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#1161 釧路市教委対根室市教委(2):批判精神の欠如は何をもたらしたのか Aug. 15, 2010 [64. 教育問題]

 滅多に見たことのない市教委のページを何度も閲覧してみた。必要な情報を検索しにくいのは、釧路も根室も似たようなもので、おおいに改善の必要があるだろう。

 ひとつ根室のいいところを挙げれば教育委員会が傍聴できることだろう。
 市議会は市民に開かれてはいるが、ウィークデイの開催なので市民の傍聴はほとんどない。市教委も委員会が傍聴できるということだけで、実際の傍聴者がいるかどうかはわからない。
 ハッキリしているのは中身があまりよろしくないということだろう。それは何を議題にしていたのかを閲覧すればわかる。学力向上とは関係のない議題だけを扱っているようにみえる。幹の問題を避けて枝葉の問題にご執心だ。教育の本道は生徒の学力を育むことではなかったのか?ブカツやスポーツに邁進して、学業をおろそかにしている様子が、市教委の資料にもはっきり現れている。
 どうやら市教委は根室市内の小中学生の学力を上げるという使命感に燃えるような仕事をする組織ではないようだ。
 私の期待値は市教委のページを閲覧して小さくしぼんだ。根室の市教委だから根室の教育、根室の子どもたちの学力向上に使命感を感じて仕事をしているとかってに思い込んでいた。閲覧していて元気がなくなってしまうような事務的な内容しかない。
 市教委は変ってほしいと思う。使命感と情熱の塊のような組織に変ってほしいと思う。市教委と学校が変れば根室の将来が違ってくる。

 今回、両教育委員会のホームページを閲覧して思うことは、市教委の役割が大きくないことだ。その点が帯広市と異なる。変ってほしい。もっともっと大きな役割を果たして欲しい。
 市教委のページには何年も使えそうな具体性がちっともない施策と評価報告が並んでいる。驚いたのは「学校改善プランにある次の文言である。

「放課後を利用した補充的な学習サポートを実施した学校の割合は、小学校で昨年度より大幅に増
加し、中学校では実施していない学校が皆無となっている。全道と比べて、小学校・中学校で高い。」

 市街化地域の3校でどの学校が該当しているのだろう?いつ、どこで、どの教科を何時間ぐらい補習したのかについては、一言もない。内容の説明が一切ないのである。たしかにテストの1週間前にちょっと補習をしたことはあるが、そんなことで学力が上がるわけがない。基礎・基本が分かっていないのだから、一定期間継続的な補習体制が必要なのだが、市内の一校でもそういう補習体制をとった学校があるなら公表してもらいたい。
 公開しているのは抽象的なことばかり、どの学校で、いつ、どの教科が、どれくらいの時間数補習されたのか、市民が知りたい情報は一切公開されていない。5W1Hのない施策・報告書は無意味である。

 『平成20年度 教育に関する事務の管理及び執行状況の点検報告書』に「学識経験者」の意見が載っている。道内最低であるという根室市内の生徒の学力に対する危機感がまったく感じられない。この報告書に載っている元小学校校長の「評価意見」を紹介しよう。

根室市教育委員会は、教育基本法の改正等で明確に規定された教育理念を踏まえ『生きる力』の基盤である確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成などを目指し学校教育の推進の柱に施策6項目について、執行状況の点検及び評価を行い報告書にまとめ、多岐にわたりきめ細かく体系的に位置づけ推進していることについて高く評価する
以下 点検及び評価の報告書の施策4項目について所見をのべる。

施 策 : ねむろを愛する心を育てる学校づくり
① 学校評議員制度 地域に開かれた学校づくりや信頼される学校づくりのために学校評議員の活動を通して、学校や家庭・地域社会が意見交流をし合い地域に開かれた信頼される学校づくりに大きな役割を果たしている
② 教職員研修 教職員の資質や力量の向上を図る目的で法定研修(初任者研・10年経験者研・etc)などに積極的に参加し研鑽を積み児童生徒に対する指導の質の向上に成果は見られるも
のの根室市は新規採用数も他都市に比べて多く、初任者や若手教員の能力や資質の向上のために研修をより一層強化することが重要課題である。
③ 教育関係機関との連携 教育の専門的事項の指導(指導主事・指導主幹・道教育研究所・etc)を受け、各種研修や各学校の研究が実施され、学校教育の充実と教職員の資質の向上などに学校教育に果たす役割と学力の向上に大きく寄与している

施 策 : 自ら学ぶ力を育てる学習指導
学ぶ意欲や自ら考え主体的に判断する力を育てる「確かな学力」の指導に、全校上げて全力で取り組んでいる姿が、具体的な事業の内容や施策の評価等から、着実に効果を挙げていることが伺える。更に、全国学力・学習状況調査の結果をふまえ、学力の向上にむけた朝の10分間の読書の継続については、読書以外に各校の実情にあった主要教科のドリルなど標準授業時数の枠を超えた学習活動も考えられる。実施にあたっては到達度や理解度を検証することは、子ども達の学習意欲を高める方策の一つでもある。特に、全国学力テストの結果(小学校の国語)応用力の不足が指摘されている。「自分の体験に基づいた考えは書けるが、資料から読み取って書く力(応用力)が劣っている。」という結果から、如何に、子ども一人ひとりに学力を身につけさせるか、基礎学力の底上げが大きな課題である
現在取り組んでいる少人数指導や習熟度に応じた指導の取り組みなどを総点検して、子ども一人ひとりに基礎・基本を確実に身に付け、知識・技能や思考力・判断力・表現力・学習意欲など「確かな学力」を育むための学習内容の創意・工夫が求められている

施 策 : 生きる力を育てる生徒指導
心のふれあいを大切にして道徳教育に主眼を置き、多くの事業に取り組み、心豊な人間性や社会性を育てるため、学校・家庭・地域が一体となって生徒指導全般に亘り事業を推進し「生きる力」を育む実践に成果がみられる。さらに、文部科学省・道教委委託事業や道指定 キャリア教育の実践など、多くの関係機関や地域(学校・家庭・地域)との関わりを持ちながら、勤労生産や社会奉仕などの体験活動を通しての実践に取り組み推進の成果がみられる。より一層の活動の充実に期待する

施 策 : たくましく生きる力を育てる健康・安全指導
◎ 学校の安全・防犯対策として
①スクールガードリーダーによる校内外・通学路の危険箇所の点検や登下校の安全指導など、子ども達の生活を守るための様々な対策に取り組み事業の継続に期待する。
②不審者の問題について事例が後を絶えない実態が指摘されていることについて、保護者は事態を軽視することなく関係機関と一体となって連携を強化し、安心安全の体制を確立することが急務であり、未然の防止策が必要である
◎ 根室の子どもの体力について
体格や体力について、全国・全道の数値より劣ると言う分析結果から改善に向けた取り組みが図られているが、学校での指導や対策とともに家庭生活での子ども達の生活リズムを整える施策も重視し、長期的視点に立って執行するよう期待する。終りに平成20年度の根室市教育委員会が執行した施策について、教育行政方針で述べられている「生きる力」を育てる学校教育の推進・生涯学習を支援する社会教育の推進については、多岐に亘って示された取組みや事業内容・点検及び評価については、概ね良好な成果を得たものと考える
更に、根室市民は、子ども達の学力向上に強い関心を持ち、学校運営全般に大きな期待をよせている。「確かな学力」を高める施策を最重要課題に位置づけ、知・徳・体のバランスの取れた施策の充実に期待する


 市教委の施策に対する評価報告を元小学校長にさせるという見識のなさ。根室の小学生の学力を低いままに何の手も打たずに放置していた当事者が市教委の施策を評価してどうする。公正な評価などできるわけがない。見識のある人物なら断るだろう。まるで我田引水の評価報告である。
 民間会社では監査をやるが、監査人は「独立不羈の第三者」であらねばならない。当事者すなわち利害関係者が評価にかかわってはいけない。これは仕事の基本だろう。教育長や副市長、市長は何を管理しているのだろう?自分たちの職務を思い起こして欲しい。

 毎年こういう退職学校長の評価を真っ先に掲げて何の疑問も感じないでたらめさに驚く。お役所仕事の典型例かもしれないが、「一般社会常識」を欠いていると言わざるを得ない。来年からは、元学校関係者による評価報告はやめるべきだ。

 市教委には学校教育関係者がかかわらないほうがいい。自画自賛、報告書は「学校教育関係者」という小さな村社会の馴れ合いで満ちており、緊張感がまるでない。根室市内の生徒の学力が低いままなのは、学校と市教委がこういう「閉鎖された村社会」をつくっているからか。

 ここまで言ってもお分かりにならない方がいるだろうから具体例を一つ挙げておこう。漁船保険組合の専務理事の使い込みの件である。何年間にも渡っての使い込みがばれなかったのは、監査役がいても基本的な監査業務がなされなかったからだろう。監査の基本手続きで簡単に見つけられたはずである。
 小さな村社会でなあなあで監査役を選ぶ。監査役は単なる名誉職で手当てはもらうが、監査の仕事はしないで毎年めくら版を押す。いや、不勉強で監査業務の基本を知らないのだろう。そういう監査役が業界団体や市役所関連団体にたくさんいるのではないだろうか。
 組合長の保険金詐欺事件も同じことだ。地元経済界の「重鎮」たちや、市長は誰も苦言を呈さない。堂々と居座り、再選を果たしている。そしていまも似非「オール根室」の一翼を担っている。地元経済界はお互いに臭いものには蓋をして何もなかったような顔をする。その一方で、公益を踏みにじり私益を肥やすことに血眼になる。なんと浅ましいことよ。
 小さな村社会でなあなあでやればその村は腐っていく。漁業組合も市政も地元経済界も同じことだ。健全な批判精神を欠いたところに発展はない。この教訓から学ばない手はない。若者たちへ一言、「何ごとも基本をおろそかにしてはいけない」
*2008年12月3日「漁船保険組合元専務逮捕」 ebisu-blog#427
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-03
 2009年7月1日 ebisu-blog#633
 「退け際の美学:根釧漁船保険組合長保険金詐欺容疑で書類送検」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01

 根室には「閉鎖型の村社会」があっちにもこっちにもある。いたるところ村社会だらけだ。漁業組合然り、地元経済界然り、学校教育然り、市政然りである。相互批判を喪失し、馴れ合うのみ。

 こうした「小さな村社会」をいったん壊さないと全道最低レベルの根室度子どもたちの学力向上は望めないし、地域経済も人材不足から衰退するしかなくなる。
 根室の町の改革は、子どもたちの学力向上からはじめよう。地域経済の発展も市政も、教育がすべての基礎である。そのために、まず根室の大人一人一人がしっかりしないといけない。

*『平成20年度 教育に関する事務の管理及び執行状況の点検報告書』を比べ読みしてみよう。
根室⇒http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/25dae48719786549492570c7000cc32e/$FILE/H20tenken.pdf
釧路⇒http://www.kushiro.ed.jp/uploads/photos/278.pdf
 
**「京都フォーラム」から、「キーワードはモラル」⇒8月17日追記
 イジメや犯罪の低年齢化をストップさせるために・・・
 ・人に親切にする 
 ・嘘をつかない 
 ・法を犯さない 
 ・勉強をする

 あたりまえのことをあたりまえに。よりよい社会を築くために、この4つのマナーを守っていきましょう。私たち一人一人が変われば、世界が変わります!

 
http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/moral/


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ZAPPER

帯広市では市長選の後、教育長が副市長に登用され教育長の後任には女性管理職(学校教育部長)が抜擢されました。思うに、釧路・根室とは異なり教育行政の重要度を理解していているので、優れた人材を投入して責任のある仕事をしているのでしょう。各施策や各種資料を見ても、釧路・根室とのレベル差は歴然であります。形式的な馴れ合いの仕事に終止符を打っていただきたいものです。
by ZAPPER (2010-08-16 10:12) 

ebisu

一部の人や団体・組織の馴れ合いを許しているのはその地域の市民です。
子どもたちの学力の低い地域は結局大人の市民意識も低いものにならざるを得ない。教育への関心も低く、市議も現場の先生も、市教委の人材も運営も教育への情熱もそれらを反映したものにならざるをえない。ここにも「負の連鎖」があるのでしょう。
それぞれが、自分の職務や役割を自覚し、仕事を渾身の力でやりぬけば状況は変えられる。
すべての鍵は私たち大人が握っています。
by ebisu (2010-08-17 08:07) 

ebisu

学校現場でも一生懸命放課後補習授業をやってくれている先生も少ないがいます。おそらくやりにくいでしょうし、いろいろな不都合や圧力をかんじているに違いありません。
放課後補習をやりたいと思っている先生たちはその数倍いるでしょう。学校がそういう体制にならないから様子見をしている。すべての先生が教育への情熱をなくしているわけではないのですが、出てこれない。
市教委も同じでしょう。いままでどおりに仕事をしていればどこからも何も言われない。しかし、何かを変えようと思ったら、「なぜ前任者の通りにやらない」と叱責があるでしょう。ここにも様子見をしている人たちが小数ですがいる。
これらの様子見をしている人たちが、表に出てやりたいことがやれるようにするには、市長のバックアップがいる。地域行政の長が改革に意欲のある人なら、様子見をしている人の中から改革を担おうと踏み切る人が現れる。
市長を意欲のある人に変えることが地域の教育を変える出発点の一つでしょう。
根室はまたも無投票選挙になる。これから4年間改革は無しです。残念です。市財政についても財政破綻を回避する最後ののチャンスでしたが、これも希望は潰えました。
市民が目を覚ますには夕張市の市民のように一度地獄を見るしかない。
by ebisu (2010-08-17 08:22) 

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