根釧漁船保険組合保険金詐欺事件の顛末 #876 Jan.23, 2010

　お昼のテレビニュースを見ていたら、根室に関係するある事件が不起訴となったとアナウンサーが報じていた。
　一昨年の事件である。沈没した船の積荷に関する保険金詐欺事件が不起訴処分となった。理由は「保険金を支払った団体から被害届が出されなかったから」だという。根室署が釧路地検にそういう理由で「事件として成立しない」旨の意見書を送達していたようだ。

　当該詐欺事件の会社の社長は当時この保険組合の組合長であったから、自分を相手に被害届を出すはずがない。根室署が釧路地検に被害届が出ていないので「事件として成立しない」という意見書は果たして妥当なものであるのだろうか？
　こういうことがあるのなら、保険をかける会社の社長が保険組合長を兼務してはならない。両方兼務すれば如何なる詐欺事件も犯罪にならないことになる。小中高生への教育上は誠によろしくない。会津の什の掟ではないがやって「ならぬことはならぬ」のである。

　そもそも刑事事件は「被害届の有無」は関係がないだろう。民事事件なら被害届がなければ事件にならないが、法律違反があれば刑事事件である。
　不起訴処分について事由をネットで検索してみたら、4つあった。
①訴訟条件を欠く場合：告訴取り下げなど
②被疑事件が罪とならない場合：
③犯罪の嫌疑がない場合
④起訴猶予

　根室署の判断は②だろう。根釧漁船保険組合から「被害届」がないから「罪とならない」という判断だ。犯罪の事実はあっても「被害届」がなければ犯罪とならない。絵に描いたような形式論理（屁理屈）にみえる。
　取り締まる側がこうした判断をするなら、こういうことを予防するためには、保険をかけている会社の社長が漁船保険組合の組合長を兼務するというようなことをさせてはならないということだ。
　株式を上場する場合は、経理に内部牽制が要求される。権限の分散で、不正が起きないように予防するためである。
　人が見ていなければなんでもやりかねないような者を団体の要職につけてはいけないということだ。人材不足の根室である、他の団体は大丈夫だろうか？

　根室では一部の人間がいろいろな役職を兼務している場合が多い。どこでこういうことがまた起きても不思議ではない。牽制がなくなるような団体役員の兼務はなくすべきだろう。

　根釧漁船保険組合長職は下りたようだが、この漁業会社の社長はいまも根室の漁業組合の要職にあるが、お疲れだろうから誰か替わってあげたらどうだろう。
　こういう人が根室の代表的な漁業協同組合の組合長を長くやっているからだろうか、その組合は4つのうちで一番ダメだ。「昆布しょうゆ」や「舞いサンマ」などの商品開発に熱心な歯舞組合、地域のまとまりのよい落石漁業協同組合などに比べてまるで活力がない。
　組合長はしばらく謹慎してから心を入れ替えて古里のためになることを考えればいい。不起訴処分になったところで、あっさり辞職して、根室の子どもたちに見本となるような、潔い、格好のよいところを是非みせてほしいものだ。

　事実関係を以下に引用して締めくくろう。
*2009年7月1日の産経ニュース
　http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090701/crm0907012038034-n1.htm

漁船沈没事故で保険金詐欺容疑
　根室漁協組合長ら４人書類送検
2009.7.1 20:36
北海道警根室署は１日、平成１９年に宮城県沖で漁船が沈没し２人が死亡、２人が行方不明になった事故の積み荷量を虚偽申告して保険金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、根室漁協組合長で漁船の所有会社のXX社長（６４）ら４人を書類送検した。

　同署によると、XX社長は容疑を否認。ほかの同社専務（４５）ら３人は一部認めているという。

　４人の送検容疑は、事故後の２０年４月、虚偽の漁獲量を示す書類を作成し、根釧漁船保険組合に申告。保険金約７００万円をだまし取った疑い。

　当時、大坂社長は保険組合の組合長だった。保険組合の組合員５人が０８年１１月に告発した。

*2010年1月23日の道新ニュース　
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/211657.html
積荷保険事件
　前組合長ら４人不起訴　釧路地検
　（01/23 09:06）
　【釧路】釧路地検は沈没した所有船の積荷（つみに）保険請求に絡み、詐欺容疑で刑事告発されていた根釧漁船保険組合（根室）前組合長のXX・XX漁業社長（６５）ら４人を不起訴処分にした。
　不起訴処分は１５日付。XX社長ら４人は２００７年１２月に沈没した同社所有船の積み荷の保険請求で、漁獲量を示す虚偽の証明書を同保険組合に提出、約７００万円の保険金を受け取ったとして、一部組合員から０８年１１月に刑事告発された。根室署は昨年７月、「詐欺の疑いがあるが、被害届が出ず、事件として成立しない」との意見を付け同地検に捜査書類を送っていた。


＊2009年7月1日blog#633
『退け際の美学：根釧漁船保険組合長保険金詐欺容疑で書類送検』
　http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01

コメント 4

不起訴処分になっても道警はこの疑惑の男に常に目を光らせている。
その昔ならこの男はすでにつるし首の刑だ。
根室で一番嫌われているこんな人物が漁業協同組合の組合長をしている。根室の恥だ。
この男は古里のためになどとこれっぽちも考えていない。
根室のためを思うならチンピラどもといっしょに早く市から出て行ってほしい。
道警は仕事を全うして一掃してほしい。




by マスコミ (2010-01-24 01:01) 

それほど嫌われている人がどうして組合長で居続けられるのか不思議です。
あたらずさわらず、事なかれ主義の職員や組合理事が多いのかもしれませんね。世の中はそういう人たちで成り立っています。いくらなんでも総スカンなら居続けられるわけがありません。

先ごろ行われた根室高校芭蕉同窓会の役員改選も似たようなものかもしれません。

警察に頑張ってもらうしかないようでは情けないですね。こういう人を組合長にする根室人の見識が問われています。私たち一人一人の見識が問われていると思うのです。

市長も地元選出の道議も国会議員も、ひょっとしたら似たようなレベルではありませんか？この3人の中に誠実に正直にしっかり仕事のできる人がいますでしょうか？後者二人はホームページをもっていますから、活動報告を時々読んでみますが・・・とにかくたくさんの人が読み、選挙に意見を反映してほしいものです。

しっかりした根室人は私の周りにも居ますが、だれも表舞台に出てこない。変わるわけはないとあきらめた人もいます。
わたしはあきれめません、あきらめきれませんと申し上げておきます。

「マスコミ」さん、辛口のコメントをどうもありがとう。
by ebisu (2010-01-24 12:42) 

今日選挙らしい。たぶん再当選されると予想。漁業権ちらつかせた脅しまがいの票集めを水面下でやってると聞いた。。まあ、周りが変わらなきゃだめですよ。
by ぽいさ (2010-03-23 12:46) 

「ぽいさ」さん、今朝の新聞報道によれば、あなたの言うとおりの結果でした。
残念ながら根室はなかなか変わらない。今回は、対立候補がでただけ立派なこと、変化ありと満足するしかありませんね。
市長選挙や市議定数の問題も含めて、根室の町はこれからもいいところも悪いところもひっくるめて根室であり続けるのでしょう。

by ebisu (2010-03-24 12:00)