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#2357 臨床試験でデータ捏造: "Data in Novartis drug study manipulated" July 16, 2013 [74.高校・大学生のためのJT記事]

  7月13日ジャパンタイムズの一面に載った記事を紹介する。
 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床試験(2001~2004年)でデータ捏造のあったことが判明した。
 前臨床試験(動物試験)を経て安全性が確認されると、次は臨床試験となる。薬剤の効能や副作用を人間で確認するために臨床試験が行われる。いわば人体実験のフェーズ。
 ここでインチキがあっては薬の安全性や効能が根底から覆されるから、あってはならぬこと。

 この薬は日本市場だけで年間1000億円、全世界では6000億円もの売上のある降圧剤である。高血圧の薬だから患者数が多く市場は大きい、9年前の「大型新薬」といえるだろう。京都府立大の元教授(2月に退職)の研究だが、データ処理をノバルティスファーマの社員にまかせっきりにしていたようだ。研究論文にはノバルティスファーマ社員である身分を隠して大阪市立大非常勤講師という肩書きが記載されていた。

 臨床試験にはさまざまな職種の人が関係するが、この臨床試験の中心は医師だ。ところが臨床データの統計処理を自分でやれる医師は少ないから、だれかに任せるか、外部の受託機関へ統計処理を依頼することになる。臨床試験グループに製薬メーカの人間が混ざっていて、統計処理を一人でやっているとなったら、臨床試験の結果自体が疑惑をもたれるのは当然のことで、そういう人選や仕事の任せ方をしてはいけないのは、当然のことだ。当該研究をした京都府立大元教授が統計処理を担当した人がノバルティスファーマの社員であることを知らなかったことは実務上ほとんど考えられない。チームの一員で、大事な統計処理を担当した者の身分を知らないなどということはありえないのである。
 応用生物統計学に関する研究室は全国に二つ(十数年前の情報)しかないので、応用生物統計の専門家は少ない。
  何が疑惑の引き金になったのかを調べてみたら、バルサルタン(ディオバン)と「従来治療群」の比較データが出てきた*1。標準偏差が同じになっている。複数項目で同じになっているから、データを統計処理した経験のあるものなら誰でも違和感を抱くはず。こんなことはありえないのである。片方のデータから定数を引いて他方のデータとすると、平均値は異なるが標準偏差の同じデータが簡単に作りうる。そういう操作を強く疑わせるから、これではデータ操作をしましたと公言しているに等しい。私は34年前(1979年から5年間、そして1990年頃)に経営分析で線形回帰分析を繰り返しやったことがあるが、標準偏差が同じデータにはお目にかかったことがない。
(当時(1979年)のパソコンはオモチャ同然で仕事のシーンでは使いものにならなかったので、科学技術計算用のプログラマブル・キャリュキュレータHP67とHP97 を使ってデータ処理していた。1991年頃だったと記憶するが子会社・関係会社と管理する部門に所属していたときにはEXCELで基本統計量が簡単に計算できるようになっていた。)
 こんな杜撰な捏造処理を専門家がするわけがないから、データ加工をしたノバルティスファーマの社員は応用生物統計に関しては素人だろう。基礎学力の確かな者ならこんな捏造はしない、専門家が十人見れば十人ともデータの捏造を見破るに決まっている。統計の専門書を読み、実際にデータをいじってみたら誰にでも分かる基礎的レベルの話しなのだ。1970年代は中学校で統計処理を教えており標準偏差や偏差値については中学生でも基礎知識があったから、その年代の人はこのデータの「奇異」さが理解できるだろう。統計学の基礎的概念は中学生でも理解できるし、実際の計算トレーニングでその方法を習得可能であるから、統計学の基礎的なところは昔のように中学校で教えるべきだ。
*1 「ディオバン(バルサルタン)の臨床研究の統計学的懸念の解説図1」がページの中ほどに載っている。
http://diovan-novartis.blogspot.jp/

 この手のデータ処理には専門資格制度が必要ではないか。「応用生物統計の研究室でドクター前期課程を修了した者」というようなガイドラインを業界内で作ればいい。

 世界の製薬メーカはこの20年間で統合が進んで、小数の巨大企業が世界市場を寡占支配している。だからその研究費も膨大で、日本では日常的に大学研究室へ寄付行為がなされている。これではお金を媒介にして癒着が深まるのは当然のことだろう。
 ご多分にもれず、当該元教授の研究室もノバルティスファーマから1億円を超える寄付金を受けていた。1億円ももらっていたら、そのメーカの臨床試験に手心を加えたくなるのは自然な成り行きだ。
 このようなわけで製薬メーカから大学研究室への寄付金は元々問題が大きい。

 薬学部や看護専門学校などへの進学を考えている高校生に読んでもらいたい記事である。もちろん、薬学部や医学部の学生そして看護専門学校生も読んで考えてもらいたい。次にこの手の事件が起きるときには君達が不正に関係しているかもしれないのである。そういう緊張感をもって読んでほしい。そして、進学したら統計学もしっかり勉強してほしい。自分の周りの関係者がこういう意図的な操作をしたときに見破り、忠告できる能力を身につけておこう。コンプライアンスをしっかりするには、関係者の基礎的学力のレベルが問題になる場合もあることを知っておきたい。

 (ニムオロ塾では高校生の時事英語授業でこの記事を取り上げる。塾長ひとりで教えているから生徒の数は少人数だが医学部進学希望、薬学部進学希望、看護系専門学校へ進学希望の生徒がいる。大事に育てたい。)

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/07/12/national/data-in-novartis-drug-study-manipulated/
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Data in Novartis drug study manipulated

Kyoto university sounds alarm on researcher's claims about hit blood pressure medicine Diovan

Kyodo

The data used in a clinical study on Novartis Pharma K.K.’s blockbuster blood pressure drug Diovan were manipulated, Kyoto Prefectural University of Medicine has revealed.

The research, based on around 3,000 Japanese with high blood pressure, was started in 2004 by Hiroaki Matsubara, a former professor at the school who published papers between 2008 and 2012.

His study concluded that Diovan, generically known as valsartan, is more potent in reducing angina and strokes than other antihypertensive medicines.

Facing reporters Thursday, a university official said its investigation showed that “it is highly likely that this conclusion was erroneous.” The university said it does not question the drug’s effectiveness at lowering blood pressure.

Asked if Matsubara could have deliberately tweaked the data, Shinji Fushiki, vice president of the university, said the researchers’ conflicting accounts are making it hard to pin down.

“Those involved in the research give accounts that do not match up with each other, so we don’t know who did manipulation where,” Fushiki said.

Last December, Matsubara requested that his papers be withdrawn because of “data problems” after the data in his study were questioned.

Data manipulation in such a large clinical study is thought to be rare, and it is believed the university is considering filing a criminal complaint.

A lawyer representing Matsubara said the researcher did not alter the data.

“We are surprised by what was said at the news conference. We would like to withhold any specific comments at this point. (Matsubara) has not been involved in the manipulation,” lawyer Rei Hashiguchi said.

Matsubara’s research on the drug has been called into question on other fronts as well. A Novartis Pharma employee was involved in analyzing statistical data but the employee’s affiliation was not indicated in the papers. Matsubara’s research team was also known to have received more than ¥100 million in grants from the drugmaker.

Novartis Pharma, a unit of the Swiss pharmaceutical group Novartis, said in a statement that it “cannot confirm if there had been any deliberate acts” of data manipulation in the course of research because of the inadequate account in the university’s report.

The university’s report, however, said Novartis Pharma refused its request to interview the employee in question. The drug company said the request was rejected at the strong behest of the employee, who has retired from the company.

While noting the university’s acknowledgement that its drug effectively lowers blood pressure, Novartis said it regrets the case is causing tremendous concern among university officials and patients. Diovan is one of its flagship products and generates just over ¥100 billion in revenue in Japan.

The Novartis employee in question was also involved in Diovan research at Tokyo Jikei University, Chiba University, Nagoya University and Shiga University of Medical Science.

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【関連記事のURL】
周辺知識があったほうが記事の理解がしやすいだろう、下記の解説を参考にしてください。

「ノバルティス論文疑惑、バカを見るのは患者?」(東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/14212

「松原弘明ディオバン撤回論文、ノバルティス社員が関与・寄付1億」
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-3242.html

「ノバルティスファーマ 医学界、製薬業界を震撼させた論文データ「捏造」疑惑」
http://medical-confidential.com/confidential/2013/07/post-568.html


 プログラマブル・キャリュキュレータHP67とHP97について
 #1661 情報処理検定試験(9月25日)が近い: RDマシンと科学技術用計算機HP67 Sep. 23, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-09-23-2

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X

H院長の出身医局の元教授、現学長も捏造問題の渦中。
H院長も捏造問題に?

by X (2013-07-30 23:44) 

Y

旭川医科大学
ほうこう
札幌医科大学
札医派遣
札幌出張
札医学長選挙
札医医局週末待機医師派遣
札医医局退局医師再入局
小児科医師再入局
学長派反学長派
整形外科元根室病院医師動向
by Y (2013-07-31 22:40) 

Z

文字通り根室に根を下ろし、根室市民の血税を吸い上げ続ける医大。血で満腹のダニは、いずれ自然に落ちるだろうが、その時の根室はぺんぺん草も生えていない!?



by Z (2013-08-02 08:38) 

真夏の夜の夢

「Y」氏の列挙を通訳すると

市立根室の現院長は元々旭川医大に居たが、途中で”辞め”札医大に入り直した。

札医大循環器内科に所属していたが、道の地域医療枠で医師が4人まで激減した市立根室病院に派遣され、内科業務と当直医業務のアルバイト医師を札医大からどんどん呼び寄せた。

表面上医師が”増えた”事に市長は喜び、やがて行政の首長のH市長、現場のH医師、パイプ役の医師招聘対策室長(現S参事)の3人組がタッグを組んで前院長追い出しに成功。H医師は希望通り晴れて市立根室の院長に。

その頃H医師の母校の札医大では前学長の任期が終わり学長選挙に。当初H現院長をシカトしていた札医大循環器内科のS教授が学長選挙に出馬。

H院長は札医大からの応援医師確保の名目で激しく札幌と根室の間を往復。一説には年に160日の出張。札医大はH院長の要請を非常勤医(アルバイト医)を増やすことで応える。週に3日程度の勤務の彼らは週末には札幌に帰るので、週末には彼らの代わりの待機当番の医師が札幌からぞくぞく根室へ。(根室から湯水の如く”金”が札医大に流れる)

学長選挙で循環器内科のS教授が当選!

今年度は現小児科O医師(副院長)の定年で小児科医不在の恐れ、更に北大小児科からの支援体制の経費に頭を痛めた病院側が、札幌で開業していた小児科医を招聘することに成功。その小児科医は札医大小児科のOBなので個人的な根室赴任の挨拶に小児科の教授に挨拶に出向いたところ、「どうせ根室に行くなら道の地域医療枠で」と例の如く大学側が彼を利用。(大学は一人分の助教枠が当たり、病院側も大学医局がずっと面倒を見てくれるだろうと大歓迎)。

かって同様な形で根室に赴任していた整形外科医(K?一説には自分も根室の院長を狙っている)が、あまりの待遇の良さにまたぞろ根室に(アルバイトとして?)来たがっている?

一応解読してみました(汗)

by 真夏の夜の夢 (2013-08-02 09:15) 

ebisu

一週間ほど「夏休み」をいただいていました、久しぶりにコメント欄へ書き込みます。

Xさん、Yさん、Zさんの三人ともに、札医大と市立根室病院長とのかかわりを示唆したり具体的な事実を書いたりしています。

ハンドルネーム「真夏の世の夢」さんはそれら2者の間に大きなお金の流れのあることを書いてくれています。
この数年間に市立根室病院の赤字が8億円から11億円台へ3億円ほど増加し、その後16億円を超え(昨年度)、今年度はそれをさらに上回る規模の赤字が予測されています。
ご指摘のルートでの資金流出による赤字増大はせいぜい半分。他にも大きな赤字増大要因がありそうです。
仕事の不手際、そして呆れるほどの放漫経営の実態があるのでしょう。
市立根室病院がこのまま赤字増大を続けると、数年以内に根室の地域医療根室市の財政が破綻します。

これを回避する道が残されているかどうか検証してみたいと思います。
病院は赤字増大に関連する情報開示が必要です。市議たちがなぜ開示要求しないのか不思議です。ブログ本欄で具体的な問題をあきらかにすることになるでしょう。

大きな仕事のチョンボを見過ごさない、具体的な問題をとりあげて是正を要求しなければ根室の地域医療と根室市の財政が破綻します。
各種経済団体、根室の有力企業主と市長がお互いなあなあで好い加減な市政を続けていると根室の町の衰退は加速します。

自分達の町は自分達でなんとかしようと住民が声を上げないと町はよくならない。
ebisuにできることは問題を明らかにすることだけです。
by ebisu (2013-08-09 12:10) 

月よりの使者

>臨床試験にはさまざまな職種の人が関係するが、この臨>床試験の中心は医師だ。ところが臨床データの統計処理>を自分でやれる医師は少ないから、だれかに任せるか、外>部の受託機関へ統計処理を依頼することになる。

医師できちんと統計を理解しているのは稀です。だから殆どが使用する統計手法の意味も分からず使っています。
もう大分昔に成りますが、学会で東大の助教授が自身のデータをスライドで示しました。
「何故この統計手法を使うのか自分には分かりませんが、〇〇製薬の方に頼んで検定して貰いました。その結果がこちらで、P<0.01で明らかな有意差が認められました」
その助教授、その後筑波の教授に栄転しました。

何せ、測定値が全面に分散していても真ん中に斜線を引き、「r=0.3で有意な相関が認められました」と言うレベルですから(笑)。

by 月よりの使者 (2013-08-14 08:23) 

傍観者

H市長、H病院長、この二人の企みを阻止しない(出来ない?)口先だけのH市議会議員・・・少なくとも根室の行政の或る部分はこのHHHトリオによるトロイカ体制??

今度の市議会議員選挙、一人しか落選しないようですから、またH議員は当選するんでしょうな。
by 傍観者 (2013-08-14 08:35) 

ebisu

月よりの使者さんへ

ずいぶん昔の話でしょうね。スキャッタグラフをみただけで相関があるかないかは一目瞭然のデータだったようですね。相関係数0.3で有意な相関ありですか、触らぬ神に祟りナシでだれも間違いを指摘しないのでしょうね。
昔は、データの元に成っている検査データの信頼性も疑わなければなりませんでした。好い加減な測定をしている検査センターがありました。

EXCELが統計処理に使えるようになってから、大学教養課程の統計学で基本統計量を計算するような授業プログラムになっているようですから、もうご指摘のような医者はほとんどいないはずです。

十数年前は応用生物統計のプロは50万円ほどの統計解析ソフトを使っていました。名前は忘れましたが、それが事実上の世界標準ソフトでした。

医師は病気を治すのが本業で、統計解析など本来の仕事ではないという意識があったのでしょうね。
そのとおりですが、臨床試験のデータの統計処理は製薬メーカの社員ではなく、応用生物統計のプロがしっかりやるべきです。少し統計をかじったことがある程度の製薬メーカの社員ではデータからとんでもない結論を引き出してしまうことがマレにあるのでしょう。「お手伝い」して自社の薬に有利な我田引水ともいえる結論を書きたくなる。気持ちは分かりますが、そういう方向に流れるように人間はプログラムされています。

だから臨床試験にかかわる統計処理は医師本人が自分でやるかプロの第三者機関に委託を義務付けるべきです。製薬メーカの社員がかかわってはいけません。トラブルの元です。(笑)

同じことは、市立根室病院の医療事故判定にも言えます。診療側が最終判断にかかわってはいけません。診療側からは独立した人間が判断すべきです。そうしないと不都合な医療事故を事故扱いしないで隠蔽する恐れが生じます。大丈夫ですか?

"火のないところに煙は立たぬ"
by ebisu (2013-08-14 09:24) 

ebisu

傍観者さんへ

議会改革等調査特別委員会が3年余検討をした結果、定数2名減の「改革」をしましたが、市議が2名引退した結果無投票選挙になるところでした。
前議員のEさんと新人立候補のカツヨさんの二人が割り込んで、なんとか選挙の体裁がついたようですね。
でも18人の定員で立候補が19名では、やはり実質無投票当選のようなものです。
これでは市民はますます選挙に興味を失います。
12名程度に減らしたらどうなんでしょう?競争激化でがぜんおもしろくなりそうです。そんな公約を掲げて選挙を戦う市議はいないかな?
by ebisu (2013-08-15 00:20) 

ペトロナス

杜撰な人選を行った結果、杜撰なデータ捏造に繋がる、有り得ないことだと思います。
平均値を変えても、標準偏差が全く同じ数値になるように捏造した場合、中央値や最頻値が変わる可能性が高いので、現役の中学生2、3年生もしくは高校1、2年生なら捏造だと簡単に見抜けるのではないかと思います。

今の高校3年生から30代半ばの方だと何処かで統計学を学ばないと何処がどう捏造なのか分からないと思います。
(私は情報処理試験の受験勉強で勉強しました。その後に大学で統計学の講義をとったのでさらに理解が深まったかと思われます。)

(追記)
計算方法だけなら中学生でも分散、標準偏差でもマスターできると思いますが、分散の計算方法の導き出しの過程で、高校の数列で学習するΣ記号を使わないと説明が出来ないので、個人的な意見ですが中学校の段階では取り扱わない方が良いのかなと思います。(現状数Ⅰで「分散、標準偏差」を学習して、数Bの数列の和を学習したあとに、ふりかえりとして授業で「分散の計算方法」の導き出しを説明した方が理解が深まるのかなと思います)




by ペトロナス (2013-08-15 01:13) 

ebisu

ペトロナスさんへ

投稿ありがとうございます。
中学校で統計をやらなかったということは生まれた年が1960年よりも後ですね。
1970年代半ばに東京渋谷の進学教室で中学生に統計を教えた記憶があります。その当時は教科書に統計が載っており、電卓を使って表計算をしてました。だから∑記号を使わずとも計算もできるし、考え方もある程度伝わったと思います。
その当時の東京都で実施されていた学力テストの結果通知票には都内全域の平均点や偏差値の他に、学校の平均偏差値や個人別の学内順位などが科目ごとに記載されていました。
だから、その表を利用して、偏差値の説明もしていました。
それゆえ、結果通知票を理解するためにも中学生に統計の計算方法を教える必要がありました。偏差値がなんだか理解できないのでは、通知票に記載されている偏差値に意味がありません。ダダの記号で終わらせないためには、その記号の意味理解が不可欠であり、それが教育というものだろうと考えます。

>計算方法だけなら中学生でも分散、標準偏差でもマスターできると思いますが、・・・

教えた経験からは偏差値にまつわる基礎的な統計概念は中学生でも計算方法とともに十分に理解できます。教え方次第でしょうね。

数学的にきれいに説明しようと思うとあなたが言うように∑記号を使ったほうが便利がいいことは事実です。
数列は数Bですから高校2年生ですね。根室高校は2年前まで数Bは選択科目でした。数年前までの事情を考えると、数Bの選択は理系進学コースの選択科目でしたから、三分の一の生徒しか統計の数学的な説明を受けられないことになります。
統計の基礎的な部分は高校生全員に理解してもらいたい。根室高校普通科では進研模試を強制受験させていますが、その結果通知票には偏差値が載っています。1年生は6月に最初の全国模試を受験するスケジュールになっています。だから、中学生のうちに統計の基礎的部分はきちんと理解させておかなければならないだろうと私は考えています。

ところで古い数学の参考書を見て驚いたので、そのことに触れておきます。
1974年出版の数学の参考書では、数1に三角関数や平面ベクトルが含まれています。これらは現在は数Ⅱと数Bでそれぞれ扱われています。
そして数ⅡBで空間ベクトル、行列が扱われています。
高校数学は40年前は現在よりもすこしレベルが高かったようです。

高校進学率が高まり、高校生の学力レベルが下がったので、そうした事情に合わせて学習指導要領が変更されたのでしょうが、いつ変ったのでしょう?
高校生の学力が下がるわけです。団塊世代の頃は根室ではほぼ三分の一が道立高校への進学率でした。だから成績上位層対象のカリキュラムでよかった。全国的にも似たような状況だったのでしょうね。
高校のレベルを上げるには、進学率を下げるような仕掛け=競争の導入が必要ですね。
昔のカリキュラムについていける学力レベルは現在の高校生の半分以下でしょう。
気になるのは根室高校の数学定期試験のレベルがこの数年間じわじわ低下し続けていることです。教科書附属の問題集からそのまま出題するようになってきました。
これでは学校の定期テストで90点以上とれても全国模試では平均点すらとれません。
数学で定期テスト学年トップ、そして進研模試で偏差値45などという情けないことになります。

市議選挙が近いのですが、市議たちはもっと学力問題に関心をもってもらいたい。根室に残る者たちの学力レベルがこれ以上低下したら、いろんなところで支障が起きます。現実に市立根室病院建て替えでも、赤字の拡大でも、すでに手がつけられない状態になっています。


by ebisu (2013-08-15 10:44) 

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