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#4210 キャリアの新型コロナウィルス感染力:症状のあるなしに関係なし April 1, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 武漢コロカウィルス感染にかんして、不顕性感染者(=キャリア、無症状の感染者)と症状の現れている感染者の感染力に差があるかな以下について中国が調査結果を公表している。
 「無症状」の感染者から濃厚接触者への感染は4.11%、症状のある人から濃厚接触者への感染率は6.3%であり、統計的に優位な差がないという調査結果である。中国は国民一人一人をトレースできるような監視システムが存在しているから、この調査研究は信頼性が高いだろう。

*「無症状感染者からの感染確率 症状ある人からと大差なし 中国
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012357581000.html?fbclid=IwAR2zq3kxZZ-Wb3zeSnqrT_5TCni7QMj9EKP7pRLDAWjNGj6Yrgyd9Jp43mo
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これは、中国・浙江省の寧波にある疾病対策センターの研究チームが、中国の医学雑誌で発表したものです。
それによりますと、研究チームは、新型コロナウイルスの陽性反応が出た感染者のうち症状がある157人と、症状がない「無症状」の30人について、それぞれの濃厚接触者合わせて2147人を追跡し、ウイルスに感染しているかどうか調査しました。
その結果、症状がある人から濃厚接触者に感染する確率が6.3%だったのに対し、「無症状」の人からの確率は4.11%となり、「統計学上、大きな差はなかった」としています。
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 肺炎を起こす段階では、ウィルスは肺で大量に増殖しているから、咳やクシャミや痰で排出されるウィルス量が大きくなることは推察に難くない。体外へ排出されるウィルス量に差があるだけのことで、ウィルスそのものは同じだから、当然の結果に思える。マスク着用は排出するウィルス量も吸い込むウィルス量も減らすから、感染を低減することに効果がありそうだ。

 ところで、不顕性感染してウィルスをばらまいているキャリアが感染者の何割を占めているかについては不明である。キャリアがどれくらいいるかは、検査数を増やし無症状のキャリアを探すしかない。
 ドイツは流行初期に検査数を増やして感染爆発を防いだ。死亡率は0.9%である。韓国も同様になっている。

 一昨日の東京都の発表では13人の新規陽性患者が確認されている。公的検査機関では日曜日の検査はしていないから、民間検査分だという。たったの13検体の陽性だが、民間検査センターにどれだけ外注しているのだろう?
 日本の検査センター大手3社は設備も技術も世界の最先端にある。業界トップのエスアールエルで16年間仕事したので、八王子ラボの技術水準がどういうものかよく知っている。固定資産管理を実務デザインとシステム開発を含めて1年間、検査機器等の設備購入を一人で2年間、学術開発本部で試薬の共同開発や精度管理や大学のドクターや海外製薬メーカからのラボ見学要請対応を2年間やっていたことがあるのでよく知っていた。PCR検査を導入したのは1988年ころだ。わたしが購入したので記憶している。特殊検査部には4つの課があったが、そのいずれかだった。そのご、PCR検査はウィルス検査部でも導入されただろうから、ルーチン検査に結構な代数があるはずで、とうぜん技術者も数十人単位で育っているだろう。PCR検査機器をあらたに買わなくても既存の設備だけで2000/dayくらいの検査は問題なくこなせるはず。台数を増やせば、2週間ほどで10000/dayの体制をつくることも可能だ。
 学術開発本部にいた1990年ころのことだが、設備を見学した米国の大手検査センターが、八王子ラボの設備を丸ごと買いたいというオファーがあったが、もちろんお断りした。(笑)

 厚生労働省は2月中旬頃にエスアールエルに新型コロナPCR検査受託の可能性を打診したらしい。打診があるまえに、ちゃんと準備していたことが、「日経バイオテク」2/28の記事に載っている。


*「新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
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 感染研がフル稼働しても、遺伝子検査のキャパシティーが絶対的に足りない──。深刻化する状況に、厚労省や感染研は2月上旬から、検査体制拡充に向けて受託検査会社へ遺伝子検査の実施の打診を始めた。ただし、感染研が確立したのは、自家調整の遺伝子検査。一般的に自家調整の検査というのは、承認された体外診断薬とは異なり、「事前に必要な試薬を集めて調整したり、検査の質を確認したりといった作業が必要になる」(専門家)。

 打診を受けた受託検査会社のうち、エスアールエルは、こうした事態を見越して「感染研の自家調整の遺伝子検査を自社でも実施できるよう、試薬の調達も含めて準備していた」(広報担当者)。2020年2月12日、同社は業界では初めて、新型コロナウイルスの遺伝子検査を受託すると発表した。ただ、「そうでなかった企業にとっては、試薬の調整などからしなければならず、自家調整の遺伝子検査を受託する体制をすぐに整えるのは相当難しかったはずだ」と業界関係者は指摘する。

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 いまだに民間検査センターへは新型コロナPCR検査がほとんどでていない。国立感染研が実務を指揮しているのだろうからそこに問題があることははっきりしている。それを傍観している厚生労働省の実務対応能力のなさもうんざりさせられる。民間検査センターのPCR検査能力については3回にわたって弊ブログで採り上げている。
 全国の病院はエスアールエルへ新型コロナPCR検査を直接外注してください

#4197 民間検査センターのPCR検査能力について Mar. 4, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-03-04

 #4191 新型コロナウィルス感染症対策:冷静な議論が必要 Feb. 28, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-28

 #4190 PCR検査への加藤大臣の誤解:日本国の信用にかかわる問題 Feb. 27, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-27-1



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コメント 6

名無しのごんべい

あはは。感染症全般に言えることやが、ウイルス量、細菌量、つまり量が大きなファクターなんやで!1匹吸い込むのと1億匹吸い込むのでは大違いや。軽症と重症の違いもそこに起因する大切な事や。
検査多けりゃそれだけ陽性増えるのは当然や。増えた陽性のもんどないする?医療崩壊を招くだけや。それが今欧州での出来事や。検査せえへん日本を追い越して医療崩壊を招いて死者数も追い越しとる。よう考えて物言いや!
by 名無しのごんべい (2020-04-03 13:27) 

ebisu

あはは
イタリアもスペインも米国も医療崩壊起こしてる。
ドイツは検査を徹底してるけど医療崩壊起こしていないどころか、イタリアやフランスから患者受け入れている。
ドイツのようなシステムのない日本、困ったもんやのう。だが、そんな日本でも知恵絞ったらなんとでもなる。
不顕性感染者が仰山うろうろしている、よう考えてみなはれ。
あいにくだが、検査をしようとしまいと、医療崩壊は間もなく起きる。それが現実だ。


by ebisu (2020-04-03 13:57) 

ebisu

慶応大学付属病院や台東区の永寿会病院などもう10か所程度の施設が院内感染を起こしていますが、病院のスタッフのPCR検査ができていません。濃厚接触者だけに限定していると、院内感染ですらその全容がつかめません。
院内感染を広げないためには必要な範囲で各人数回PCR検査すべきですね。
血清で抗体検査がいまできるかどうかは知りませんが、できるなら、医療従事者の抗体検査を徹底すべきです。抗体をもっている人はすでに感染したが不顕性感染で早期に治った人です。抗体をもっている人は防護服なしでも治療に従事できます。
厚生労働省と国立感染症センターは、PCR検査対象を制限するのをただちにやめてもらいたい。保健所に「お伺いを立て」て許可があったもののみPCR検査をしていたのでは、感染拡大を促進しているようなものです。
by ebisu (2020-04-04 10:16) 

ebisu

パンデミックを起こしたので、新型コロナウィルスのワクチンが巨大市場となった。J&Jなどの製薬企業がワクチン開発に乗り出しているが、日本の製薬メーカは名乗りを上げたところがない。
それには理由があるようだ。PCR検査を制限しているから、患者が少ない。だから、必要な臨床治験が行えないのである。
厚生労働省や国立感染症センターが保健所経由というPCR検査制限を続けたせいで、日本の製薬企業はワクチン開発に乗り出すことができない。東京オリンピックを忖度して検査数を制限していたという噂が巷に飛び交っているが、おろかな医療政策である。

この国は忖度だらけだ。
国民に2枚のマスク供給をすると安倍総理大臣が珍案を発表したが、自分の選挙区(山口県)のマスク製造企業へ200億円発注したという。どういう経緯で発注されたのか説明責任がある。FBで総理とその企業の社長がお友達。モリ・カケ問題、財務省書類改竄問題。これらはすべて総理周辺のお友達への配慮から始まっている。
各社の世論調査では一様に安倍総理が信頼できないという回答が8割前後あるのは、ムベなるかなという気がする。

国民との「信頼」を欠いたら、健全な保守主義のベースを築くことができないだろう。
by ebisu (2020-04-04 10:46) 

そしてイニエスタ

田辺三菱製薬とアンジェスの日本企業2社が新型コロナワクチンの開発に着手しています。

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/17853/

日本のマスコミが一切報道せず、野次馬みたいに街中で取材やってる方がよっぽど感染拡大を招くと思うんですけど
by そしてイニエスタ (2020-04-04 15:53) 

ebisu

そしてイニエスタさん

だいじな情報ありがとうございます。
テレビ報道では日本の製薬メーカーはワクチン開発しているところがないと今日言ってました。テレビ局によってはは取材力がないところもあるのかな?

せっかくだから、お示しのURLにあった記事を貼り付けておきます。
臨床治験が始まるのはアンジェスが半年後を目標にしていると書いてあります。いま動物試験の最中かな。最初に開発して大量生産できた企業が莫大な売り上げを確保できます。半年後なら有効な臨床治験ができるほど患者が増えてるでしょう。大腸菌に遺伝子を組み込んでワクチンを製造する画期的な方法を発明したのは阪大の先生だったかな、だとしたら製造面ではかなり有利ですね。
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アンジェスや田辺三菱が開発に名乗り
日本企業では、アンジェスが3月5日、大阪大とDNAワクチンを共同で開発すると発表しました。タカラバイオが製造面で協力し、化学大手のダイセルが有効性を高めるための新規投与デバイス技術を提供。アンジェスは「6カ月以内のできる限り早い時期の臨床試験開始を目指す」としており、同26日には非臨床試験の開始を発表しました。

田辺三菱製薬もワクチン開発に乗り出しています。同12日、カナダの子会社メディカゴが、SARS-CoV-2の植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表。これを使ったCOVID-19向けワクチンの非臨床試験を行っており、「順調に進めば、ヒトでの臨床試験を今年8月までに開始するために当局と協議したい」(田辺三菱)としています。
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ああ、ありました。阪大森下教授、ミヤネ屋で採り上げてます。1か月前にこのテレビ見てました。
https://www.youtube.com/watch?v=awir6Rnrdm0

6か月で大量生産体制に入れるようです。
https://blog.goo.ne.jp/toride727/e/e54753be5cdced7efc5d9946354b6d1d
https://www.youtube.com/watch?v=awir6Rnrdm0

巨大製薬メーカー2社と日本の製薬メーカは新型コロナワクチン開発で互角に戦えそうです。ああ、よかった。次のシーズンが始まるころにはワクチンが大量に出回ります。型が変わっても森下先生の方式なら大丈夫そうです。
by ebisu (2020-04-04 18:15) 

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