SSブログ

#1289 天使の森計画(根室) Nov. 25, 2010 [15. ポジティヴ&ゆめ]

  植物生態学者である宮脇昭の「生態系本来の樹種」による森造りを採り上げたことがあるが、根室で似たようなことを実践し始めた人がいる。
 わたしは、牧の内の水源地の周りをミズナラの森で囲みたいと常々思っている。30年あれば根室の水道の水質を幾分かは改善することができるだろう。
 『三太郎の日記』の著者と同姓同名の園長先生はもっと雄大なことを考えていた。

 北海道新聞11月1日社会・総合、3面の記事から・・・

 根室で「天使の森計画」に取り組む
   ひと 2010
     阿部次郎さん
 園長を務める根室カトリック幼稚園の園児が、根室市内の野鳥保護区にミズナラを植え、100年をかけてシマフクロウがすむ森を育てる「天子の森計画」を始めた。「子供たちに風土とつながりながら成長して欲しい」
 きっかけは、日本野鳥の会が持つ鳥獣保護区全国30箇所のうち11箇所が根室市内にあるのを知ったことだった。「根室には日本一の森がある。それを伝えたい」と10月中旬に園児と一緒にドングリを拾って、野鳥の会が用意した畑に植えた。
 残ったドングリは園庭のプランターに植え、園児と観察を続ける。全部は芽が出ないかもしれない。だが、「すべて成功させるのが、教育だとは思わない」。一つのドングリが芽を出して育つには、大きな苦労があることを感じて欲しい。「君たちも大切に育てられてきたんだよ」。プランターを見ながら園児に語りかける。
 園児は成長し、やがて進学などで根室を離れる。「成人式で戻ってきたときに林を見て欲しい。定年退職した後には子や孫と森を見に来て欲しい。そうやって風土とつながっているのはロマンだとは思いませんか」
 名刺の肩書きに「フューチャー・クリエーティブ・インダストリー」とつけている。和訳は「未来創造業」。「子供と未来をつくるのが教育の仕事ですから」。釧路市出身で妻との間に1男1女。48歳
                                 (幸坂浩)
 
 釧路出身の志の高い一人が根室に根を下ろし、園長先生という名前のニムオロの木になってくれている。その木陰で園児たちがはしゃいでいる。
*ブログ「ノムリエ日記」の11月15日の記事に「極東のイタリア」と題する記事がある。カトリック幼稚園が題材になっているので、束の間ほのぼのとしていただきたい。記事の右横に「読んでいるブログ」の欄にURLがあるのでそれをクリックして検索すればすぐに出てくる。
 検索が面倒な人は下記をクリック・・・とんでけ、ブログ主極東のソムリエ様には事後承諾 m(_ _)m
http://ameblo.jp/sommelier/day-20101115.html

 生態系本来の様々な樹種のドングリを育てれば、その中には途中で枯れる木も、どっしりと枝を広げ実をたくさんつけた大木に育つ木もある。シマフクロウがすむ大木が育つまでに百年・二百年かかるだろうが、ドングリを育てた子供たちが爺さん婆さんになり、その孫ひ孫がまた植え継ぐ。繰り返すうちにすぐに数百年経つ。ようは志をもってゆったりと取り組むことなのだろう。こういう心の余裕、時間の感覚が大事だったなと思い直した。
 病院建て替え問題を論じているうちに、そういう悠久の時間の流れを忘れていた。

 道具が強力になったから、自然破壊は人間がその気になれば数年でできる。広大な知床や根釧原野ですら例外ではない。
 和田で酪農をやっていた同級生が高校時代に語ったことを思い出した。原野にある国有林の大木はあらかた伐採されてしまっている。お金になるから、営林署が人を雇い大木を選んで伐採しているということだった。伐採する大木には目印にテープが巻きつけられていたという。
 棲みつく大木が次々と切り倒されることでシマフクロウの数が激減しただろうと想像される。40年前に根釧原野や知床の大木の伐採はあらから終わっていたのだ。

 バチカンから派遣されたジローラモ園長はシマフクロウが棲みつく失われた大木を取り戻そうと雄大な夢を抱いているようだ。園児によるドングリの栽培・育成はその壮大な夢の始まりを告げるものなのかもしれない。誰かが始めなければ変らない、最初に始める者にその者の信ずる神の祝福あれ。

*記事を検索したが北海道新聞の記事にはヒットしなかったが、別の「キリスト教記者クラブ」がヒットした。
http://blogs.yahoo.co.jp/cjc_skj/26293053.html  


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


三本の植樹から森は生まれる 奇跡の宮脇方式 (祥伝社ポケットヴィジュアル)

三本の植樹から森は生まれる 奇跡の宮脇方式 (祥伝社ポケットヴィジュアル)

  • 作者: 宮脇 昭
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/03/31
  • メディア: 新書

---------------------------------------------------------
*#1960 宮脇翁の提言:命を守る森の防波堤構想=震災瓦礫処理 June 3, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03-2

#1313 水源地である牧ノ内ダム周辺への植樹 :かれこれ17年目 Dec. 24, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-24

#1042 水源地を300メートルの森林の帯で取り囲もう May 27, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26

#1289 天使の森計画(根室) Nov. 25, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-25

#1246 地域医療改革の烽火(12):「最高条件は危険な状態」(宮脇昭) Oct. 18, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18

#196「市民の森」オープン(北海道新聞より)2,008年6月8日
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-08
  


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 3

サリー

塾長のブログでは、ひさしぶりに美しい話題でうれしいです。
根室にも すばらしい(おもしろい)発想を持っている人々が、たくさんいますよね。

「風土とつながっているのはロマンだとは思いませんか」・・・
という言葉にシビれました! 
さすが、極東のイタリア人(笑)
小さな園児たちが、大人になって、もしかしたら、子孫がこの土地のドングリの木を見に戻ってくる。
エターナルな教育です。
根室の「育てる文化」のさらなる発展を祈りたいです。

それにしても 幸坂記者 いい記事書いてますね。

by サリー (2010-11-26 01:44) 

ebisu

ほんと、面白い人がいるよね。
サリーさんが採り上げた一節はグサッときましたね。

>「風土とつながっているのはロマンだとは思いませんか」・・・
という言葉にシビれました! 
さすが、極東のイタリア人(笑)

久々に気持ちの好い言葉を受け取ったような気がします。
10本に一つくらい、いやせめて100に一つはこういう「美しい」話題を採り上げたいものです。
左様に心がけます。(笑い)
by ebisu (2010-11-26 23:49) 

ebisu

Hirosukeさん、ナイスありがとうございます。
by ebisu (2010-11-26 23:50) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0