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#4188 韓国と日本の検査済みの人数の差はなぜ? Feb. 25, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 「羽鳥モーニングショー」でコメンテーターの玉川徹氏が次のような意見を述べた。
https://news.livedoor.com/article/detail/17865326/
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 テレビ朝日解説委員の玉川徹氏(57)が24日、コメンテーターを務めるテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・0)に生出演。新型コロナウイルスについて、韓国と日本の検査済みの人数の差に疑問を呈し「やってないだけのことがここからもわかります」と言い切った。
 この日、番組は新型コロナウイルスを高精度で検出できるPCR検査について取り上げた。韓国のPCR検査の検査能力は1日で約5000件とし、
検査済みの人数は2万6179人と伝えた
 MCを務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一(48)は「日本は人口は1億何千万。韓国は5000万くらい。日本は検査済みは千数百人です。なんで、こんなに違うのか?」と問うと、玉川氏は「人口比でいえば、日本ですでに1万件以上の検査ができてるのと同じことなんですね、韓国は。日本が韓国以下の医療体制なわけがないんですよ」と言い切り、「だからそういうことなんです。日本でもできるはずなんです。それをやってないだけのことがここからもわかりますね」と怒りを押し殺した表情。

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 玉川さんが憤るのは無理もない。日本の臨床検査センターのキャパは韓国の数倍あるよ、しかも技術水準はずっと高い。そもそも、30年ほど前に韓国の民間検査センター誕生に技術協力したのはSRLです。後ほど<余談>で述べます。
 なぜ、韓国の1/10以下しか日本は検査できないのか、理由は簡単、公的機関だけで検査しているから。民間検査センターに流せばいいだけだが、厚生労働大臣にはなぜかそれが決断できない。だから、ダイアモンドプリンセス号から下船時のPCR検査ができなかった。やりたくても、公的機関にキャパがなかったからでしょう。検査できなかったことで、感染拡大してます。感染のピークを後ろ倒しにすると昨日テレビで厚生労働大臣が言ってましたが、やっていることはそれとは真逆です。大臣の加藤さん、しっかりしてください。官僚は政治家が使わなくてはいけないはず。裸の王様を絵に描いたようなものです。

 新型コロナウィルスPCR検査に保険点数を付けたら、翌日からでも民間検査センターも病院も受託が可能です。保険点数をつけなくても、民間検査センターで受託することを厚生労働省がOKすればすぐにやれます。なぜなら、日本検査医学会が制定している、日本標準臨床検査標準コードがあるから。
 これは大手6社と日本病理学会(当時、いま日本検査医学会)項目コード検討委員会委員長の櫻林郁之助自治医大教授(当時)が産学協同プロジェクトとして5-6年間ほど作業部会での検討の末に1995年ころに出来上がったもの。大手6社がそれぞれ自社で使っているコードをオープンにし、重複しているモノを削って、学術的な分類検討を重ねて、臨床病理学会から公表しました。このワークショップには大手6社のシステム部門と学術部門がそれぞれ参加してます。公表して以来、日本中の病院やクリニックのコンピュータはこの標準コードで動いています。このプロジェクトを提案して、大手六社の2回目のミーティングに櫻林教授を引っ張り出したのは、わたしです。1986年に臨床診断システム開発とその事業化案を作って、創業社長の藤田さんにとりあえず200億円の予算でフィジビリティスタディをやることを稟議承認してもらいました。項目コードが統一されていないとコンピュータでデータ分析ができない、それで日本標準臨床検査項目コード制定を働きかけたのです。産学協同プロジェクト、日本の医療にとって、こんなに大事なプロジェクトなのに、厚生労働省は一切かかわっていません。そういう視点が厚生労働省にはなかった、いまだにないのでしょう。このコードをたたき台にして、世界標準コードをつくればいい。欧米のどの国も臨床検査にかかわる標準コードをもっていないのです。それは、その仕事がとっても困難であることを示しています。それを日本は25年も前に、産学協同プロジェクトでちゃんと整備完了しています。えらいでしょ。(笑) 産業界と学会をつないで、プロジェクトをマネジメントできる人間が一人いれば、こういう壮大な仕事も可能になります。
(いま、市立根室病院は3階(?)を閉鎖病棟にして新型コロナ肺炎患者(50歳代・女性)の治療に当たっている、空調用ダクトを通じて空気感染はしないので一般病棟を関係者以外立ち入り禁止の閉鎖病棟にすればOK. 市立病院の院内システムの臨床検査コードはもちろん日本標準臨床検査項目コードで動いています。)

 コードの管理事務局はSRL学術開発部がやっているはず。そこで登録すれば、ネットを通じて全国の病院やクリニックへ自動配信される。あとは検査依頼書を印刷すればいいだけで、全国の医療機関から通常の搬送ルートで検体を受け入れられる。流れに載せてしまえばいいだけ。
 SRL八王子ラボには1990年ころで臨床検査技師が800人ほどいました、いまはもっと多いでしょう。その技術水準は大学病院検査室よりも高い。SRL学術開発本部スタッフをして仕事した2年間の間に、大学病院検査室のドクターたちを何度かラボツアーでご案内したことがあります。海外製薬メーカからのラボツアーだけがわたしの担当だったが、学術情報部の3人の担当者の手が足りないときは、国内のユーザーからのラボツアーもたまには担当しました。購買課で2年半、製薬メーカと検査試薬の価格交渉や検査機器の自社開発や共同開発に何度もかかわってましたから、ラボ内の検査機器や検査方法に一番詳しかった。八王子ラボでやっている臨床検査は当時で3000項目もありました。原価計算システムや購買在庫管理システムにも社内で一番詳しい。購買在庫管理システムは半分くらい帳票設計とプログラミング仕様書を入社した年の1984年に書いてます。会計及び支払い管理システムと投資・固定資産管理システムの外部設計仕様書を書いて、本稼働させた年です。統合システムでしたから、各システムとのインターフェイス仕様書もわたしの「作品」、当時、日本最先端の統合システムでした。

<余談:幻の韓国SRL>
 1990年ころ、韓国人の臨床検査技師が、トレーニング希望で数か月来たことがある。当時は韓国には民間検査センターがなかった。
 その後、韓国で臨床検査会社を立ち上げるので、SRLの名前を貸してほしいという申し入れがあった。韓国SRLという名前の合弁会社をつくるかどうか、検討した。国内市場の伸びが大きかったので、韓国市場に魅力を感じなかったことと、他にいくつか理由があってお断りした経緯がある。韓国SRLでなにかあれば、SRLというブランドに瑕がつくことを恐れた。SRLは臨床検査の品質に関して、日本全国の大学病院から絶大な信頼をいただいているから、ブランド価値をたいせつにしていた。SRLという名称を韓国で使用することもご遠慮いただいた。
 その後、研修に来た人は韓国で臨床検査会社を立ち上げたようだった。かれの会社も新型コロナウィルスPCR検査を受託しているのだろう。韓国に臨床検査会社が育っていることは喜ばしい。

 本題に戻ると、日本の厚生労働省、一体だれのために仕事してるの?


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