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#1189 無投票市長選 数字で見る根室の課題(3):支庁統廃合はチャンス Sep, 3, 2010 [87.根室の話題]

 シリーズ記事3回目の紹介である。担当記者は栗田直樹記者、今年3月に根室支局に赴任してきたベテランの敏腕記者だ。赴任してから精力的に取材して記事を書いている。前回と同様に青字は記事からの引用部分を示す。

支庁職員333人⇒振興局327人
「道の支庁改革制度で4月1日、根室市長が124年の歴史を終え、根室振興局に衣替えした。総合振興局にはならず、「格下げ」だったが、職員数は当初の懸念をよそに、変更前の333人から327人と6人現にとどまった。」
「「市長波再編の原動力の一つが、2008年1月に官民26団体で発足した「根室支庁存続を求める根室市連絡会」。長谷川俊輔市長、山下洋司根室商工会議所会頭を中心に、支庁を廃止し釧路総合振興局の出先機関とする道の当初案に反対運動を展開した。」
「副会長を務めた長谷川敬二・根室市町会連合会長は「市長は先頭に立って、存続への声をまとめ上げた」と振り返る。市長が初当選当時から強調する「オール根室」の旗印。これを実行し支庁機能の維持という「形」は勝ち取った。」

 職員数減が人口減を加速し、マチの経済に甚大な影響を与えるということも振興局への格下げに反対する重要な論点のひとつであった。
 ところが、振興局になって職員数が現状維持なのに、この4年間はそれ以前の4年間に比べて人口減が加速したことは前回の記事でも明らかである。
 繰り返すと2000年から2004年の4年間に根室の人口は1593人減少した。年平均398.3人の減少であるが、長谷川市政の4年間では1689人、年平均422.3人の減少である。北海道新聞根室地域版は以前根室の人口減が加速しつつあると警告した記事を掲載したことがある。書いたのは根室支局の記者のどなたか忘れたが、根室の変化をとらえしっかり記事にしていたということだろう。
 つまり、人口減対策としては支庁の再編ではなくて、根室市に具体的な対策が何かあるのかと云うことが問われている
 自分で具体的な政策提言もしないで、「よそ様」である支庁再編が人口減を加速させると声高に地元経済団体は叫び、市長がその先頭に立ったわけだが、事実は根室市政に有効な具体策が無かったから人口減が加速してしまった。もっと足元を見て考え、行動すべきだ。人口減は外部要因ではない、内部要因から加速している

 根室漁業組合を見るがいい。漁船保険組合での専務理事の長年にわたる横領に関して監督不行き届き、そして組合長所有の会社の事故保険金詐欺事件で書類送検*。2度も不祥事を起こした組合長がそのまま居座っている。組合長選挙にはメッポウ強い。
 どういう因果関係かは不明だが、太平洋沿岸に拠点をもつ漁協でサンマのブランド化対応が一番遅れたし、有力な商品開発がさっぱりなされない。活性度の低い漁業となり下がっている。
 今日の新聞によれば理事の一人である有力組合員が落石漁協に鞍替えしてしまった。融資にかかわる運営上の不満から、道鮭連の社長が根室漁協を脱退して落石漁協へ鞍替えしたのだ。恣意的な根室漁協運営への長年の不満が噴き出したのだろうか。
 根室をダメにしているのは地元経済界のクズをそのままにしておくからだ。批判のないことがこういう輩を我が物顔にのさばらせてきた。こうした「負の人材」が要職に就き、根室から活力を奪い、基幹産業を衰退させ、人口減を加速している事実に市長や地元経済界人、市議たちはいつまでも目をつむりつづけるのだろう。
 「どうせ、俺一人が何かを言っても根室は変らない」、そういう諦めがマチから活力を奪っていることにみんな気づいている。そろそろ何とかしようじゃないか。根室の町はねむろっ子がなんとかしよう。

【特命チーム】
「根室振興局の目玉は、本庁直属に切り替えて強化した「北方領土対策根室地域本部」の設置。そして岡崎博繁振興局長の最良で担当を決める「特命チーム」(主幹、主査各1名)の発足だ。特命チームは総合振興局、振興局に置かれ、根室振興局は1市4町の地場産品のブランド化と観光振興を重点的に推進することにした。」
「二人の職員の人件費はついたが、独自の予算枠はない・・・、他の地域政策課や総務課などの経費をかき集めて、調査や出張をしている。「振興局幹部は「1市4町から課題や政策を挙げてもらった方が動きやすい」とまで漏らす。」

 振興局幹部のボヤキは、根室市がきちんとした地場産品のブランド化や観光政策を立案しないと振興局ではどうにもならないということだろう。ここでも根室市役所の企画力が問われている。振興局への格下げは嫌だと筵旗を揚げるだけでなく、自分でやるべき政策立案をしっかりしなければ根室の未来はないし、振興局の利用も、せっかく人件費の予算措置をして立ち上がった「特命チーム」も効果のないことになりかねない。

 担当記者は次のように締めくくっている。
「市長並みのまま残った根室振興局。「形」だけでなく。ここを核に地域活性化という「実」を結ばせていくには、管内自治体の兄貴分である根室市が振興局と向き合い、管内に必要な政策を打ち出していくことが重要になっている。」

【道庁との交渉にチャンス到来】
 見送り三振するか、ホームランにするかは根室市の対応次第だ。
 道庁は財政難に陥っている。財政健全化団体への指定を避けるために支庁再編を検討したが、地元自治体の反対に遭い、高橋はるみ知事は腰折れしてしまった。道財政悪化は進んでいる。
 根室は根室西高校の間口減が決まっている。2014年度に新入生募集は2学級となる。3学級以下は廃校の方向だから、根室西高校はいずれ廃高だ。中学卒業生の減少に加えて道の財政悪化により道内各地で高校統廃合が進んでいる。統廃合してしまえば根室高校生の学力は著しく低下するだろう。学力のない生徒は萎縮するか、反発する。人財育成の面からもそれぞれユニークな人材が育っているから2校体制維持が望ましい。だが、具体的な策がないから、「お願い」運動に終始しているだけだ。
 根室市は道庁と有利な交渉ができる。具体的な政策立案をし、振興局と根室市の仕事の分担を見直し、業務の再編成をして、振興局の職員100名減を受け入れる旨の提案をすればいい。win-winの関係が築ける。
 平均給与を700万円として計算すれば人件費だけで年間7億円が浮く。人がいれば諸経費がかかるから、実際には年間8億円以上の経費節減になるはずだ。この半分を根室管内で使わせてもらおう。1.5~2億円あれば根室西高校は存続できる。残りは根室管内の地場産品のブランド化や観光振興に使えばいい。
 道庁は4億円の費用を浮かすことができ、根室は西高校を存続できる。旧根室管内1市4町は毎年2億円の資金を地域産品のブランド化や観光振興に使える。一石三鳥である
 こういう具体的な政策提案を発信することが管内での根室の役割だろう。政策提案で中標津町に負けてはならない。
 「オール根室」というなら、誰か一人ぐらい具体的で効果のある政策提言をすればいい。具体的案政策提言すらできないなら根室の町には要らないということだ。


*#876「根釧漁船保険組合保険金詐欺事件の顛末」  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-23

 #633「退け際の美学-根釧漁船保険組合長保険金詐欺容疑で書類送検
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01

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