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#1359 小規模校化の弊害 Jan. 30, 2011 [64. 教育問題]

 朝8時5分からのNHKラジオを聴いていたら、野原明女子文化大教授・NHK解説委員が新任教師の自殺事件を採り上げ解説していた。
 新任教師として赴任し2年生の担任を任され、うつ病になり自殺したのだが、この事件の起きる前段階があったというのだ。

【白い円テーブルは相互研鑽とくつろぎの小宇宙】
 全校生徒100人ほどの規模で1学年十数名である。2年生の担任は1クラスだから一人だけで、相談相手がいなかった。その学校では、白い円テーブルが職員室においてあり、授業が終わると先生たちはそのテーブルに集まり、授業や生徒指導の悩みなどいろいろ話しをしていたという。そのテーブル一つがサロンの役割を果たしていた。

 わたしも、机の横に小さな円テーブルを置いて、管轄下の複数の部署の社員から仕事の報告を聴くことが多かったが、使っていたのは白い円テーブルだった。テーブルが一つあるだけで、資料を見ながらじっくり話しを聴けるし、暇そうな私を見て「ちょっと良いですか?」と誰かがひっきりなしに座って話し(報連相)をしていく。ある程度責任を任されるようになったら、自分の仕事は2時間程度で片付けて、あとはぼーっとして暇そうな顔をしているのがいい。自分の仕事でテンパっている上司に仕事の報告や相談はしにくいものだ。厄介な問題ほど後回しになるから、暇そうにしているのが一番の予防策だ。問題を小さいうちに処理できれば仕事の量全体を減らすことができるものだ。
 くつろぎのコーナーは白い円テーブルだけではない。テーブル方の空気清浄機を備えたガラス張りの喫煙コーナーを設置したときもそうだった。私自身はタバコを吸わないのだが、そのコーナーへ入って一人の報告を聞いていると、他の社員が入ってきてそのまま軽い打ち合わせになることが多かった。ガラス張りで周りから見えるから空気を読んで自然に関係者が集まってくる。誰と誰が話していれば案件は例のあれだ、というように空気は読める。そういう社員が多いと会社の業績はうんとよくなるものだ。
 「サロン」のような機能はテーブル一つあるいは喫煙コーナーひとつで創りだせる。コミュニケーションの機会を創りだすことも管理職の仕事のうちだろう。報告・連絡・相談、いわゆる"報連相"というが改まったらなかなか気軽にはできないものだ。そのための演出道具が「白い円テーブル」だった。学校の職員室にも同じ機能を果たす同じ形状の同じ色のテーブルがあったことを知ってうれしかった。だれかがそこにおいたに違いない。おいた奴が偉い、撤去した奴は愚かだ。

【力量のない管理職の権限はキチガイに刃物】
 新しい校長が赴任してきて、「その円テーブルはなんだ、不要だ」と撤去してしまった。管理職としては失格だろう。コミュニケーションツールであることすら見抜けない間抜けさにはあきれる。
 この校長はその後職員といろいろ揉め事を生じ、先生の半数5人が転勤希望を出して受理され、教員が入れ替わって、ぎすぎすしていたという。そこへ新任教師が2年生の担任として赴任してた。そして2ヵ月でてうつ病になり自殺してしまう。

【中高生の季節に人間の原型が形成される】
 力量のない者が責任ある立場を任されると職員や社員をうつ病に追い込むケースは民間企業でも時折見受けられる光景である。そして仕事を任された管理職自身が仕事がうまくいかずに鬱病になるケースもある。
 中高時代に思考パターンの原型が出来上がるとすれば、どのような勉強の仕方をしたのかが社会人になったときに問われる。責任ある立場になったときに問われるのだ。受験勉強を遠く離れてどこまで考え抜いたのか、どのような本を読んだのか、どのような困難を創りだし乗り越えたのか、そういうことが大切なのだ。受験勉強だけの薄っぺらな人間になってはいけないし、基礎的学力を軽視し自らを鍛えない人間になってもいけない。中高生の季節は人間の原型を創りあげる時間であることを強く意識して欲しい。この時期をおろそかにしたものは責任が重くなるほどボロが大きく出る大人になってしまう。人生60年たつと若いときには見えなかったいろんなことが見えてくるものだ。

【事件の起きた地域の特殊事情は案外普遍的】
 ネットで検索してみたら、2,007年10月9日に朝日新聞が報じたニュースのようだ。東京新宿区立の小学校である。
 84年に新宿駅から歩いて5分のところにあるNSビル22階で働いていたことがあるが、通勤途中ににプラネタリウムのある区立小学校があった。よく朝礼を外でやっていたが生徒数は数十名だった。新宿に住む人は少なくなっているのだなと気にしていたら、まもなくその小学校は廃校になった。新宿区内の小学校は住民の減少と共にますます小規模校化しているのだろう。
 学年に1クラスしかないと同じ学年を受け持つ同僚がいない。新任の先生はたいへんだろうと思う。そこへ権威主義的な校長が赴任してくると問題発生の土壌ができる。そういう校長を排除できないとしたら、小規模の学校を統合して中規模校化を図るしかない。

【根室との類似点】
 根室の市街化地域の小学校、花咲、北斗、成央は学年2クラスである。郡部の小学校は1クラスあるいは2学年混成の複学級制である。郡部の先生たちは問題となった新宿区立の小学校よりも小さな学校で仕事をしている。相談相手がいなくて困っている新任教師は少なくないのでは?校長の力量は?

 ブカツの維持のためにも、小中学校は1学年3クラスあったほうがよい。団体競技は2チームないと練習すら支障がある。

【危機にある道財政と北海道全域の学校配置にかかわる問題】
 根室に限らず、北海道全域で小中学校の統合を検討すべきではないのか。人件費は北海道財政の負担だから、郡部校を統廃合すれば、例えば根室の場合校長職を三分の一にできる。建物の維持・修繕・建て替えも三分の一にできる。北海道財政は4月新年度に早期健全化団体指定が確定しているようだ。なぜ、こういうことができないのだろう?夕張市だけは小学校も中学校も1校に統合される。財政破綻が引き金だった。そうした外圧がなくても統廃合を進めて、道内の学校教育環境整備をしてもらいたい。

*2,007年10月9日の朝日新聞記事の載っているブログを見つけた。
http://d.hatena.ne.jp/yumyum2/20071226/p1


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