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#4660 数学と経済学の体系構成の方法 Nov. 27, 2021 [97. 21世紀の経済社会 理論と理念と展望]

 数学の体系化の方法としては演繹的体系としてユークリッド『原論』があります。1930年以降はブルバキというネームで数学の体系化にチャレンジする先端研究者たちが『数学原論シリーズ』を刊行しています。集合論を中心に据えて数学の体系化にチャレンジしました、30巻ほどあるかな。
 さて、経済学でこのような体系化が可能であるとすれば、どのようにしてなしうるのかという問題意識から弊ブログのカテゴリーのいくつかで論を展開しています。
 その中から、三つ紹介します。
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数学の方法を通して新しい経済学が可能かどうかを探り始めました。経済学部の学生や大学院経済学研究科で理論経済学を研究している院生にも読んでもらいたい。これは序論です。
*#3436フェルマーの最終定理と経済学
**#3437 フェルマーの最終定理と経済学(1):純粋科学と経験科学 Oct. 15, 2016
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2016-10-15?fbclid=IwAR0-Vzkp--D2NzUJMfH9FJTFeZ7PyPChJUe86i_Xu-8QGsOstEpR_CKsbkI
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***#3438 フェルマーの最終定理と経済学(2):不完全性定理と経済学 Oct. 18, 2016
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2016-10-17?fbclid=IwAR02V4fIXHM4xcgkKIMhoFnSTCSuG-nXpid8m_cp0rrD4KW1-LBvbcrM2pc
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<GAFAに関わる問題>
11/27記
 グローバリズムを放置しておくとGAFAがあらゆる産業をその配下に置いてしまいます。とっくに国家という枠組みを超えて巨大化しているように見えますが、本当に国家という枠組みを超えたのでしょうか?中国を見るとそうではないでしょう。巨大化した情報産業は国家と相性がいい側面もあります。監視社会に使われるソフトを作っているのは、巨大化した情報産業です。だから、独裁国家の必需品となっています。独裁国家だけではありませんね。米国も大掛かりにやっています。いかなる国家も、国民を巨大な情報機関(エシュロン)の監視下に置いています。
 株式市場が発達して、金融資本主義から情報産業資本主義とでもいうべきあらたな段階に20年くらい前から突入しているのでしょう。
 コンピュータと機械のネットワークが生産力を飛躍的に向上させます。いずれ人間が働かなくてもよい社会が来ます。そのときに働くところがない人間はどうやって食べていくのでしょう?仕事とその対価である所得がなくなったら人の暮らしはどうなりますか?
 奴隷労働を淵源に持つ欧米の労働観の究極の到達点は、人間を労働から解放することです。
 日本人はまったく異なる仕事観を受け継いできました。労働というのは明治以降の概念です、働くとか仕事と言ってきました。仕事はもともと神聖なものです。神への捧げものをつくることがその基本部分にあります。そういう仕事観から出発すると、「労働から人間を解放する」なんてことは起こりえない。大雑把な話ですが、わかっているのはそこまでです。
 GAFAの問題は興味深いものがあります。
 欧米の企業は独創的な商品を開発すると、コストから価格を発想しません。どれだけ価格を釣りあげられるかという視点から発想します。超過利潤が頭にまず第一に浮かぶのでしょう。日本企業は、とくに老舗企業にそういう発想はありません。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という伝統的な商道徳に反するからです。根底に「適正利潤」という考えがあり、取引先企業や消費者と分かち合うものだからでしょう。
 だから、新しい経済社会を創造するときにある程度のお手本が日本の老舗企業にあるのです。徒手空拳で創造しなくていい。
 では適正利潤というコンセンサスはどこから出てきたのか?「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という伝統的な商道徳、商家の家訓にありますから、さらにもっと先にさかのぼれるでしょうね。宗教が関係していると思います。自然との調和を考えて生きてきた、おそらく縄文時代からのものでしょう。別途検討する必要がありますね。

 新しい経済社会を日本発で世界へ発信し普及させるというのは困難ではあります。マネジメントがわかる経済学者もいませんから。しかし、新しい経済社会の創造にはマネジメントが重要な役割を果たします。
 間に合うかと問うと、間に合う可能性もまた1%もありませんと言うしかありません。
 それでもあきらめる必要はないと思っています。
 生産力の増大と利潤のあくなき追求で、生活環境の破壊が起きて人類が激減することがあるかもしれません。そのあとに別の経済社会を建設するためには、何を公理として経済社会を構想していけばいいかということが問題になります。同じものを創ってはいけないのです。公理なんて言い方をしないで、あたらしい経済モデルの前提条件と言った方がわかりやすいでしょうね。

 わたしはこの「適正利潤」という項目を、五番目の公理に措定したいと思っています。昨日、ある物理学者とFB上でGAFAについて対話していて気がつきました。感謝です。



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