SSブログ

#2224 地域医療(根室)の解説:出産予定の人たちへ  Feb. 24, 2013 [26. 地域医療・経済・財政]

 2日前に流氷が接岸して海はクナシリまで真っ白、まるで歩いていけそうに見えていた。その凍てついた海を渡ってくる北風は冷たい。なのに今朝は霧がかかったようなおかしな風景だった。空気中の水分が裸のモミジの小枝で凝集して白く凍り付いて朝日に輝いていた。一体どういう気象条件でこういう珍しい光景がうまれるのだろう。

 市立根室病院の産科がどうなるのか、ハッキリした情報がない。もちろん、市立病院のホームページでも具体的な説明はない。
 これからどうなるのか心配なお母さん達やこれから子どもを産む予定の女性達へ必要な情報が提供されていないし、そうした努力をするつもりが関係者になさそうにみえる。弊ブログを読んで地域医療には的確ですばやい情報発信が大切なことを関係者に理解してもらいたい。

 市立根室病院産婦人科の問題だけでなく、根室と中標津町立病院や釧路日赤病院との関係もよくわからないと言うのが、ほとんどのお母さん達だろう。

 妊娠⇒出産⇒母としての健康管理と子どもの病気

 この一連の流れの中で医療がどうフォローされるのか理解しておけば、何かあったときにあわてずに済むかもしれない。弊ブログのコメント欄にある若いお母さんから市立根室の産婦人科診療は今後どうなるのだろうという心配の声が寄せられた。

 ebisuは根室の地域医療の現状にがっかりしてしばらく地域医療問題については休筆するつもりだった。そう弊ブログで宣言したのだが、病院経営赤字、医師招聘などに関する投稿が続いた。コメント欄だけで対処していたが、本欄で対応すべき投稿があった。

 まだ、お顔はみたことがないが、存知よりのお母さんから質問をいただいたのでそれを紹介すると同時に、専門家から詳しい解説をいただいたので並べて皆さんの参考に供したい。

 解説いただいたドクターはもちろんいろんな事情を熟知しておられるが、ブログのコメント欄へ載せるわけにはいかないこともあるので、具体的な問題への言及をあえて避けておられる。それでも充分にみなさんが地域医療について具体的な問題を考えるための情報となっている。
 弊ブログがこういう情報交換の場になるのはブログ管理者としては喜びである。

*#2210 市立根室病院はどこへ行く?  Feb. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-14
=============================

18日から産婦人科の常勤医がまたお休みになられてるんですが、復帰して1ヶ月もたっていません…その前も半年以上お休みしていたんですが、今後どうするんですかね?
(2013-02-19 22:42)
--------------------------------------

○○さんへ

 産婦人科の件でご心配なされているようですね。市立根室の産婦人科は、かって常勤医が不在になり北大からの短期出張医が繋いだ後に週に2日の外来診療で細々と繋いでおりました。勿論妊婦健診は行いますが、お産は扱いませんでした。

 現在の常勤医は健康上の理由でしばしば外来診療を休んでいるようですが、恐らく今後は常勤医として働くのは無理でしょう。
市立根室には現在釧路赤十字と町立中標津から交代でやはり週に2日ほど外来応援が来ていますが、今後はその形が継続されるものと思われます。

 ご存じのように道東の産婦人科医は釧路赤十字の産婦人科(北大系)に集約されます。そのため釧路では年間のお産が桁違いに多く(4桁)自分の病院での業務も大変ですが、まあ医師数が多いので何とか根室に週に1日の外来応援は可能なようです。また北大産科のM教授(北大では産科と婦人科それぞれに教授が居る)は旭川の吉田学長と同様、地域の産婦人科診療の問題に何時も気を配っている方なので、取り敢えず産婦人科は戦線縮小ですが部隊の撤退は無いと思われます。

 ただこの産婦人科の問題、順調な妊婦さんなら週に2日の外来診療でも十分なのですが、時に早期破水や切迫陣痛などの予期しない経過が常に考えられます。その際(緊急時)に根室では無理ですので釧路赤十字に搬送するケースが多いのですが、場合によっては町立別海ないし町立中標津に送るケースも考えられます。しかし実際には様々な障害が有ります。
ですが敢てここではそれについては書きません。その理由については想像にお任せします。ただこれだけは申し上げます。

 「一見何とか順調に機能しているように見える道東の産婦人科医療のシステムも、実際には薄氷を踏むような現場の努力が有ってこそで成り立っている」 
(2013-02-24 18:02) 
=============================

 ほんとうは市立根室病院の事務長がこうした心配に病院のホームページ上で答えるべきなのである。ホームページはあるが、患者に必要な情報が少ない。市立病院なのだから、もっと市民へ積極的に状況説明や情報開示してもいいのではないか?建物だけでなく市民への情報発信もよくなったらすばらしい。

 根室の産科医療は実に危うい状況にあるようだ。昨年190人の新生児が生まれているが、これをいつまでも別海町立病院や中標津町立病院や釧路日赤病院に「おんぶに抱っこ」というわけにはいかないのだろう。地域医療はそこで完結しなければいけないコアの部分があるようだ。産科や小児科そして老人のターミナルケアのための療養型病棟もコアに入るのだろう。
 全部を根室でそろえるわけには行かないとすれば、具体的に、どの科の医師を市立根室病院で確保すべきであり、具体的にどうしたら確保できるのかを議論すべきなのだろう。
 小児科のように医師の過重な負担を減らすために市民の側の意識改革や啓蒙が併行して必要になる診療科もある。
 根室の地域医療を市民も考えなければならない時期に来ている。

 この記事へはたくさんのコメントが寄せられた。「市立病院指定管理者」というおもしろいハンドルネームをお使いになって投稿された方もいるが、あまり紛らわしいハンドルネームの使用は現実の仕事を担当している方にご迷惑がかかる場合もあるのでご配慮願いたい。
 そういう問題は別として、具体的な問題についてのさまざまな意見や市民には知りえないような専門的な情報開示がなされているので、地域医療に興味のある方はどうぞ読んでください。諸事情を知った上で、根室の地域医療がどうあるべきかについてebisuとともにお考え戴きたい。

 時間と暇とご意見のある方は弊ブログコメント欄へ遠慮なく投稿されよ。ebisuには答えられないことでもフォローしてくれる投稿者がいる。よき集いの場になることを願っている。


【2月26日コメント欄からアップ】
===============================

常勤医の問題は、2点あると思います。

 1.休業中も給料が支払われている(全額かは分かりませんが)
 2.他の産婦人科を探しているのか

1については、永年勤めている医師なら、いざ知らず、赴任してまもなく長期休業されているのに給料が支払われているのは問題ではないのか。最初の契約がどうだったのか知りませんが、一般企業に勤めたことがある人なら、納得できる回答ではないと思います。その上、出張医の手当がありますので、二重に無駄ではないのかな?と思います。

2は常勤医が赴任以来、全く話題に上がりませんので、そこまで本気で探していないと思います。周産期を扱うためには、まずは助産師、看護師の増員、小児科医の確保、それからでも遅くないので、以上の点に置いても全くやる気が見えません。

以上のことを踏まえて、常勤医に退職を迫れないのかと聞いた所、それは出来ないととある方から言われました。

病院側からしてみれば、常勤医という名目が欲しいだけですし、常勤医としてみれば、給料が支払われているので辞めるメリットはありません。

私の周りにいるお母さんたちはもう根室で出産したことのある人は皆無です。長年、休止してますので、根室で産むという選択肢は全くありません。根室で出産経験者も入院中に扱いが酷かったと言っているので、再開しても根室で産む選択肢は少ないかな?と思います。個人的には常勤医は不在でも構わないかな?と思っています(出張医がいての話ですが)。

もしくは、助産師外来の開設が必要かと思います。勿論、問題ない妊婦さんしか見れませんが、何かあったら日赤に電話してください、と言われるのよりは数段ましかと思います。

と、言うのも私自身が6ヶ月で陣痛が来て、翌日が運良く出産医の診察日で救急車で日赤に運ばれました。私は医師の初期の手当が良く、そのままのべ3ヶ月に渡り入院、入院中に破水して、正期産には満たないですが無事に出産出来ました(破水から2時間もかからずのスピード出産でしたので、根室にいたら途中で産まれていたと思います)。入院した翌日に運ばれてきた妊婦さんは破水して数日たち、もう足が見える、という時点に達していました。緊急帝王切開で600gの超未熟児で出産しました。初産婦は何が破水で何がお腹の張りか陣痛か、なんて分からないですし、やはり助産師や医師の診断がないとそのまま放置してしまう場合もあるかと思います。

日赤の助産師さんに聞いたところ、年間10人ほどは車中出産があるそうです(標茶、阿寒方面も含めて)。保健師さんに言った所、そういうマイナスな発言はしないで、と釘を刺されてしまいました。勿論、稀な事例ではありますが、自分がその立場になった時に情報が少なすぎです。

道東の周産期医療は釧路日赤が拠点で、北見からもハイリスク妊婦が運ばれています。道東の分娩施設を見ても、別海は町民優先、中標津は帝王切開が出来ません。別海から中標津に廻され、逆子だったため、日赤に廻された人もいます。経産婦の正期産の順調な妊婦だけでも、分娩出来れば、また切迫早産などの入院だけでも見ていただければ患者の負担も減るんですが(見舞いの交通費もかなりかかるので)。

長々と書いてしまいましたが、再開するにも宙ぶらりんな状態と患者側から見ても、思うので、やるならやる、辞めるなら辞める(常勤医をなくす)、という最終的は判断が必要なのかな?と思います。
by 〇〇 (2013-02-26 19:53)
===============================


*#2208 市立根室病院の小児科はどうなる? Jan. 12,
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-12

 #2210 市立根室病院はどこへ行く?  Feb. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-14




にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(1)  コメント(13)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 13

〇〇

ハンドルネームを使うと弊害がありそうなので、ここでは〇〇に統一させていただきますね。

常勤医の問題は、2点あると思います。

1.休業中も給料が支払われている(全額かは分かりませんが)
2.他の産婦人科を探しているのか

1については、永年勤めている医師なら、いざ知らず、赴任してまもなく長期休業されているのに給料が支払われているのは問題ではないのか。最初の契約がどうだったのか知りませんが、一般企業に勤めたことがある人なら、納得できる回答ではないと思います。その上、出張医の手当がありますので、二重に無駄ではないのかな?と思います。

2は常勤医が赴任以来、全く話題に上がりませんので、そこまで本気で探していないと思います。周産期を扱うためには、まずは助産師、看護師の増員、小児科医の確保、それからでも遅くないので、以上の点に置いても全くやる気が見えません。

以上のことを踏まえて、常勤医に退職を迫れないのかと聞いた所、それは出来ないととある方から言われました。

病院側からしてみれば、常勤医という名目が欲しいだけですし、常勤医としてみれば、給料が支払われているので辞めるメリットはありません。

私の周りにいるお母さんたちはもう根室で出産したことのある人は皆無です。長年、休止してますので、根室で産むという選択肢は全くありません。根室で出産経験者も入院中に扱いが酷かったと言っているので、再開しても根室で産む選択肢は少ないかな?と思います。個人的には常勤医は不在でも構わないかな?と思っています(出張医がいての話ですが)。

もしくは、助産師外来の開設が必要かと思います。勿論、問題ない妊婦さんしか見れませんが、何かあったら日赤に電話してください、と言われるのよりは数段ましかと思います。

と、言うのも私自身が6ヶ月で陣痛が来て、翌日が運良く出産医の診察日で救急車で日赤に運ばれました。私は医師の初期の手当が良く、そのままのべ3ヶ月に渡り入院、入院中に破水して、正期産には満たないですが無事に出産出来ました(破水から2時間もかからずのスピード出産でしたので、根室にいたら途中で産まれていたと思います)。入院した翌日に運ばれてきた妊婦さんは破水して数日たち、もう足が見える、という時点に達していました。緊急帝王切開で600gの超未熟児で出産しました。初産婦は何が破水で何がお腹の張りか陣痛か、なんて分からないですし、やはり助産師や医師の診断がないとそのまま放置してしまう場合もあるかと思います。

日赤の助産師さんに聞いたところ、年間10人ほどは車中出産があるそうです(標茶、阿寒方面も含めて)。保健師さんに言った所、そういうマイナスな発言はしないで、と釘を刺されてしまいました。勿論、稀な事例ではありますが、自分がその立場になった時に情報が少なすぎです。

道東の周産期医療は釧路日赤が拠点で、北見からもハイリスク妊婦が運ばれています。道東の分娩施設を見ても、別海は町民優先、中標津は帝王切開が出来ません。別海から中標津に廻され、逆子だったため、日赤に廻された人もいます。経産婦の正期産の順調な妊婦だけでも、分娩出来れば、また切迫早産などの入院だけでも見ていただければ患者の負担も減るんですが(見舞いの交通費もかなりかかるので)。

長々と書いてしまいましたが、再開するにも宙ぶらりんな状態と患者側から見ても、思うので、やるならやる、辞めるなら辞める(常勤医をなくす)、という最終的は判断が必要なのかな?と思います。
by 〇〇 (2013-02-26 19:53) 

ebisu

〇〇 さん、具体的な情報とご意見ありがとうございます。

これから妊婦になる可能生のある方々も弊ブログを見ているでしょう。経験者の助言や情報開示はたいへんありがたいことだと思います。

わたしも、スキルス胃癌で入院したときに、他の胃癌の患者さん達から術後の経過や注意事項を聞けて、安心して治療を受けることができました。

>再開するにも宙ぶらりんな状態と患者側から見ても、思うので、やるならやる、辞めるなら辞める(常勤医をなくす)、という最終的は判断が必要なのかな?と思います。

こういう判断は女性ならではの大胆さが感じられます。男はうじうじしてなかなか決断できません。
関係者が弊ブログをみていたらご一考ください。

適当なハンドルネームを使って病院関係者から返信コメントがあれば、なお有益な集いの場になるでしょう。

これから子どもを産む人たちのために本欄へ追加させてください。
by ebisu (2013-02-26 23:14) 

事情通

道東の産婦人科医療(特に産科)に関して患者さん側からのご意見、大変興味深く拝見させて戴きました。基本的には仰りたい事は理解出来ますし、また全くその通りだと思います。

休みが多い医師に対して退職は迫れるか

産婦人科医個人の話では無く一般論としてですが、辞めさせるのは難しいですね。他の恣意的な理由ならばともかく、健康上の理由での欠勤に対して、「休みが多く仕事に穴が開き迷惑だから退職の御一考を」とは病院としては言えません。

 因みに一見話は飛びますが、どこの病院でも患者さんの診療費未納は山と有りますが、形式上年に一度くらい督促状(実際には案内状?)を出すのみで相手が無視したからと言って強制的に取り立てる事は今のところ有りません。最近は自動車税などの未納に対して行政側が税務署と連携して給料の差し押さえなどに踏み切る傾向に有りますが、同様の事が医療機関では二の足を踏んでいます。またこれもどこの病院でも言える事ですが、大都市の大病院などでは駐車場の有料化が進んでいますが、地方の敷地に余裕が有る病院の駐車場は殆ど無料(野放し状態)ですので、当然の如く近くの”部外者”が大手を振って車を停めています。酷いのになると「身障者用」のスペースにリフトアップした泥だらけの4WDが平然と停まっていたりします。勿論その様なケースで常習者は病院側も守衛室がチェックしていてどこの車か誰の車かは分かっていることが多いのですが、それでも強制排除することは有りません。
また最近かなり問題に成っている”救急車のタキシー代わりの使用”を防ぐために有料化してはと言う意見が多いのですが、これもなかなか実現しません。

これらの問題が何故少しも前に進まないのか・・・それは「病院は病気の”弱者”を救う所だ」と言う(理想かも知れませんが)前時代的な思い込みが世間に有ることが原因だと思います。勿論マスコミなどの影響も多大でしょう。いわばタブーの一つです。その”弱者”で有る筈の患者が外来でごろついて診療の邪魔(いわゆるクレーマー)に成っても直接暴力的な行為に及ばない限り警察を呼んで排除することも出来ません。

その様な建前を取っている病院が、職員である(やっと来てくれた)医師に対して「休みが多いから」程度では強い態度には出れる筈が有りません。病院が医師を辞めさせられるのは余程の場合に限られます。世の中には一応医師の資格を剥奪可能な「医道審議委員会」と言う組織が有り毎年何人かの医師がやり玉に上がりますが、それも覚せい剤に関わった、傷害や殺人事件を起こしたなどの誰が見ても反社会的な”極く悪質”なケースだけが対象です。基本的に医療の世界での医師の立場は斯様に(過)保護されています。

こんなエピソードを挙げておきます。

かって十勝から道東の病院を渡り歩いた年配の医師が居りました。道東ではそれぞれの病院で半年も保たなかった内科医ですが、何処に行ったのかと思っていたところ、最近風の便りに、住民が医師を追い出すことで有名な秋田県のK村と言う僻地の診療所に勤務しました。その事が医師専用の「m3.com」と言う掲示板で話題に成り、「どうせまた直ぐに逃げ出すだろう」と思っていたところ、やはり一か月余りで逃げ出しました。就職の際には村側の「健康は大丈夫ですか」と言う心配に対して「私は健康そのものだ」と大見得を切ったようですが、逃げ出す時の理由は「健康上の理由で辞める」だったそうです。

また隣町の町立病院でも、あまり外には出て来ませんが、病院側が非常に迷惑した医師(夫婦共に医師)を辞めさせようとして逆に「契約違反だ」と訴えられそうになり和解金(脅し取られた?)で縁を切ることが出来た冷や汗ものの事件が有りました。

これらはやや特殊なケースとは言えるかも知れませんが、その中に医療世界の実態やこれからの教訓がちらっと見て取れます。先ず医師の採用時点での問題ですが、基本的にどこでも医師不足に泣いていて喉から手が出る状態ですので、(医局人事などでは身元が分かっていて安心ですが)フリーで就職を希望された場合にどうしても相手が書いた履歴書優先で病院側が調べを入れる(興信所などを使い)ケースはあまり有りません。もし調べを入れていることが先方にばれると大抵見合いは破談に成ります。普通のけーすなら安心して採用するための当然のプロセスだと考えますが、相手が医師の場合はプライドを傷付ける事にも成りかねません。ま
言ってみれば「超・売り手市場」の世界なので採用側は腰が引けているわけです。

採用時から病院側がこんな及び腰の状態ですから、就職後は余程の正当な理由が無い限り辞めさせることは出来ません。(と言うか、しない)。ひたすら自分で辞めて行くのを祈るだけです。(まあ、そのように仕向ける事は有るようですが)。
たまたま運良く相手から辞めると言って来た時は病院側にとっては「ラッキー!」なんですが、それはそれで厄介な事も有ります。
短期間で辞めて行く医師の場合、それなりの原因(理由)が有る訳ですが、短期間で医療機関を渡り歩く医師の多くは必要上(?)結構法律には明るく、辞める際に一言「俺の事で何処かから照会が来ても何も言うなよ。相手が知っていたらこの病院が個人情報を流したとして法的な処置を取るからな」と脅しを入れます。ですから次の就職先はその医師の情報は殆ど分からないまま喜んで採用。後に臍を咬むことに成ります。言わば日本中を股に掛けた”悪い連鎖”が何時までも続く訳です。

助産師外来の件

かって根室は産婦人科常勤医不在の折には助産師外来をやっていました。週に2日は釧路赤十字から出張医が外来に来て居る時には良いのですが、それ以外の日には妊婦に何か問題が起きると助産師に電話が繋がり問診の結果必要が有れば他院(釧路赤十字、町立別海、町立中標津)の産婦人科受診を進める事に成ります。
〇〇さんが書かれたように別海は町民優先(実際には町民の方が別海病院を避けていることも多く、外科系の科も手術を中標津や釧路にも丸投げ)、中標津は通常の帝王切開はしますが厄介な症例は釧路に搬送している現状です。それで結局は釧路赤十字受診と成りますが、時に救急車での搬送が必要となります。その際根室市民である妊婦さんは(普段市立根室に掛かっていても)釧路行の救急車は使えません。勿論釧路と根室では行政の管轄が違うからです。

ではどうすれば患者さんは釧路の病院に救急車で搬送して貰えるのか。それには市立根室病院からの救急車要請が必要です。つまり市立根室病院の医師が診察するのが前提なわけです。その医師が釧路への搬送を決め病院長名で正式な搬送要請が為されます。そこで・・・鋭い読者の方は既にお気付きかも知れませんが、では助産師外来の場合は・・・前回敢えて詳細を書かなかった理由はここに有ります。


by 事情通 (2013-03-01 13:24) 

野次馬

かねてから「心臓カテーテル治療」で死亡した患者家族が根室市側を訴えていた訴訟で、裁判所が和解案を提示し市議会がそれを認めたとの事ですが、確か原告側の要求は8000万台後半だったと記憶しています。先日の道新に記事では和解金は9000万を若干越えているような・・・。

この差は一体何なんでしょう。和解金は全て家族に渡ので別途弁護士への報酬が加算されているのか。それとも根室市側(病院)に、これ以上裁判を続け不都合な事が表沙汰にされては困る(せっかく新病院をスタートさせたばかり)のでさっさと幕を引くために金額を上乗せした??

当初は「原告側の訴えを受けて立つ」姿勢と聞いておりましたが。

真実は「藪の中」かも。
by 野次馬 (2013-03-07 09:25) 

ebisu

野次馬さんへ
おはようございます。
裁判ってたいへんのようです、ずいぶん時間がかかりました。事故発生から5年、裁判開始から3年です。

本田市議がブログで市議会での質疑を載せています。
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2013/03/251-7d56.html

以下は本田市議の概要説明です。
-----------------------------------
>この度の損害賠償請求は、平成19年11月20日、市立根室病院が行った経皮的冠動脈インターペンション処置の実施に際し、説明及び適切な処置を行うべき診療契約の債務不履行ないしは注意義務違反があり、この結果、心タンポナーデを発症し、死亡に至った医療事故に係る逸失利益、慰謝料、葬儀費等83、314、501円の損害賠償を遺族が根室市に対して求めるもの。

>和解までに5か年を要した経過や病院の医療安全管理対策のあり方などについて質疑ありました。
-------------------------------------

以下は市長答弁です。
-------------------------------------
>・医療事故は、医療スタッフ個々の問題ではなく、市立根室病院全体・組織の問題であり、安全管理対策と情報開示の徹底を図ることが、市民との良好な信頼関係構築に繋がる
-------------------------------------

「病院全体・組織の問題」と書いてありますから、心臓カテーテルを実施した医師の過失ではなく、別のところ「病院全体・組織」に問題があったということでしょう。組織の問題をいうなら、当該医師の上司のジャッジに問題があったということなのかもしれません。具体的なことを答弁していませんから、そのあたりに何か不都合なことがあったということなのでしょう。
もう一つ読み取れることがあります。「心タンポナージ」発症後の処置に何か問題のあったことが察せられます。このあたりは診療上の問題ですから、ebisuにはドクターのほうから詳しい説明がなければ理解できない分野です。当時の上司はどなただったのでしょう?
出血を止める上でなにか判断ミスがあったことをこの文面が示唆しているようにも読めます。外科医か心臓内科医のテリトリーですね。専門家の説明がなければわからないし、あまり突っつくと地域医療上の大きな問題が浮上しかねません。フタをするのは賢明な措置でもあるのでしょう。いったん開いてしまうと、元に戻すことができません。

しかし、何が原因で再発防止にどのような改善措置がとられたのかは病院側は説明責任があると思います。病院の内規でもこれらは公表するようになっていたのではないでしょうか?

原因も再発防止策も明らかにしないまま幕を引くのでは患者が不安を感じます。
信頼される病院を作るのは簡単なことです。きちんと説明し、再発防止策を具体的に説明することではないでしょうか。

市議会は規程どおりに事故処理がなされたのかチェックする義務があります。
非公開の事故調査委員会でもいい、誰かが万全な再発防止策がとられていることを確認する必要があるのでしょう。

市議の中で医療に詳しいのは元病院管理職であった本田市議お一人でしょう。でも、彼も診療部門ではなく事務部門の一員だったにすぎませんから、荷が重いのかもしれません。
本件はなかなかきつい仕事です。
一人に押し付けてはいけないでしょうね、市議会の問題ですから。私の同期の友人が市議で病院監査委員をしていますが、協力しあえないものでしょうか。もう一人いれば、「文殊の智慧」が生まれるのかもしれません。しっかりした市議が三人医療問題をモニターしていれば、病院への信頼は厚くなります。

本件はebisuでも火傷をしそうな案件です。
たぶん、これ以上どなたも突っ込まないでしょう。
根室の地域医療がひっくり返ることになりかねませんから。

でも、フタをしてしまうと、市民や患者の病院への信頼関係に問題が生じます。
それは結局患者数の減少となるのでしょう。
市立病院以外に選択肢がない場合が多いですから、市民にとってはたいへん困ったことです。

病院経営に影響するでしょう。今年度の赤字額は16.7億円、医療訴訟文も入れると17.6億円の赤字です。藤原前市長・前院長時代の2倍の赤字額です。
赤字額(一般会計繰出金)の推移グラフが本田市議のブログの同じ記事に載っているので、ご覧ください。
来年度の赤字額は20億円を超えます。市税収入は28億円です。根室市はまもなく病院経営を維持できなくなります。

建物が新しくなると同時に、市民や患者から信頼の厚い病院になってほしいと願っている人がたくさんいます。
関係者の方々は正直で誠実なお仕事をされてください。
世のため人のため、どうかよろしくお願い申し上げます。


by ebisu (2013-03-07 11:34) 

ebisu

検索したら、「勤務医 開業つれづれ日記」というブログに当時の毎日新聞記事が載っていました。

http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-1385.html

「根室病院医療過誤訴訟:市側争う姿勢--口頭弁論 /北海道

「根室市の市立根室病院で治療を受けた後に死亡した男性(当時54歳)の妻らが同市を相手取り、総額約8330万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、釧路地裁(小西洋裁判長)であった。市側は訴えを棄却するよう求め、全面的に争う姿勢を示した」

「訴状によると、男性は出血性胃かいようの治療で同病院に入院していた07年11月20日、カテーテルを挿入して冠動脈を広げる治療を受けたが、この際に生じた出血が止まらず、翌21日未明、転送先の病院で死亡した。

 原告側は「医師は治療に際し、説明や適切な処置をしなかった」と主張。市側は「主張の詳しい内容は、今後の法廷で明らかにしたい」と話している」

野次馬さんの指摘の通り、市側は「全面的に争う」つもりだったようです。何か重要な理由が生じて方針を転換したようですね。
要するに原告側の主張を全面的に認めたということのようです。

胃潰瘍⇒心臓カテーテル

スキルス胃癌尾摘出手術は受けましたが、胃潰瘍で心臓カテーテル?やはり、私には無理、もう入り口から私には理解できません。
たぶん医者にしかわかりません。

診療行為が法や病院の内部規程の手続きどおりに行われ、説明がきちんとなされて、医者と患者の信頼関係が厚くなることを祈ります。
根室市民にとって、市立根室病院は地域医療に欠かせない重要な病院ですから。
by ebisu (2013-03-07 11:55) 

覆面弁護士

訴状によると、男性は出血性胃かいようの治療で同病院に入院していた07年11月20日、カテーテルを挿入して冠動脈を広げる治療を受けたが、この際に生じた出血が止まらず、翌21日未明、転送先の病院で死亡した

起きたことを素直に読めば
1 急性出血性胃潰瘍で入院中の男性
2 出血により循環血液量不足
3 心筋虚血状態、または心筋梗塞
4 心臓カテーテル治療を施行
5 冠動脈の狭窄部の拡張で冠動脈破裂
6 冠動脈破裂で心タンポナーデ
7 心タンポナーデで死亡

問題点
1 心臓カテーテル検査の必要性があったか
輸血で対応できなかったのか
必要性に対してカンファレンス等で議論があったのか
2 カテーテルの手技に問題はなかったか
狭窄はしていたのか
無理な手技をしていなかったか
3 心タンポナーデに救急処置をしたか
心タンポナーデに対して穿刺しなかったのか
カテーテル治療の合併症に対して病院のバックアップがあったのか
4 急性出血性胃潰瘍の状態が不明
出血が止まっていたのか
抗凝固剤の使用は可能な状態か



>確か原告側の要求は8000万台後半だったと記憶しています。先日の道新に記事では和解金は9000万を若干越えているような・・・
by 野次馬 (2013-03-07 09:25)

時間が経つにつれて勝訴した側の弁護費用等が増えます

この結果からみれば原告の完全勝訴です。
たぶん上記問題点全てで病院の過失なのでしょう。
by 覆面弁護士 (2013-03-08 06:44) 

ebisu

覆面弁護士さん、こんにちわ。

スマートな解説ありがとうございます。
この欄を読んでくれている読者のみなさんも事故の内容が理解できた方が多いのではないでしょうか。

さて、その次に問題になるのは再発防止策です。
>たぶん上記問題点全てで病院の過失なのでしょう。

推論が真だとして、どのような具体的な再発防止策があるのでしょうか?
診療マネジメントに大きな問題アリとのご指摘のようですね。
by ebisu (2013-03-08 12:56) 

覆面弁護士

ebisuさん おばんです

>訴状によると、男性は出血性胃かいようの治療で同病院に入院していた07年11月20日、カテーテルを挿入して冠動脈を広げる治療を受けたが、この際に生じた出血が止まらず、翌21日未明、転送先の病院で死亡した



起きたことを素直に読めば

1 急性出血性胃潰瘍で入院中の男性

2 出血により循環血液量不足

3 心筋虚血状態、または心筋梗塞

4 心臓カテーテル治療を施行

5 冠動脈の狭窄部の拡張で冠動脈破裂

6 冠動脈破裂で心タンポナーデ

7 心タンポナーデで死亡


上記での経過
1 急性出血性胃潰瘍の出血
基礎疾患の有無が不明 糖尿病、脂質異常症、高血圧等 
脳梗塞、心筋梗塞等の既往あるのか?
透析患者か?止血出来ているのか?
管理は消化器科 基礎疾患、または既往あるなら管理は消化器科と基礎疾患の医師
協議していたのか?

2、3、4 出血による急性冠動脈症候群
この時点で協議をして方針を家族に話したのか?
患者の状態により選択が変わってくる状況。
方法1 輸血
方法2 内視鏡的止血術
方法3 腹部カテーテル検査 止血目的
方法4 心臓カテーテル検査 冠動脈治療目的
方法5 何もできない
管理は消化器、循環器、基礎疾患等の医師だが総合管理
協議していたのか?

5 急性冠動脈症候群で心臓カテーテル
ここで方法3を選択。選択が正しいか不明ですし、また複合的な選択をしていたと考えますが。
心臓カテーテルで出血したと記載あるので術中の合併症。
ここで冠動脈破裂がわかっていたのなら、冠動脈バイパス術施行するか判断目的で心臓血管外科に相談または搬送
上記の記載だとわかっていたのに心臓血管外科にコンサルトしていない?または搬送していない?
協議で問題ないと判断?
心タンポナーデは起きないと判断?
心臓カテーテル検査で合併症があった時点で合併症に対して医療事故委員会または病院での協議が必要です。
協議があったのか?

6 心タンポナーデ発症
医療事故委員会が楽観的な判断をしたため?
死に至る合併症と判断しなかった?
または本当に死に至る合併症ではなかった?


7 心タンポナーデで死亡
ここも問題なところです。
記載では心タンポナーデで死亡。
急性出血性胃潰瘍からの出血で出血性ショックで死亡も考えられます。

一番の問題は5の時点で本来なら病院で管理出来ない事態が生じた時に高次機能病院に相談することが欠けていたのでしょう。
また既往または基礎疾患のある患者でありながら協議されていなかったどうかが不明です。


問題
1 多科にわたる疾患の患者に対して科同士の協議があったか?
2 合併症が起きた時、特に病院機能で対応出来ない合併症が起きた時の判断が欠如?

対応
治療方針決定には協議が必要
重大な合併症、または病院で対応出来ない合併症には高次機能病院に搬送、または相談

この金額からするとおそらく厳しい弁護だったでしょう。

by 覆面弁護士 (2013-03-08 19:55) 

ebisu

覆面弁護士さん、再度の解説ありがとうございます。

方法1~5まで選択肢があり、実際どうであったかは霧の中です。真相は当事者にしか分かりません。

地理的な問題がありその上、市立根室病院規模の病院で、ご指摘のような論理的なマネジメントがなされているべきだというのも、現実の医療現場を考えると少し無理があるように感じます。
現場はもっと泥臭いのでしょう。

しかし、診療マネジメントに問題があることだけは確かなようで、それがどう解消されたのか、あるいはまだ解消されていないのか、わたしたち市民にはまったくわかりません。

病院の諸規程の中には医療事故に関するものがあり、再発防止策を講ずる旨謳われていたはずです。
どういう再発防止策がとられ、病院のマネジメントがどのように改善されたのかが、明らかになれば充分だと思います。
それは病院監査委員の役割ですが、たいへん困難でしょう。

わたくしはこの問題は市立根室病院だけの問題ではないように感じています。
道東の地域医療にかかわる問題が根底に横たわっているのかもしれません。
でも、それはアンタッチャブル、いまは触れてはいけないことなのでしょう。問題の解決のしようがありません。下手に突くと地域医療の崩壊を招きかねないような気がしています。

古里の地域医療崩壊はebisuの望むところではありません。

一つ医療事故訴訟があれば、訴訟にいたらなかった同様の医療事故が数件あり、さらに寸前でそうなるところだった事故が30件ある。ヒヤリハットはその数倍。

関係者は正直に誠実に仕事をして再発防止に努めてください。
多少問題があっても、患者と医師が信頼しあえる病院になることを期待しています。

by ebisu (2013-03-08 22:47) 

最後のシ者

覆面弁護士さんへ

  もしお仕事が反映されたハンドルでしたら、この裁判の記録をお調べになることが可能でしょう。是非その結果(勿論ブログに書ける範囲で、ですが)をお知らせください。非常に興味が有ります。
by 最後のシ者 (2013-03-09 09:15) 

お助けマン

一般の方には少し難しいかも知れませんが、ネット上で見付けた類似ケースの裁判所の判決です。参考にされてください。

http://homepage3.nifty.com/medio/watching/hanrei/170427.htm
by お助けマン (2013-03-09 16:45) 

最後のシ者

覆面弁護士殿

ネット上の秘匿性に関わる範疇かも知れませんが、もしブログなど公開されていらっしゃいましたらURLをご教示願えれば幸いです。
by 最後のシ者 (2013-03-11 17:04) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0