#4516 日本が目指すべき教育改革:学テ五科目合計平均値167.4点/500点満点 Mar. 25, 2021 [71.データに基づく教育論議]
<最終更新情報>3/25午後7時半 <教育政策が目指すべきはグローバリズムではない>追記
啓雲中学校1年生の2月学力テスト得点通知票を見て平均点の低さに驚いた。五科目合計の平均点が167.4点だった。2018年の2月の学力テストで柏陵中の2年生が164.3点だったがそれ以来である。
科目別にみると数学の19.2点がひどい。
2003年の1年生は275.4点だから同じ11月で比べても18年間で75点も下がっている。
数学の得点分布を見ると、
20点以下 11人
21-40点 5人
41-60点 7人
61-100点 5人
テストを受験したのは28人(57.1%)であるが、この階層は分数や少数の四則計算すら怪しい。中学校では授業でそんなことは教えないから、落ちこぼれたままになる。そういう学力でも全員が根室高校へ入学できるから、学力の低い生徒はますます勉強しなくなる。この学年は昨年11月の学力テストで五科目合計平均値が200.1点であるが、勉強をあきらめた生徒が増えたのではなく、たまたまテスト問題の難易度が高かったために平均点が下がったと思いたい。だが、数学が27.4点から19.2点に下がったところから判断して、方程式の文章題や図形、そして統計の問題という思考力が必要な分野が多くなっているから、もう授業にはついていけない生徒が半数以上いる、それで平均点が下がったと考えた方が妥当だ。
国語の平均点が41.0点であるのは危険信号だ。大人の語彙を用いた日本語が通じない生徒が半数以上いるだろう。もちろん授業も理解できない。頭の中で適切な漢字へ変換ができないからだ。
2020年の3年生対象の学力テスト総合Aの釧路根室管内15校の平均点のデータがあるのでそれをご覧いただきたい。根室の市街化地域の3校は集められたデータで最下位グループを構成している。
光洋中学校のデータがないが、年度によって偏差はあるが、3校は似たり寄ったり、団栗の背比べ。
2018年は18校のデータがある。
<教育政策が目指すべきはグローバリズムか?>
こういう中で、文科省は2025年度の大学共通テストから6教科30科目から7教科21科目へ変更し、プログラミングが増える。プログラミングを教えることのできる教員が揃えられるのだろうか?大学ですら少ない、そして足りているとは思えない。小中高へタブレットや端末を配布したが、学校サーバーの管理技術者がいまですらいない。机上の空論で政策決定をしてはいないだろうか?
英語は小学校から正規の教科に四月からなる。中1から動詞の過去分詞形まで習うようになるらしい。英語アレルギーが増えることになりそうだ。教育制度改革によって学力格差はさらに拡大する。半数以上が落ちこぼれるだろうが、そういう低学力層が働けるような単純作業はシステム化やシステムと機械化の融合で仕事がなくなったし、海外へ工場が移転してしまって久しい。これからも知的労働の一部がAI支援によって削り取られていく。教育改革で大量の低学力層を産み出し、彼らが就くべき単純労働がますます減少する社会になる。社会不安が増大し、人口が減少するということだ。
すべての学力の基礎部分である日本語の読解力や運用スキルがスマホが普及する中で劣化している。そういうところはほったらかしで、グローバリズムに悪乗りする形で「教育改革」が押し進められ、制度が目まぐるしく変わっていく。文科省は一体どのような経済社会の建設を目標に教育制度改革をやろうとしているのか?
わたしの眼には、グローバリズムを追認し、それに必要な人材をやっきになって供給しようとしているように見える。GAFAとその支配下の企業群に優良な人材を供給するために教育制度改革をするようなことになってしまいかねない。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」を輸出し、農業や水産業、そして工業の生産システムを世界中の開発途上の国々へ輸出すべきではないのか。それでグローバリズムは止められる。
そう考えると、現在の教育政策は真逆だろう?
日本の国家戦略目標はグローバリズムに加担することではない、それを打破するところにある。グローバリズムは一部の勝者と99%の敗者を生むシステムだ。経済格差の拡大と、GAFAなどの巨大企業へ第1次産業も第2次産業も支配される経済社会の到来を意味する。ブラックホールが周りの物質を呑み込んでいくように。いま止めないと止めるのが困難になる。巨大なことはそれ自体が悪だ。どちらの側につくのか日本が判断を求められている。
(グローバリズムに対立する概念としてはリージョナリズム(地域主義)がある、別項でその概念を検討してみるつもりだ。国民国家とリージョナリズム、中央集権とリージョナリズム、いくつか異なる場面でリージョナリズムが語られてきた。)
<釧路と根室市議のコンタクト>
昨日、釧路市議の大越拓也さんが根室に来ている。数検の関係者を伴なって、根室市議や教育関係者とミーティングしたようだ。
釧路は西ロータリークラブが数検受験料を負担して、地域の子どもたちに数検受験を薦めている。数年間支援活動をやっている。当初は学校を借りて試験会場にしてボランティアが支えていた。根室はふるさと納税で資金が潤沢だ。数検につぎ込むお金は微々たるもの。
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仕事とは別に一人の住民として社会貢献活動に取り組んでいる公務員をたたえる「地域に飛び出す公務員アウォード2013」に釧路市の大越拓也さん(37)が選ばれた。全国でわずか4人、道内からはただ一人の受賞となる。地域の大人たちが子どもを見守りながら育てる「てらこや」の活動が高く評価された。
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ところで啓雲中学校は4月から光洋中学校へ統合される。根室の市街化地域は2校になる。柏陵中が1学年50人以下だから、数年後には1校体制になるだろう。そこへ向けて準備をすべきだ。
続編は#4517です。
啓雲中学校1年生の2月学力テスト得点通知票を見て平均点の低さに驚いた。五科目合計の平均点が167.4点だった。2018年の2月の学力テストで柏陵中の2年生が164.3点だったがそれ以来である。
科目別にみると数学の19.2点がひどい。
学年 | 実施年月日 | 国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 |
1 | 2003/11/11 | 47.3 | 50.3 | 51.7 | 62.6 | 63.5 | 275.4 |
2 | 2005/2/3 | 58.2 | 48.0 | 36.7 | 50.8 | 45.6 | 239.3 |
1 | 2020/11/11 | 53.1 | 49.2 | 27.4 | 26.8 | 43.6 | 200.1 |
1 | 2021/2/5 | 41.0 | 36.7 | 19.2 | 35.1 | 35.4 | 167.4 |
2003年の1年生は275.4点だから同じ11月で比べても18年間で75点も下がっている。
数学の得点分布を見ると、
20点以下 11人
21-40点 5人
41-60点 7人
61-100点 5人
テストを受験したのは28人(57.1%)であるが、この階層は分数や少数の四則計算すら怪しい。中学校では授業でそんなことは教えないから、落ちこぼれたままになる。そういう学力でも全員が根室高校へ入学できるから、学力の低い生徒はますます勉強しなくなる。この学年は昨年11月の学力テストで五科目合計平均値が200.1点であるが、勉強をあきらめた生徒が増えたのではなく、たまたまテスト問題の難易度が高かったために平均点が下がったと思いたい。だが、数学が27.4点から19.2点に下がったところから判断して、方程式の文章題や図形、そして統計の問題という思考力が必要な分野が多くなっているから、もう授業にはついていけない生徒が半数以上いる、それで平均点が下がったと考えた方が妥当だ。
国語の平均点が41.0点であるのは危険信号だ。大人の語彙を用いた日本語が通じない生徒が半数以上いるだろう。もちろん授業も理解できない。頭の中で適切な漢字へ変換ができないからだ。
2020年の3年生対象の学力テスト総合Aの釧路根室管内15校の平均点のデータがあるのでそれをご覧いただきたい。根室の市街化地域の3校は集められたデータで最下位グループを構成している。
光洋中学校のデータがないが、年度によって偏差はあるが、3校は似たり寄ったり、団栗の背比べ。
2018年は18校のデータがある。
<教育政策が目指すべきはグローバリズムか?>
こういう中で、文科省は2025年度の大学共通テストから6教科30科目から7教科21科目へ変更し、プログラミングが増える。プログラミングを教えることのできる教員が揃えられるのだろうか?大学ですら少ない、そして足りているとは思えない。小中高へタブレットや端末を配布したが、学校サーバーの管理技術者がいまですらいない。机上の空論で政策決定をしてはいないだろうか?
英語は小学校から正規の教科に四月からなる。中1から動詞の過去分詞形まで習うようになるらしい。英語アレルギーが増えることになりそうだ。教育制度改革によって学力格差はさらに拡大する。半数以上が落ちこぼれるだろうが、そういう低学力層が働けるような単純作業はシステム化やシステムと機械化の融合で仕事がなくなったし、海外へ工場が移転してしまって久しい。これからも知的労働の一部がAI支援によって削り取られていく。教育改革で大量の低学力層を産み出し、彼らが就くべき単純労働がますます減少する社会になる。社会不安が増大し、人口が減少するということだ。
すべての学力の基礎部分である日本語の読解力や運用スキルがスマホが普及する中で劣化している。そういうところはほったらかしで、グローバリズムに悪乗りする形で「教育改革」が押し進められ、制度が目まぐるしく変わっていく。文科省は一体どのような経済社会の建設を目標に教育制度改革をやろうとしているのか?
わたしの眼には、グローバリズムを追認し、それに必要な人材をやっきになって供給しようとしているように見える。GAFAとその支配下の企業群に優良な人材を供給するために教育制度改革をするようなことになってしまいかねない。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」を輸出し、農業や水産業、そして工業の生産システムを世界中の開発途上の国々へ輸出すべきではないのか。それでグローバリズムは止められる。
そう考えると、現在の教育政策は真逆だろう?
日本の国家戦略目標はグローバリズムに加担することではない、それを打破するところにある。グローバリズムは一部の勝者と99%の敗者を生むシステムだ。経済格差の拡大と、GAFAなどの巨大企業へ第1次産業も第2次産業も支配される経済社会の到来を意味する。ブラックホールが周りの物質を呑み込んでいくように。いま止めないと止めるのが困難になる。巨大なことはそれ自体が悪だ。どちらの側につくのか日本が判断を求められている。
(グローバリズムに対立する概念としてはリージョナリズム(地域主義)がある、別項でその概念を検討してみるつもりだ。国民国家とリージョナリズム、中央集権とリージョナリズム、いくつか異なる場面でリージョナリズムが語られてきた。)
<釧路と根室市議のコンタクト>
昨日、釧路市議の大越拓也さんが根室に来ている。数検の関係者を伴なって、根室市議や教育関係者とミーティングしたようだ。
釧路は西ロータリークラブが数検受験料を負担して、地域の子どもたちに数検受験を薦めている。数年間支援活動をやっている。当初は学校を借りて試験会場にしてボランティアが支えていた。根室はふるさと納税で資金が潤沢だ。数検につぎ込むお金は微々たるもの。
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仕事とは別に一人の住民として社会貢献活動に取り組んでいる公務員をたたえる「地域に飛び出す公務員アウォード2013」に釧路市の大越拓也さん(37)が選ばれた。全国でわずか4人、道内からはただ一人の受賞となる。地域の大人たちが子どもを見守りながら育てる「てらこや」の活動が高く評価された。
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ところで啓雲中学校は4月から光洋中学校へ統合される。根室の市街化地域は2校になる。柏陵中が1学年50人以下だから、数年後には1校体制になるだろう。そこへ向けて準備をすべきだ。
続編は#4517です。
#4517 教育政策におけるグローバリズムとリージョナリズム考 Mar. 26, 2021
2021-03-25 12:17
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コメント(2)
中1の段階で数学、理科が特に低いということは、小学校の段階で基礎学力がおそろしいほど身についていないのだと思います。読み書き計算を、体で覚えるための反復練習がおそらく圧倒的に足りていない。その状態で中学の授業を受けても無意味です。
実は小学校に1番の問題があるのですが、中学受験がなければカラーペーパーのテストしかほとんど受けないため、学力不足が中学になって初めて表面化するのだと思います。
by 麒麟 (2021-03-27 00:10)
麒麟さん
わたしもそう思います。低学力層が肥大化して止まらないのは小学校に大きな課題があることを示唆しています。
小学校で計算トレーニングを十分に積まなかったら、中1年生の数学を学ぶときに何が起きているのか、別項で具体例を挙げて説明したいと思います。
60年前に比べても、計算トレーニングの量が圧倒的に不足しています。単純な反復トレーニングを軽視しすぎです。
by ebisu (2021-03-27 00:30)