。

 昔の人は粋でした。現代語訳は、こちらのサイトでご覧ください。
*徒然草第137段


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