#2929 高潮対策 :頭を冷やして考えよう Jan. 8, 2015 [87.根室の話題]
今年2度目の雪かきをした。家の前がバス停だからかいておかないとバスに乗る人が困る。昔は梅ヶ枝町3丁目、信金から100mもない花咲街道沿いに家があり、雪が降った朝は、近所と競争で店の前の雪かきをした。あの辺りに住んでいれば、自分の家の前の歩道の雪かきはその家の受け持ちだった。いい汗かいた。
今日の北海道新聞によれば高潮対策を要望する声が高くなっている。もちろん担当記者は取材して理由を挙げている。
①流氷の時期に爆弾低気圧が来たら流氷が流れ込んで建物に被害が出る。(市幹部)
②高潮被害で商売用の機器がダメになった、高潮がまた来るならここでは商売はできない(パン屋さん)
爆弾低気圧は12月に発生した。南のほうから低気圧が北上してきて発達したのは海の表面水温が高かったからである。それと北側からの低気圧が合流した。
こうしたメカニズムを考えると、流氷の時期に爆弾低気圧が根室湾を襲うということは考えにくい。
パン屋さんの数件隣に老舗の一つI沢書店さんがあった。塾用教材を一部購入していたのでお付き合いがあった。あるとき大雨が降ってひざくらいまで浸水して低いところへ置いていた本をだめにしたと嘆いていた。あっという間で上げる暇もなかったと言っていた。あの辺り一帯は昔から、集中豪雨があるたびに水害を繰り返している地域である。イーオンの裏手の駐車場の下側から緑町にかけては、いまは暗渠になっているが昔は幅2.5mほどの川(「恋問い川」という粋な名前がついていた)が流れていた。
だから、あの辺りでの商売はある程度水害対策をしておくべきなのである。根室は汐見町もくぼ地で団塊世代が小学生のころに何度か水害に見舞われている。
今回の高潮被害は緑町1丁目交差点で50cm程度あったようだから、集中豪雨で暗渠になった小川が氾濫したときよりも規模が大きかった。
緑町商店街はすでにシャッター街であり、商店はどんどん姿を消している。
新聞報道では水害対策の防潮堤に100億円かかるという。地元負担は3割である。明治公園の再開発は40億円と報道されていた。そして市立根室病院が毎年15~20億円もの経常赤字を出し続けている。人口は減り続けており、昭和40年代のピーク時には4.9万人あったが来年4月には2.8万人を切る。
そうした人口や財政状況の中で、30億円もの地元負担が可能なのかよく考えるべきだ。市税収入は28億円程度しかない。
防潮堤を沿岸線に沿って造ったら海へのアクセスが悪くなる、昔は子供たちが岸辺で遊んでいたが、埋め立てをしてコンクリート護岸となったので子供たちの遊ぶ渚がなくなってしまった。本町下の海岸には丸石造りの護岸が70mほど海へ突き出しており、浅瀬で安全な遊び場だったし、花咲き小学校下の海岸は砂浜で、「日本手ぬぐい」を友達と二人で端と端をもって1mも移動しながら救うと、カニやえびの幼生が獲れた。子供たちは遊び場を失い、学力だけでなく体力も全国平均を下回っている。
もう一つ都合が悪いことがある。爆弾低気圧が発生して大雨が降れば「恋問い川」が氾濫する。防潮堤が閉まってしまうと雨水の行き場がなくなり、洪水被害を拡大することになりかねない。これを解消するにはポンプで排水するしかない、弁天島のラインに防潮堤を造れば排水が不可能になるから沿岸部に防潮堤を造るしかないだろう。I沢書店主が言っていたが、「あっというまに水位が上がって、低いところにおいてある本を上げる間もなかった」、大雨が降ると住んでいる人ですら、対応が間に合わない。設備ができたとして排水がタイミングよくできるかそれも問題だ。メリットとデメリットをそれぞれきちんと検討すべきだ。
よしんば防潮堤ができても緑町商店街や広小路飲食街が復活するわけではない。人口減少や消費者の好みの変化で、ニーズがなくなっていくのだからどんどん寂れる、しかたのないことなのである。
水害にあった辺りの地価はさらに下がって坪単価3万円以下でなければ売れないだろう。地主から要望があれば市で全部買い取って更地にすればいい。1万坪買い取ったって3億円で済む話だ。
緑町商店街の復活が無理なことは市民はみんな知っている。すでにシャッター街だ。7月の盆踊りのときには真っ赤な提灯街燈が並ぶ。9時過ぎに人っ子一人いないその中を散歩すると不思議な感じのすることがある。町から人が消えてしまったような、宮崎駿の世界が出現するのである。いいではないか、昭和30年代に毎日2~5千人以上の買い物客でごった返した緑町商店街がなくなっても、団塊世代の記憶の中に生き続けている。
パン屋さんから200mも行けば坂を上がる、その左右に空き地や空き店舗がある。もっと上の水害のまったく心配の要らない場所がいくらでもある。北海道銀行の向かいも空き地になっている。根室の旧商店街は空き地と空き店舗だらけだ。
空き店舗が多いということは客が来ないということ。緑町大通り界隈では商売は難しい。よほど商品に特徴がなければ客が車で買いに来ないから続かない。
根室のパン屋さんの作るパンは、北海道産の原料を使っていてドイツ風のしっかりした製品もあるよと言われるくらいになれば、お店を移転しても客は来る。
浜中には「粉の実」、別海には「オーク」があって、しっかりしたパンをつくって人気が高い。どちらのパン屋さんも管理が難しい天然酵母のパンだ。浜中の「粉の実」さん、規模は小さいがいいパン作りによくがんばっている。
人口がどんどん減っているから、良質の高級なパンを買う顧客層も減っているのだろうから、根室で腕を磨いたら札幌へ転出という手もある。信金本店前のお菓子屋さんも緑町2丁目にあったS崎ケーキ店も札幌へ移転した。
緑町商店街は盆踊りの会場になったり、金刀比羅神社のお祭りの神輿のお旅所があり、夜店が並ぶ。市が買い取って広い空き地ができたら、なにかできるかもしれない。たった3億円の対策費でできて、子どもたちに借金を残さずにすむ。
根室市は市債新規発行枠を8億円と決めたが一度も守っていないようで、倍の市債を発行した年度もある。そろそろ放漫財政はよそう。それが根室に住む大人の節度だ。
<余談>
わたしは最近はホクレンショップの食パン「かがやき」をよく食べる。5枚切(2.3cm幅)にカットしてもらう、そして冷凍庫へ保存。
噛めば噛むほど「かがやき」のおいしさがわかる。8年前に癌で胃の全摘をしているので、何でもよく噛んで食べないと腸が炎症を起こすので、よくかむ癖がついた。よく噛むと物の味の良し悪しがはっきりする。胃がないからたくさんは食べられないから、噛んでおいしいものを少量いただいて満足するような体質と精神ができあがってしまった。(笑)
わたしは前から天然酵母のパンが好きだった。噛めば噛むほどおいしいのである。天然酵母のパンは固くて重量があるから、原料をしっかり使わないとできないから安くは売れない。でも、おいしければ60kmぐらいの距離でも月に一度のぜいたくと考えて出かけようかという気になる。ホクレンショップでおいしいパンを焼いているので、別海と浜中に出かける回数が減った。
「かがやき」は天然酵母ではないが風味が独特なのは、使っている小麦なのか酵母によるものなのかよくわからない。値段は540円、同じサイズで東京聖蹟桜ヶ丘駅の京王百貨店の1階にあるパンの名店「神戸屋」さんのパンは600円くらいだった。ホクレンショップの食パン「かがやき」は殆ど東京の一流店一緒の値段だが、お店の人に聞いたら人気があってよく売れているそうだ。だれでもおいしいものは食べたい、プチ贅沢ならebisuにもできる。
根室のパン屋さんもがんばってください。
*「粉の実」
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.490131914407800.1073741837.364218923665767&type=3
*「オーク」
http://blog.gutabi.jp/area080/2013/04/005716.html
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明治公園の再開発に一人1万円、と言ったらたぶん却下でしょう。高潮対策も最初からいざという時低地だから浸水するという前提ならおっしゃるとおりだと思います。
市や国の予算はどんぶり勘定の最たるものですね
by もやしさんま (2015-01-09 23:16)
もやしさんまさん
明治公園の再開発予算は40億円ですから、1.2万世帯で割ると、1世帯当たり33万円ですよ。
そんなに負担をしても再開発したいという市民は委員長だった元信金理事長と建設業者だけ。
高潮対策で防潮堤建設に100億円なら、1世帯当たり83万円です。
そんなにかかる。高いところがいくらでも空いているのだから、そちらへ移転したらいい。跡地を市が買い取ってあげたら十分でしょう。
誰のための市政なのか冷静に考えてみたいものです。
大きな負担を次の世代に残すのはやめたいものです。わたしは次の世代へ大きな負担を残すのは断固反対です。根室の町がダメになる。
ふるさとが大事だからあえて発言しています。ダメなことはダメです。
by ebisu (2015-01-09 23:28)