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#4187 Sapiens : page 24 Feb. 23, 2020 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

 学年末試験があったので、先週はSapiens授業は中止して試験勉強に充てた。数学は、ベクトルをやっていたのが1年前なので、思い出すために問題集でチェックマークのついている問題と準拠問題集WIDEのB問題のみやっていた。それが終わると、数Ⅲの問題集を解いていた。試験期間中でも面白くて止まらない様子。(笑)
 
<24.1> It was not the first language. Every animal has some kind of language. Even insects, such as bees and ants, know to communication in sophisticated ways, informing one another of the whereabouts of food.  Neither was it the first vocal language.  Many animals, including all ape and monkeyspecies, have vocal languages.  For example, green monkeys use calls of various kinds to communicate. Zoologists have identified one call that means 'Careful! An eagle!'.  A slightly different call warns 'Careful! A lion!'  When researchers played a recording of the first call to a group of monkeys, the monkeys stopped what they were doing and looked upward in fear.  When the same group heard a recording of the second call, the lion warning, they quckly scrambled up a tree.  Sapiens can produce many more distinct sounds than green monkeys, but whales and elephants have equally impressive abilities.  A parrot can say anything Albert Einstein could say, as well as mimicking the sounds of phones ringing, doors slamming and sirens wailing. Whatever advantage Einstein had over a parrot, it wasn't vocal.  What, then, is so special about our language?

  green monkey とは森林ではなくサバンナ(草原)に棲むサルである。緑ザルと訳していることもある。草原に棲むサルだからgreenをつけたのに、緑ザルでは原意を伝えてない。ところで、AIDSのHIVは元々このサバンナ・モンキーがもっていたウィルスだと、1980年代の終わりごろ、雑誌TIMEのAIDS特集で読んだ気がする。
*サバンナモンキー
https://pz-garden.stardust31.com/reichou-moku/onagazaru-ka/savanna-monky.html

 
<段落読みに慣れよう>
 最初のアンダーラインの文にはすぐに気がついた。
「先生、これ倒置だよね」
 慣れてきたのだろう。
 でも、ここはちょっと対話したい箇所だった。前段落ではサピエンスの言語について取り上げているから、この段落冒頭のItはサピエンスの言語である。それが言語としてはじめてのものではないとハラリは書いた。そしてなぜ初めてではないか、具体例を挙げて説明している。すべての動物が何らかの言語(some kind of language、この個所をO君は「何らかの言語」と訳した、好いセンスしてる)をもっており、'Even insects'(昆虫ですら)言語をもつとハチやアリを例に挙げている。そして話題を転じて、サピエンスの言語は'vocal language(音声言語)'として初のものではなかったというのが、アンダーラインの箇所である。ハラリはここで'neither'を強調したかった。「言語として初のものでもなければ、音声言語として初めてではなかった」と書き、サピエンスに先立って現れた類人猿やサルの音声言語について例示していく、それがこの段落の役割なのだ。こういう段落読みにも慣れてもらいたくて、トレーニングしている。日本語で書かれた本を読むときとまったく一緒なのだ。それに気がつき、日本語の本を読んで蓄積し磨いた技を英文読みにも使えるレベルへ持ち上げるために原書講読授業をしている。

 ハラリの論理運びに注意して読んでいると、こういう論理運びの文章スタイルを模写できるようになる。日本語の作文も同じ論理運びで書けるようになる。よく読むというのはよく書くことに通ずる。「抽象⇒具体」「一般⇒特殊⇒個別」という、ロジック運びに慣れてくる、いわゆる演繹的な論理運びである。それができたら、逆のコースの文章練習をしてみたらいい、帰納的な論理運びの文章である。往復やることで、論理展開が自在になってくる。数学の勉強でよくやっていることです。

 高校生や大学生のためにビジネスの世界でのことに言及しておきます。わたしはさまざまなプロジェクトを率いてきましたから、担当役員や社長へ定期的に報告書を書くことが多かった。提案型プロジェクトの場合は稟議書もです。そういう際に、論理運びというのはとっても重要で、書いているうちに(つまり、場数を踏むうちに)慣れてきます。会議での発言もそうした論理運びが自然に出てきます。じっくりみんなの意見を聞いてから、自分の意見をなるべく普遍的な立ち位置から述べ、そのご個別具体的な事象を織り交ぜて語りだします。そうすることで説得力が増すからです。もちろん、結果をちゃんと出すことが大事、結果が出せなければただの口舌の徒です。弁護士出身の政治家に多いタイプですね。ビジネスでは結果の出せない口舌の徒は不要です。プロジェクトにはお呼びがかからなくなります。稟議書を書いても信用されないから、承認されません。ビジネスの世界では、当該事項に専門外の役員もいるので論理運びが大事、そして何より大事なことは、言ったことや書いたこと以上の結果を出すことです。

<Ⅲ文型動詞は目的語とセットで意味を考える>
 2番目の文のところで質問があった。「playをどう訳していいのかわからない」、そういう質問だった。第Ⅲ文型の動詞は目的語とセットで考えないと意味がわからない。たとえば、
 I have two sisters.
   I have a dog.
   I have a Snowman's ticket.

  それぞれ、「妹が二人いる」「犬を飼っている」「スノーマンのチケットもっている」である。目的語とセットでないとhaveの意味はわからない。haveのコアイメージは「自分の手の届く範囲にある」ということなんです。「二人の妹」「飼い犬」「スノーマンのチケット」これらはみんな自分の手に届く範囲にあるのです。

 では、play a recording はセットで考えるとどうなりますか?
 「録音済みのものを再生する」です。
 ’played a recording of the first call to a group of monkeys

 「一群れのサルが発した叫び声(the first call='Careful An eagle!')を録音したものを再生した」
 その録音には初めがあって終わりのある一塊(ひとかたまり)の録音だから、'a recording' と不定冠詞がついています。
 1964年、高校1年生の時にに買ってもらったソニー製のオープンリールのテープレコーダーにはハンドルがついており、それでプレイ、ストップした。ガチャガチャ音がしました。いま机の上にあるソニー製のICZ-250には「再生」「停止」「早戻し」「早送り」ボタンがついていますが、操作音はありません。次の文でもplayedが使われているから、どんどん読んでみたら気がついたでしょうね。「意味不明なら、次の文を読め」という方法はここでも有効です。

「動物学者たちが、一群のサルが発した最初の叫びの録音を再生すると、途端にサルたちはしていることをやめ、恐怖におののき空を見上げた。」


<意識の置き方が読みの上達のコツ>
 3番目の文は質問はなかったが構文が少し捉えにくかったかもしれません。アインシュタインが突然登場するところも意表をついていて面白い。ハラリは楽しんで書いているように見えます。

①mimicking the sound of phones ringing,
②(minicking the sound of) doors slamming
③(minicking the sound of) sirens wailing

 'mimicking the sounds'が三つの前置詞句を引き連れて現れています。三つ並んだからsoundsとsがついていることに気がつきましたか。O君はsirensを辞書を引くまで意味が分からなかったようでした。「ああ、サイレンか」ってつぶやいたもの、聞き逃してませんよ。(笑) 音声を出さずに頭の中で「音読」してみたら気がついたのではないか。辞書を引く前にちょっと「タメる」癖をつけたらいいのです。気がつく単語がたくさん出てきますよ。意識のちょっとした置き方が読みの上達のコツです。簡単でしょ。

「オウムはしシュタインが言えることは何でも言える。それは電話のベルの真似や、ドアのバタンという音、そしてサイレンの低く唸る音を真似るのと何ら変わるところがない」

<柴田訳>
 例によって、翻訳者である柴田氏の訳文を掲げておく。
「それはこの世での初の口述言語ではなかった。ミツバチやアリのような昆虫でさえ、複雑なやり方で意思を疎通させる方法を知っており、食物のありかを互いに伝え合う。また、それはこの世で初の言語でもなかった。類人猿やサルの全種を含め、多くの動物が口頭言語をもっている。たとえば、サバンナモンキーはさまざまな鳴き声を使って意思を疎通させる。動物学者は、ある鳴き声は、「きをつけろ!ワシだ!」という意味であることを突き止めた。それとはわずかに違う鳴き声は、「気をつけろ!ライオンだ!」という警告になる。研究者たちが最初の鳴き声の録音を一群のサルに聞かせたところ、サルたちはしていることをやめて、恐ろし気に上を向いた。同じ集団が二番目の鳴き声(ライオンだという警告)の録音を耳にすると、かれらはたちまち木によじ登った。サピエンスはサバンナモンキーよりもずっと多くの異なる音を発せられるが、クジラやゾウもそれに引けを取らないほど見事な能力をもっている。オウムは、電話の鳴る音や、ドアのバタンと閉まる音、けたたましくなるサイレンの音も真似できるし、アルベルト・アインシュタインが口にできることはすべて言える。アインシュタインがオウムに優っていたとしたら、それは口頭言語での表現ではなかった。それでは、わたしたちの言語のいったいどこがそれほど特別なのか?」…芝田訳

 太宰治がこの本の訳者だったら、どういう文章が紡ぎ出されるのか見てみたい気がします。それはともかく、この文の続きが読みたくなるでしょう、ハラリは読み手の知的好奇心をくすぐってくれます。

<慣れとステップアップ>
 質問が減ってきているので、ハラリの文章に慣れてきたように見える。いまは塾で読むだけだが、もう家で独力でかなり読めるようになっている。いまやっている青チャート数Ⅲが終わって、時間が取れる7月には毎週5-8ページくらいのペースになっているはず。まだ当分は青チャート数Ⅲが優先。英作文トレーニングを週4回合計20題やっているから、すでに120問題消化した。3か月で英作文トレーニング用の本の原稿が書きあがる。勉強してくれる生徒がいるからそんな成果も生まれる。励みがなければ、続きやしない。
 すでに大学受験には関係のないゾーンに入っている。面白いから、3か月継続。そのあとは時間が許せば、100ワードくらいの作文練習をしたらいい。Sapiens本文だと、段落一つ分くらいだ。
 でも、英作文は3か月間で切り上げて、音読トレーニングを優先したほうがいいだろう、リスニングの訓練になる。




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