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#1825 子どもたちの学力を上げている町の教育長の仕事ぶり  Feb. 1, 2012 [64. 教育問題]

 子どもたちの学力を上げている町の教育長はどういう内容の仕事をしているのか、そして町長と教育長のかかわりについて、ブログ情熱空間が採り上げてくれているので、転載紹介したい。
 わが町の歴代教育長及び市長とその仕事ぶりを比較すれば何が足りないのかよくわかる。

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/5139352.html
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2012年01月30日

学習塾のない学力日本一の町(あるコラムより)

毎年この時期になると、全国のロータリークラブへ、「抜萃のつづり」という小冊子(無料)が届きます。株式会社熊平製作所という会社が、希望される方に無料で配っている小冊子で、「直近1年間の新聞、雑誌、書籍などから、心に響く珠玉のエッセー、コラムから抜萃」(同はしがきより)したものとのこと。何と、今年で71号(その71)だそうです。すばらしい社会貢献をなさっている同社に、感謝感謝であります。

さて、本日手にした今回の「抜萃のつづり」から、すばらしいコラムをご紹介したいと思います。2008年の全国一斉学力テストにおいて、学力日本一に輝いた秋田県は八峰(はっぽう)町の教育長でらっしゃる千葉良一さんという方のコラムです。感動しました。すばらしいですね。単に子どもの学力を向上させるだけでなく、まだまだできることがあるはず。そういった「気付き」が随所に語られています。(太字は編者注)

《引用開始》
学習塾のない学力日本一の町

千葉良一

 秋田県の西北、白神山地の麓に位置する八峰町。二〇〇八年十二月、当時の寺田典城秋田県知事(現参議院議員)は、その年に実施された全国学力テストの秋田市町村別平均正答率を公表しました。秋田県は小学六年生、中学三年生の成績がともに全国トップクラスで、人口約九千人の当町の小学六年生が学力日本一と報道されました。以来、日本各地はもちろん海外からの取材や視察の申し込みが後を絶たず、この現象はいまも続いており、五百件を超えました。

 学習塾のない辺境の小さな町がなぜ日本一になれたのか。教育長の私はよくこのような質問を受けます。しかし、正直申し上げて理由は私にもよく分からないのです。特別なことは何もありません。当たり前のことを当たり前にやってきた。そう答えるしかありませんが、授業の様子を実際に見学された方々は一様に、教師や子供たちの目の輝きに驚かれるようです。

 日本一の話はともかくとして、私たちの町には一つの自慢があります。地域の人間関係がとてもよいのです。三世代同居の家庭が多く、お年寄りは子供を、子供はお年寄りを大切にする気風が根付いています。それに学校や教師への地域の信頼があつく、新聞で目にするような給食費未納問題もモンスターペアレンツも不登校もゼロです。

 自然豊かな環境の下、いわば町ぐるみで子育てをしようという雰囲気が、高い学力を育む土壌になってきたといえるのではないでしょうか。八峰町では戦後、教師育成の一環として師範学校に進む若者に多くの補助金を出して援助した時期がありましたが、それくらい教育を大切にする歴史もまた誇るべきものがあると思っています。

 その土壌に、現在では教職員
OBの学校活動への参加、授業を聞くだけでなく子供同士がお互いに勉強を教え合う「学び合い」、国際交流、少人数教育などいろいろな工夫を図っているところです。学力の高さは、これらの相乗効果なのかもしれません。

 子供たちの学力が高まると、教師たちの志気も高まります。町内の小学校三校と中学校二校の教師たちが自主的に集まり同じ課題に取り組む勉強会はどこよりも熱心ですし、それが高水準な授業内容を維持する一つの要因となっています。

 私の役割は、そういう教師たちが授業や学級活動に思い切り専念できるよう全力を挙げてバックアップすることです。

 いま日本全国は教師は保護者の身勝手なクレーム、過剰なマスコミ報道に常に神経を尖らせ、心はすっかり萎縮してしまっています。その結果、子供への指導がついつい及び腰になり、プロ意識が薄れつつあるのが現実です。私は当町の教師に絶対にそうなってほしくはありません。何か問題があれば教育長である私自身が前面に出る覚悟で日々の仕事に臨んでいるのです。

 私の名刺は少しユニークです。表面に「嬉しいときはいりません。悲しいとき、悔しいときは悩んでいないで連絡ください」と記し、裏面には携帯電話の番号とパソコン、携帯電話のメールアドレスを公開して二十四時間対応で受け付けています。この名刺を教師や保護者などに配り、万一の時にはいつでも駆けつけ、自分の全責任で処理します。代わりに、教師には授業、生活指導を含め子供たちの教育に全身全霊を傾けていただくだけ。これが私の方針であり、幸いにしてそれはうまくいっています。

 ユニークといえば、私の経歴もそうかもしれません。若い頃は郵便局に勤務し、その後は
NTTの営業の第一線で働きました。夜討ち朝駆けで県内の事務所を回り、コンピュータなど通信機器の販売で大きな実績を挙げる猛烈サラリーマンでした。

 クレーム対応で夜中に現場に駆けつけることも日常茶飯事でした。こちらの誠意を示すことで、クレームを寄せられたお客様を強い味方にできることも覚えていきました。

 その後、郵便局時代の先輩でもある町長から声を掛けていただき、収入役、助役を経て二〇〇六年に教育長を拝命しましたが、サラリーマン時代に築いたコミュニケーション力や人脈、誠意、執念、眼力といったものが、まったく未知数だった教育の世界でここまで役立つとは思ってもいませんでした。

 いま、二十四時間体制で保護者や教師、子供たちの相談を受け付けていて、何かあればすぐに出向くのも、この時の経験と自信があるからです。

 私のもとには、いろいろな相談が寄せられます。複雑な家庭の事情を抱え、人知れず苦悩する子供たちの話には特に胸が痛みます。そういう子供たちが私と話をする中で明るさを取り戻してくれる時、私の目にはいつも涙が溢れています。時には所構わず大泣きすることもあります。彼らの成長ぶりを見るために、学校を訪問するのは私の喜びの一つとなっているのです。

 このような私の仕事が、八峰町の学力向上にどこまで役立っているかは分かりません。しかし、子供たち、そして伝統的土壌と教育環境を全力を挙げて守り抜く覚悟があります。

 幸いにして八峰町の学力は現在でも全国で高順位を維持していますが、私はそれ以上にすべての子供たちが、一人の例外もなくいつも輝いていてくれることを望んでやみません。
「一人の子供を粗末にする時、その教育(町)は光を失う」
手帳に大きく記した自らの信念を、これからも貫いていきたいと思います。
(ちば りょういち=秋田県八峰町教育委員会教育長・致知「致知随想」237月号)
《引用終了》

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コメント 4

Hirosuke

「一人の子供を粗末にする時、
その教育(町)は光を失う」
  ↑
これは【這い上がって来い】と完全に逆ですね。
しかし、全国規模の民間由来の経験・発想が徹底している。
官から押し付けられた義務的な建前ではない。

つまりは私塾と同じ。

しかし、私塾とて、
目先の目標達成に囚われれば、
官に等しいものとなる。

居酒屋の大手チェーン「わたみ」の社長は、
自ら運営する学校の教職員を「わたみ」で研修させるそうです。

つまり、「一般社会の大人達の習性・常識」を学ばせる。

学校って「非常識」な「閉鎖」社会ですから。

「世の中は、不条理に満ちたグローバル社会である。」
   ↑
こう子供達に教えなければ、もう生き抜いていけません。

by Hirosuke (2012-02-02 07:19) 

ebisu

民間会社の仕事は「這い上がって来い」、這い上がってくる奴の面倒はみるというのが基本です。

>「一人の子供を粗末にする時、その教育(町)は光を失う」

正反対に見えますが、同じ民間企業的発想ですね。トコトン面倒見てやろうという意気込みが感じられます。

実践の場では自力で這い上がってくるくらいでないとモノにはなりませんね。
面倒見てあげていないと仕事ができない者は上司が有能なら何とかなりますが、無能な上司の下では力が発揮できません。有能な上司なんて十人に一人か二人ぐらいしかいません。

>「世の中は、不条理に満ちたグローバル社会である。」

まったくその通りで、根室に残っても都会に出て行ってもこの点では一緒です。

さて、根室の歴代の教育長は8年続けたW教育長は教員出身、学力向上にまったく関心がありませんでした。#1608でとりあげています。右側の<トラックバック>の欄の最終行にあります。
その次のS教育長は道庁からの転籍組み、その次のS山教育長も道庁からの転籍組み。
つまり、民間で仕事の経験のある人はいないということです。
お役人の世界の常識、学校の常識をベースに仕事をする限り、地域の子どもたちの学力向上はできないということを証明し続けてくれています。
こういう教育長を選任し続けている歴代市長も根室の教育問題には関心が薄いのでしょう。
市民が教育に関心をもち、発言しだせば状況は変わります。ブカツに異常に強い関心をもつ親はたくさんいますが、学力問題に関心の強い父母はいまはすくない。
だから、情報を発信し続けます。教育にそして低学力問題に関心をもってもらうために。
by ebisu (2012-02-02 12:22) 

ZAPPER

ご紹介、ありがとうございます。

>「世の中は、不条理に満ちたグローバル社会である。」
Hirosukeさんのこのフレーズ、早速子ども達に向けて使ってみようと思います。ありがとうございます。^^

おかげさまで我が釧路市では、教育行政も学校サイドもかなり盛り上がっています。理由は単純明快でして、(嫌々ながらも)動いてみたらすぐに結果が出て嬉しくなっちゃった!それだけです。^^

これって実は、子どもの学習指導と同じですよね。(嫌々ながらも)やってみた。意外に簡単にできた。「あーなるほど、こういことね」と弾みがつく。食わず嫌いの克服と同じです。

でも我々がつくづく実感するのは、「トップダウン」ですね。これがなければ始まりません。ともすれば「偉い人」は、人に言われたことをやらずに、例えそれが正論・正攻法であったとしても「手柄」を得たいとして、自分で考えた方策を取ろうとしますよね。で、見事に失敗する。

あのね、いくら考えようが「現場」を知らなければね、即効性のある手立てなんか打てっこないんですよ。二番煎じでもマネっこでも何でもいいんだよ、結果さえ出せばね。結果が出る中で、はじめてオリジナリティってものが生きてくる。

そちらを見ていると、どうにもそうした思いが募ってきます。あのー、いくら考えたところで現時点では、ウチらの「緊急実行課題」以上に即効性のある手立ては出てきませんよ。考えている時間自体が大きな大きなロスになるんだからさ、とっとと一緒ににやりましょうよ!そう思っちゃう次第です。
by ZAPPER (2012-02-02 16:57) 

Hirosuke

ZAPPERさん、どうぞ御使い下さい。

「下手な考え、休むに似たり。」

大阪にいますよね、
トップダウンを「独裁」と言い切っちゃう【下】の付く危険人物。

「自分の退職金80%カット」は良いんですけどねぇ。


by Hirosuke (2012-02-02 19:48) 

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