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#3693 中3テスト比較①:3年生学年末テスト Feb. 14, 2018 [71.データに基づく教育論議]

 中3学年末テストデータが出たので、B中とC中のデータを並べて検討してみたい。

<B中・C中 平均点比較  
  B中 C中 B-C
国語 66.2 47.8 18.4
社会 49.7 50.5 -0.8
数学 47.2 36.0 11.2
理科 60.1 47.5 12.6
英語 59.8 44.9 14.9
合計 283.0 226.7 56.3

 C中学校の先生たち、問題の難易度の設定の仕方がいいね、すばらしい。
 五科目合計平均点ではB中が283点、C中は226.7点と56.3点も差がある。では、この2校の生徒の学力にはそんなに大きな差があるのだろうか?
 次の回に学力テストの比較表をアップするのでご覧いただきたい、学力差はない。ではなぜこんなに点数が開くのか?問題難易度の相違である。B中は国語と理科と英語の定期テスト問題の難易度が低すぎると判断していいのだろう。生徒が自分の学力を勘違いするので、学力テスト並みの難易度の出題へ改善を望みたい。すべての問題を教科書準拠問題集から出題すれば、答えを覚えているだけで90点以上がとれる。そういう出題ではテストで何を測定したいのか意味が分からない。
 授業でも教科書準拠問題集でも扱わなかった問題を3割くらいは出題すべきと思う。生徒の論理的推論力や、知識の活用力も定期テストで診てもらいたい。

 C中数学の難易度はおおよそ学力テスト程度だったからずいぶん思い切った出題である、その勇気を称えたい。50点取れなかった生徒は、高校入学までしっかり勉強しなおさないと高校数学授業についていけない。根室高校の数学の授業は学力別に6段階に分かれている。アルファクラスが1と2の2クラス。ベータクラスがやはり1と2の2クラス、ガンマクラスも1と2の2クラス。定期テストの問題はアルファ・ベータ・ガンマで別の問題になっている。授業と定期テストのレベルはアルファは2クラスとも根室西高校レベル、ベータ2は微妙だ。
 15年前は根室高校普通科のボーダラインはFランク150点超だったが、これで足切りすると根室市内で35人くらいしか合格できる生徒がいない。すさまじい学力低下が起きている。ほかのデータでも実証したい。

 B中学校は2005年の3年生学年末テストデータが残っていたので、現在の3年生と得点分布を比較してみたい。

<学年末テスト比較>    
<B中 得点分布比較>    
  2005年 2018年
  人数 人数
451-500 2   4  
401-450 8 11.5% 2 11.3%
351-400 8   10  
301-300 10 20.7% 12 41.5%
251-300 17   6  
201-250 9 29.9% 9 28.3%
151-200 15   5  
101-150 6 24.1% 3 15.1%
51-100 11   2  
0-50 1 13.8% 0 3.8%
合計 87 100.0% 53 100.0%

 2005年の五科目合計平均点は247点だから、2018年の283点よりもずっと低い。だから、2018年の400点以上の得点11.3%は割り引いて考えるべきだ。

 200点以下の低学力層は37.9%から18.9%に減少している。次の回で予定している学力テストでは結果が逆であるから、問題の難易度が低すぎたので見かけ上、低学力層の割合が激減したように見えているだけ。定期テストの難易度管理に管理職の関心が小さいと平均点のアップダウンが激しくてデータの比較性が失われる。

 高学力層のほとんどが戻ってこないから、30年後にはこの生徒たちのうち、300点以下の層(47.1%)が根室を支える主力になる(2/2の学力テストでは、おおよそ113点以下の得点層である)、(13年前の根室高校普通科の最低合格ラインが150点であることから考えて)まことに町の未来は危うい

 問題が山積みになっていても、問題を問題と感じることができない、問題を発見できてもそれを解決できる能力を持つものが根室市の中にいないということになりかねない
 先週、北方領土の日に市の総合文化会館で領土返還集会があったが、70年も運動を続けてきて返還が一歩も進まないことへの反省の弁が関係者から表明されないのはどうしたことか?戦略目標が北方四島の返還だとしたら、それを支える戦略が間違っているということだが、あの日に自分たちの運動の間違いを反省した歯舞千島連盟関係者がいるのだろうか?
 市立根室病院の年間赤字額は17億円前後にもなっているが、これもまったく改善の兆しが見えない。問題はあっても解決できる能力のある人材がいない
 根室は問題山積みだが、現在すでに人材が枯渇している人口減少は2年間続けて600人を超えてしまった22年間600人の人口減少が続いたら、2040年の根室の人口は1.3万人だ。このままでは社会保障・人口問題研究所の地域別人口推計値の1.8万人をはるかにしたまわることになる。

 C中学校は2005年の3年生のデータがないので、同じ年の1年生11月定期テストデータで代用してみる。

<C中 得点分布比較>    
  2005年 2018年
  人数 人数
451-500 6   1  
401-450 19 28.7% 1 3.6%
351-400 11   3  
301-300 13 27.6% 6 16.1%
251-300 10   13  
201-250 8 20.7% 14 48.2%
151-200 3   6  
101-150 5 9.2% 4 17.9%
51-100 5   6  
0-50 0 5.7% 2 14.3%
合計 80 92.0% 56 100.0%

 2005年は400点以上が3人に1人に近い。高学力層が1/7に減少してしまった。200点以下の低学力層が14.9%から32.2%に激増している。「高学力層の枯渇化と低学力層の膨張」が同時進行している。
 思い返してみると、2005年のこの1年生はできる生徒が多かった。中3で留学時に海外の語学研修所で使う問題集`Grammar In Use’ を使って勉強した生徒が2人いた。120 Units のうち50ほど消化し、残りは高校1年でやり切った。全文英語の問題集はずいぶん前から使えない。高学力層の枯渇化と同時に、この層でも学力が落ちているからである。切磋琢磨できる者が同じ学年に5人ほどいたら、競争しながら学力はさらに伸びる高学力層の枯渇化は、学力の高い生徒たちから競争相手を奪ってしまっている。北海道の中学生は、自分が全国レベルでどの程度の学力かを知らず、自分の学校での順位に汲々としている。学力テスト400点(500点満点)で進研模試偏差値で48程度である。定期テストは難易度のばらつきが大きすぎるので、たしかなところがいえないが、420点くらいがほぼ平均的な学力ということ。

 最後に、B中とC中の学年末テスト得点分布比較表をアップしておきたい。B中に高得点層が多いのは問題の難易度が低いせいで、B中の生徒の学力がC中の生徒よりも高いわけではないことをお断りしておく。定期テストは学校によって難易度に違いがありすぎて、学校間のデータ比較ができない。それどころか、同じ学校の生徒たちの学力の経年変化を追うことにも使えないのである。先生たちは定期テストデータの利用まで考えると、問題の難易度調整はじつに重要なのであるが、なおざりにされているようだ。
 したがって、学校間のデータ比較は学力テストデータがよい。

<2018学年末テスト比較    
<得点分布比較      
  B中 C中
  人数 人数
451-500 4   1  
401-450 2 11.3% 1 3.6%
351-400 10   3  
301-300 12 41.5% 6 16.1%
251-300 6   13  
201-250 9 28.3% 15 50.0%
151-200 5   6  
101-150 3 15.1% 5 19.6%
51-100 2   5  
0-50 0 3.8% 1 10.7%
合計 53 100.0% 56 100.0%


 次回は2月2日に実施された学力テスト「模試」データの比較をしてみる。データはEXCELに並べ終わっている。明後日チェックしてからアップする。

<余談-1:C中数学授業の進捗管理にハナマル>

 C中3年生の数学は教科書を12月下旬に終了した。授業は1月から総復習に入っている。根室高校は裁量問題だから、総復習と裁量問題対策をしておかないと入試の数学の点数がひどいことになる。大問1の計算問題が裁量問題には出題されないから、成績が「中の上」の生徒たちは15-18点ほどマイナスして得点を考えて、裁量問題対策をしておかなければならない。
 根室の市街化地域の3中学校で、12月中の数学の教科書を終了して、1月から総復習と裁量問題対策授業を実施するのはこれが初めてだろう。担当の先生の努力に敬意を表したい。
 英語もなかなかいい。教科書の終わりのほうにある読み物をやっている。最近やらない先生が増えてきたが、分量が多いので長文対策にはいいトレーニング材料になる。

<余談-2>
 学力テストと定期テストで3年間学年トップで駆け抜けた生徒がいる。学年末テストは481点だった。一番良かったときは493点である。450点以上はこの生徒だけだが、2005年なら6人もいるから、3年間学年トップをとり続けることはできなかっただろう。しかし、競争することで学力はいまよりアップしたかもしれない。
 わたしの母校でもあるA中学校は、市街化地域の3中学校で一番学力が低い。しかし、年度によって5人ほど高得点の者が現れることがある。そういう生徒たちが根室高校に進学すると、学年1-5番のうち4人がA中学出身だということも起きる。同じくらいの学力の生徒が周囲にいて競争できるというのは、学力アップに案外重要なのである。

 学力の基礎は読書力、日本語語彙が豊かで読解力に優れていたら、ほかの人の2倍3倍の密度とスピードで予習ができる。学力が上がらないわけはない。この生徒には小6から4年間で10冊音読の個別指導をしている。良質のテクストを選んでいる。いま読んでいるのは福沢諭吉著『福翁自伝』である。明治期のものだから、できのよい大学生にちょうど良いレベル、もちろん、件(くだん)の生徒は呻吟している。いままでのテクストから一段レベルを上げた。国語の点数が上がらなければ、300点満点の学力テストで270点を超えられない。本を読むのがあまり好きではないこの生徒は、小学生から日本語能力の開発をやらないと国立難関大学への合格がおぼつかないから、手を打っておいたのである。結構面白がって読んでいる。大学受験戦略の一環だが、気の長い話よ。(笑)

 8月からきている生徒が、学力テストで数学が45点(60点満点)が取れるようになった。一度は、この学年トップの生徒に数学で勝てた。50点まではもう少しだ、K君、本番の入試は裁量問題だが50点を目指して頑張りぬいてもらいたい。2月学力テストで数学40点以上はこの二人だけ、よくやった。

*「大事なのは「読む」力だ!~4万人の読解力テストで判明した問題を新井紀子・国立情報学研究所教授に聞く
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20180211-00081509/

 #3695 中3テスト比較②:2/2学力テスト編 Feb. 16, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-15-1


 #3699 四月の学力テストの五科目合計平均点予測:史上最低? Feb. 22, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-21-1

 #3700 四月学力テスト平均点推計のための補足データ① Feb. 23, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-22


 #3701 四月学力テスト平均点推計のための補足データ②:7つの表 Feb. 23, 2018
http:
//nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24-1

 
#3702 四月学力テスト平均点推計のためのデータ補足③:解説 Feb. 23, 2018
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24



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