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#2028 水産加工場 放火事件の顛末  July 27, 2012 [24. 根室の旧弊・悪弊を取り除くために・・・]

 #2025で根室の水産加工場の家事をとりあげたが、犯人が逮捕されたと生徒から聞いた。テレビニュースでみたと、生徒が数人年齢と名前まで挙げた。

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北海道警察
http://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/soumu/dekigoto/rirekidate/24-07-24.html

11 現住建造物等放火被疑者の逮捕(根室署)
  根室署は24日、根室市内の会社において、放火した水産加工員の男(○○歳)を現住建造物等放火で逮捕した。

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 この火事では幸い死傷者がなかった。20代の社員が身分をアルバイトに切り下げられて恨みに思ったようだ。同僚らにたびたび処遇についての不満を漏らしていた。
 この人は放火犯が重罪であることを知らなかったのではないだろうか?
 放火は重罪である。以下に刑法の放火に関する罪刑規定を記す。

第九章 放火及び失火の罪

 (現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦
船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する

 知らなかったのなら気の毒な気がする。身分が社員からアルバイトに落とされて放火をしたら、殺人罪並みの重罪なのである。知っていたらもっと穏便な方法を考えたのではないだろうか。
 知らなかったではすまないから、この程度の勉強はしておいたほうがいい。法律の条文くらい読んで理解できる基礎学力を高校卒業時には身につけておくことを勧めたい。放火が殺人罪並みの重罪であることはほとんど一般常識の範囲と考えよう。

 ところで、社員からアルバイトになると時間給だから休みの多い8月や正月、冬の仕事の少ない時期は給料が減る。もちろんボーナスもなくなる。本人にとってはショックだっただろう。
 何より堪えるのは社員とアルバイトの身分格差である。アルバイトへは社員が仕事の指示をする。アルバイトは一方的に社員の仕事に指示に従うしかない。それまでの社員同士の関係が「社員とバイト」の関係へと変わった。

 こういうときに、どこが悪くて社員からバイトへ変更になるのか具体的に話してやれる上司がいれば将来への希望がもてる。どうすれば社員にもどれるのか具体的に話してあげられたら、絶望せずにすむ。
 あるいは酒を呑みながら話しを聞いてあげられる人が誰かいればストレスのはけ口になったかもしれない。周りにそういう人がいなかったのだろう。

 一般に職位があがるほど、仕事はもちろんしっかりしなければならないが、部下の管理も大事な仕事になる。部長や役員クラスになると自分の仕事は勤務時間の3分の2以下ですませ、社員や準社員などの相談にのる時間が増えてくる。仕事が終わった後も週に1~2回くらいは飲み会で仕事の報告やアイデアや愚痴を聞くことになる。三分の二くらいは話しを聞いている。肯(うなず)くだけでも共感や連帯が生まれるから、案外そうしたことは大事なのだ。
 報・連・相をしっかり受けていると、だれがストレスを感じているかはわかるものだ。順繰りに話しを聞いてやればいい。よほど深刻なものでない限り、話しを聞いてやるだけで本人は楽になっている。全部はムリでも、三つに一つくらい選んでなんとかして努力してやるだけでもお互いに気持ちよく仕事ができる。

 人の管理は大事だ、とくに条件が悪くなるときは要注意で、そのあたりをきちんとマネジメントできるかどうかで仕事の能力がわかる。いいケース・スタディになるだろう
 この会社にが関係している経済団体はこれを具体的な事例として人事管理のしかたについての勉強会をやってみたらいいのではないか。
 事件が起きてからでは遅い、次の事件が起きないように具体的な対処法を学ぶべきだ。狭い根室だ、知っている会社や、顔見知りの人が関係していたら辛いから、こんなことが起きないように努力しよう。

(名前と年齢がニュースで流れてたが、ブログでは実名は挙げないし、年齢も「20代」としか書かぬ)

*#2025 根室の水産加工会社で3度の火事:放火の疑いアリ  July 24, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-24

 #2028 水産加工場 放火事件の顛末  July 27, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-26-1

 #2040 不可解な寄付 :被災企業が根室市に400万円寄付?  Aug. 5, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-05



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コメント 4

おもし蟹

おはようございます。

この事件については、死傷者がいなかった点が唯一の救いです。
しかしこの事件は根室の労働環境の実状を訴えているのかもしれないと考えます。
近年の日本全体の不況と根室市内の不況状態で、根室の企業は社員の縮小を進めて、パートやアルバイトへシフトしています。(安泰しているのは公務員ぐらい)

ただ今まで社員からアルバイトに降格されると労働モチベーションが下がります。これは労働するものとしては、我慢ならない点でしかない。
企業にとって「会社を守る」と「社員を守る」は同じ位置ではなく、対極の位置にあるのでは?と感じる。いや管理職と現場職の意識の違いなのかもしれない。

根室だけではないですが、管理職と現場職には大きな壁が存在していることは多分誰もが認識しています。

例えば、管理職が現場を知らず、数字だけで判断している企業と管理職が現場を常に確認しその都度判断している企業ではどちらが現場職にとって働きやすいと思うだろう?
大抵は後者である。
しかし根室も前者の企業が多いのではないだろうか?いや企業だけではない市役所も同じだろう。じゃなければ今の根室にならないだろう。

企業経営には色々ある。しかし未来ある若者の職を不安にさせる判断は如何なものだろう?その若者が次代を担う人になるかもしれない。

ただ今の日本では、次代を担う人を守るのではなく、団塊世代以上を守ることを優先している感があるから、先は暗闇でしかない。
by おもし蟹 (2012-07-27 08:55) 

ebisu

おもし蟹さん、おはようございます。

>しかしこの事件は根室の労働環境の実状を訴えているのかもしれないと考えます。

>近年の日本全体の不況と根室市内の不況状態で、根室の企業は社員の縮小を進めて、パートやアルバイトへシフトしています。(安泰しているのは公務員ぐらい)

>企業にとって「会社を守る」と「社員を守る」は同じ位置ではなく、対極の位置にあるのでは?と感じる。いや管理職と現場職の意識の違いなのかもしれない。

根室の最大の水産加工会社というと日本合同缶詰で、4工場1000人ほどが働いていた。
現場を知らぬ本社と経営者、結局、大きな赤字を出して1976年につぶれました。円高やオイルショックの影響もあっただろうが、実は倒産の十数年前に本社と現場がうまくいっておらず、核となっていた男工さんたちが次々とやめて、工場改善の担い手を失っていた。

同じことがいま規模の小さい根室の水産会社のあちこちで再生産されつつある。歴史から学ぶことを知らぬマチにあきれる。
こういうのを根室の旧弊という。

ベトナム人の受け入れはいいけど、経営体力のない会社がやれば社員やパートの処遇に影響が行く。3年から5年間は戦力にならず持ち出しが増えるから、経営者能力の乏しい経営者はムリな辻褄を合わせようとする。
似たような状況が生まれていないか?
社員やパートの士気をそぐようなことを継続的にやれば、その会社の製品の品質がかならず落ち、そのうち自然に注文が入らなくなる。危険だよ、簡単に人件費に手をつけてはいけない。
会社がなくなれば、そこで働いていた人たちが職を失い、人口流出が加速するし、消費も小さくなる。

中小企業家同友会や商工会議所、ロータリークラブなどに企業経営のプロが一人でもいたら、この事件をケーススタディとして勉強会をやるのだろう。
根室の経営者たちは概して勉強がきらいだった者たちが多いように聞いているが、間違いでないなら、今回の事件をケーススタディとしてすでに勉強会が立ち上がっているのだろう。

案外根が深い根室の企業に共通の問題があるようだ。根室の他の企業は大丈夫だろうか?

>ただ今の日本では、次代を担う人を守るのではなく、団塊世代以上を守ることを優先している感があるから、先は暗闇でしかない。

団塊世代としては耳が痛い。団塊世代はさっさとリタイアして若い者たちに仕事を譲るべきでしょう。
やるなら割に合わないボランティアのような仕事をすればいい。
団塊世代が70代になるころには、今の年金支払はできなくなっている。国と地方自治体の借金額が金融資産額を超えて、円安が始まる。
本当の国難は2度目の原発事故や国家財政の破綻、そして円の投売り、円安⇒物価高が重なってきます。
まだホンの入り口です。

どん底に落ちたときに日本人は案外強さを見せてくれます。戦後の復興がいい例でしょう。
by ebisu (2012-07-27 11:31) 

おもし蟹

>団塊世代としては耳が痛い。団塊世代はさっさとリタイアして若い者たちに仕事を譲るべきでしょう。

団塊世代に対しては厳しい意見ですが、私は今の日本がこんな現状になったのは、知識や技術などの能力を次世代へ継げることを軽んじたためと考えています。

戦後の復興に尽力した人達は既にご高齢で、能力を次の団塊世代へ継げたが、団塊世代から次がうまく継げていません。
そして、次世代でも苦労して労働より楽をして労働を選択しているため、残すべき産業の技術が低下し続けています。

能力のある団塊世代は、次世代に正しい知識や技術などの能力を伝え、次世代も楽な仕事ではなく、厳しい仕事にも目を向けてほしいところです。

ebisuさんのように次次世代を育成するなども団塊世代の重要な役割だと思っています。
by おもし蟹 (2012-07-27 12:30) 

ebisu

ありがとう。
by ebisu (2012-07-27 15:00) 

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