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米国景気対策法にどれほどの効果が期待できるのか? [91.経済]

米国景気対策法にどれほどの効果が期待できるのか?

 なにかヘンだと思ったら、今日は祭日らしい。一世代前の人には紀元節だが、名前を改めて建国記念日というらしい。

 前々回のブログでトヨタ自動車の3度目の収益見通しについてコメントした。今日は米国を採り上げようと思う。
 修正米国景気対策法案が上院を通った。61対36だ。
 人口が日本の2.34倍(米国3.00億人、日本1.277億人)の米国に上院議員は97人しかいない。参議院議員定数242人は多すぎる。米国と同じ割合なら42人だ。200人過剰ということだ。
 官僚による予算無駄使いを声高に言うなら、国会議員は自身の定員過剰問題についても、同じ次元で無駄使いであると言わねば不公平だろう。

 話しがそれたので本題に戻す。景気対策法案にもられた金額は8270億㌦だそうである。この予算で米国景気が何とかなるかというのが今回のテーマだ。
 自動車産業を例にとろう。2007年度のGMの売上は1812億㌦、フォードは1725億㌦、クライスラーはダイムラーベンツの一部になっていてわからないので、假りに1400億㌦としておこう。合計5000億㌦である。人件費を40%と假定すると2000億㌦になる。下請けからの部品調達やディラーの人件費などを含めると、総額5000億㌦の65%程度が人件費だろう。おおよそ3200億ドルである。

 さて、米国の自動車市場は40%縮小してしまった。単純比例で計算すると1280億㌦の人件費がカバーできない。いままでどおりの生活を維持しようとすれば米国政府が失業手当、生活保護等で何らかの形で年間1280億㌦を補填支出せざるを得ない。

 景気対策法の主たる対象は金融機関である。それも一回限り。自動車産業に対する補助を3年間継続するとすると3800億㌦必要だ。そして3年後にビッグスリーは回復しているかというとそうはいかない。やはり青息吐息だ。補助を打ち切れば経営破綻だろう。結論から言うと潰すしかない。それも早いほどいい。手を打つのが遅れたら、1社ではすまなくなる。
 オバマに有効な景気対策はないのだ。株式市場は景気対策法案の具体的内容の乏しさに反応して、昨日NYダウは382ドルも下げ、7888.88㌦でひけた。

 魔法の杖はない。「日本のような失われた10年を招来しないために」、オバマ大統領は景気対策法の早期実施が必要だと共和党議員に迫ったが、具体策はまだ提示できない。そうこうするうちに長期の深刻な経済不況の波が膝元をぬらしつつある。不況の速度は大きい、オバマ大統領があせる所以だ。その深刻さと、打つ手の狭さは、日本の失われた10年どころの比ではない。世界中を覆ってしまっている。

 スタートしたばかりの新政権がもたつく間に、GMは昨日、事務系社員73000人の14%のカットを公表した。10000人のリストラである。
 景気対策法案に基づいて具体策として何が出てくるのか、しばし待ちたい。

 2009年2月11日 ebisu-blog#536
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