#1288 中3学力テスト総合C (1) Nov. 24, 2010 [64. 教育問題]
【fact】
学力テスト総合Bの結果を紹介する。根室の市街化地域の中学校は3校あるが、歴史の古い順にA校、B校、C校としよう。データはC校である。
数学 15.7点 (60点満点)
英語 20.6 ( 〃 )
国語 28.3 ( 〃 )
社会 21.1 ( 〃 )
理科 20.1 ( 〃 )
合計 105.9 (300点満点)
*比較データ 2009年11月実施総合C学力テスト釧路の中学校11校のデータ:
トップのA中学校は187.4点、最下位のK中学校は111.7点である。残念ながら根室のC中学校は釧路の最下位よりも下に位置している。釧路が学力の高い地域ではないことを念のために付け加えておく。
http://www.kitamon.com/cpek/datas/100830.shtml
【分析】
高校では得点30%で赤点だが、その基準で切ってみると18点以下の人数は37人/62人で59.7%を占めている。
全道レベルで見て"成績1"に該当する生徒が6割を占めていることになる。札幌の平均的な中学校ならこの層は5%程度かもしれない。
C中学校は釧路の最下位のK中学校よりも5科目平均点が低い。根室の中学生の学力はまさに"惨状"を呈している。PTAや生徒自身がこの事実を知るべきだ。
全国で最もやさしいレベルの北海道の学力テストですら"成績1"の点数しか取れない生徒が59.7%を占めているというのは驚くべきことだが、学校の先生も保護者も生徒も根室の子供たちの学力に低さに感覚が麻痺しているのではないだろうか?
【PDCAは仕事の基本】
市教委は効果の上がらないプリント配布を支持してお茶を濁しているようだが、学校別のデータを見ているはずだから、学力テストの平均点が上がるような対策を提案・実施してもらいたい。そして、翌年に検証しデータと分析結果を公表すべきだ。目標平均点も各校の事情を考慮し、学校ごと・科目ごとに設定すればなお素晴らしい。根室の中学生の学力を上げるのは、ひとつも難しいことはない。PDCAサイクルできっちり管理・検証すればいいだけである。民間会社はそういうことを当たり前にやっているから、優秀な人材を擁している市教委ができないわけがないだろう。教育行政に志の高さが少しでもあれば簡単にやれることだ。
*PDCA・・・ウィキペディアより
- Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する
- Do(実施・実行):計画に沿って業務を行う
- Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する
- Act(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする
【学力低下の底がいまだ見えぬ:基礎学力のない子供たちの未来】
学力テスト総合ABCの平均点はこの5年間で各校共に20~30点落ちている。根室の中学生の学力の劣化はこの5年間ほど進行中で、いまだに底が見えない。300点満点で平均点が100点を切るのも時間の問題である。いや、すでに1校切っているかも知れぬ。
成績の悪い者の多くは都会へ行っても戦えない。根室に残ってもらっても職種は強い制限を受けるだろう。高校を卒業しても基礎学力が小6程度では使う方が躊躇する。
その辺りの雇用者側の事情はZAPPERさんがブログに詳しく書いているのでそちらを参照されたい。
*「基礎学力を育む「旬の時期」とは」
http://blog.livedoor.jp/meiko_aikoku_blog/archives/51619016.html
「「高望み」の現実」
http://blog.livedoor.jp/meiko_aikoku_blog/archives/51618812.html
【小学校の算数教育に問題あり】
これほど中学生の"数学力"が低下しているのは小学校の算数教育に大きな問題があるということだろう。基礎計算力トレーニングがおろそかになっていたり、指導技術に問題のある先生たちの存在もうかがわせる。
学習指導要領は最低限の基準を示したものだという風に数年前に変わったはずだが、いまだに学習指導要領どおりにしか教えていない先生が多いのではないだろうか?
たとえば、分数の出てくるところで、比や比例式も教えたほうが都合がいい。文章題を解く際に比例式の応用範囲は広い。そして分数が比であることを知ることで分数の概念がとらえやすくなる効果もある。
比例式は中3の「図形の相似」の単元で教えるようになっているが、比例は小6で取り扱う。根室の小学校で比例式を教えている先生は私のところの生徒では一人もいなかった。
中1でも比例は出てくるが、比例式は市販の問題集には載っていても、教科書準拠の問題集には載っていない。
九九を教える際に、逆九九も教えたほうがいい。理由は割り算をやる際に逆から追ったほうが速い場合が半数あるからだ。計算速度を上げることは集中力を高める。逆九九を教えている先生は三人に一人くらいの割合ではないだろうか。
【高校への影響:根高普通科定員は50人で十分?】
高校2年生の数学の定期テストで問題を全部やり切れる生徒は少ない。基礎計算力が弱いから時間内にB4用紙裏表にびっしり書かれた問題を全部解くスピードがない。基礎計算力不足は高校数学にまで影響している。
単純割で行くとC校から根室高校普通科へは30人の「定員枠」がある。成績がよくても商業科や事務情報科に流れる生徒も一部にいる。上から30人目でちょうど得点が100点付近だ。つまり、Fランクで総合Cの得点100点がボーダーラインである。
5年前に150点で根室高校普通科に落ちて事務情報科へ回された生徒が二人いた。その150点で切るとC校には12人しかいない。レベルを5年前と同程度の150点に保つなら、根室高校普通科の定員枠は50人で十分ということになる。
根室の中学生の学力がどれほど落ちているかはこの数字で明らかだろう。
【低学力のもたらすもの
⇒町の長期的衰退と人材の枯渇そして心根の腐食】
学力の低下は数十年を経て地域の経済力を確実に衰退に導く。病院建て替え一つ見てもじつに杜撰でおろかな仕事ぶりだ。心根も腐ってしまっている。ふるさとのためよりも自分の利益を優先する根室人が相変わらず町の実権を握り、活性化を妨げている。根室に生まれ育ちながら、ふるさとの町を衰退へ導いて恥じない地元経済人が多すぎる。もちろんそうではない人も小数ながらいる。
人材の枯渇こそが町の衰退の真因である。北方領土が返ってこないことがこの町を衰退させたのではない。この40年間をみればはっきりしている。中標津町は発展したのに根室市は著しく衰退した。
町を長期的衰退に導いた原因は二つ。教育やそれに支えられる人材力の差が大きかったことと、根室に生まれ育ちながら、私利私欲や恣意的な行動で心根が腐りふるさとを愛する心を失ったものが多いということ。仕事の能力が低ければ市政と結託して私利私欲をむさぼるのが手っ取り早い。ここにも基礎学力の問題が潜んでいる。腐った心根と低学力が結びついている。市政も地元経済界も、相互批判のないことが町を腐らせる一因になっている。どれほど恣意的なことをしても経済団体の長に居座り続けている人がいる。こういう様を日常見せ付けられては根室は変わらないとあきらめムードが蔓延してしまう。麻痺してはダメだ。ダメなものはダメと声を上げよう。うるさいと思われていい、そう思い決めよう。
歳をとると短気になるようで、書いているうちにときどき言辞が過激になる。それもこれもふるさとを愛するがゆえだから許されよ。
わたしはpatriotだ。
patriot: someone who has strong feelings of love, respect, and duty towards their country
-Macmillan English Dictionary for advanced learners-
ナショナリズムはtoo great love of your own country(度を越した祖国愛)だったり、他国を省みない排他的なニュアンスがあるが、パトリオティズムにはそういう負のイメージはなく、生まれ育ったホームタウンへの素朴な郷愁や誇りにすぎない。
*#1030 「nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17
【初心に帰り、惜しみなく手間ヒマをかけよう:教育は聖職だ】
中学生の貧弱な基礎計算力をみるにつけ、小学校の先生たちはブカツに精を出すのではなく、放課後補習をぜひやってもらいたい。
もちろん、中学校の数学の先生も答案を見れば生徒の過半数が基礎計算力に問題のあることは一目瞭然だから、放置しておかないで放課後補習をしてもらいたい。
放課後の補習という手間ヒマをかけずにこれほど学力が低下した中学生の学力を上げる手立てはないだろう。魔法はないのだから教える努力を惜しんではいけない。教員を志した初心を忘れるな。
*#1285 「平均点が赤点~根室の中学校の惨状」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-21
悲惨な状況ですね…
経験上、100点未満の子の多くは日本語が正しく通じません。(なのでこちらは、小学校の低学年の子にも分かるような易しい言葉を選んで語りかけるわけですが)中3生・学力試験で100点得点なら都会の小4生レベルの学力でしょう。それすら甘い評価かも知れませんが。
こちらは根室に2・3年遅れですが、根室はもはや《学力低下・日本最先端地域》の様相を呈してきましたね。50点・60点レベルならば、ごく簡単なルーチンワークであったとしても頭脳労働は超高確率で対応不能です。それでも勤労観・労働観が身についていれば何とかなる可能性はあるものの、それすら欠落しているのであれば、このご時勢ですから実社会の入口にすら立つことができません。そして不幸は再生産されて行きます。
釧教大・玉井教授のサイトより。
様々な課題を抱えた子どもたち、年収100万円以下の極貧家庭の子どもの環境、非行少年の問題、発達障害を抱えた子どもと親の課題、農林漁業・炭鉱業の崩壊と過疎化した地域の子どもたちの問題、など、日本の矛盾した環境は、日本の端であるへき地地方から集中して現れます。
http://edu-socio.kus.hokkyodai.ac.jp/09ken_syo/concept.html
根室に2・3年遅れて釧路も同じ状況になる。そういった思いでそちらの状況を見つめています。他人事ではありません。何とか歯止めをかけなければ…
by ZAPPER (2010-11-24 12:43)
たしかに悲惨な状況ですが、根室はへっちゃらです。
全道的に見れば最底辺でも、この2年ほどで十数点下がっただけですから。
そりゃ、5年前に比べればB校とC校は30点前後下がりました。
しかし、根室の中にいればとくに急激な変化が生じたようには見えません。
最底辺が最底辺であり続けているだけのことです。
こういう感覚の麻痺がたいへん怖い。
学校の先生たちも教育行政もこの現実に何も感じなくなっているのだと思います。
ところでC校の先生たちのうち社会と理科の先生が放課後補習してくれているそうです。ありがたいことです。
平均点が15.7と一番低い数学先生が動かない。
このまま中学を卒業させて何の痛痒も感じないのでしょうか?
そんなわけはないと思います。ブカツの指導で忙しいのかもしれません。
根室西高校の先生たちが、また来春に習熟度別のクラス分けし新入生の二人に一人くらいの割合で、分数や小数の四則計算から教えることになりそうです。
英語はアルファベットから・・・
それぞれの中学校から教科担当の教師を呼び出し、放課後補習をさせればいいと乱暴なことが言いたくなります。
それにしても、教師たるもの仕事に対する責任をあいまいにしてはいけません。
中学を卒業するときには中学を卒業したというだけの学力をつけさせて卒業させましょうよ。救いの手を差し伸べてそれでもダメならしかたがありません。かわいそうですがそういう生徒もいます。
by ebisu (2010-11-24 23:41)