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テストの結果分析:総合点の分布パターンから言えること [57. 塾長の教育論]

テスト結果分析:総合点の分布パターンから言えること

《FACTs》
 ある中学校3年生の5科目総合点を並べてみた。テストは次の三つである。
  ①3月実施の学年末のテスト
  ②9月11日学力テスト総合A
  ③9月24日2学期中間テスト
 ②のみ学力テストで①と③は定期試験である。①の学力テストは300点満点で、①の学年末テストと③中間テストは500点満点である。比較できるように、どちらも階級値が20段階に分類されている。下から1階・・・一番上を20階としてみる。
 3つ並べると、山が二つあることが分かる。それは後で検討することにして、16階から20階まで、つまり上位層4つの階級値の合計人数を書くとこうなる。
  ① 17人
  ② 4人
  ③ 13人
 テスト問題の難易度は、前回の分析で③中間テストや①期末テストのほうが業者作成の②学力テストよりもやさしいことが分かっている。その上で、学力テストが上位4階層に4人しかいないというのはどういうことか。
 下位10階級の階級値合計も記しておく。
  ①33人
  ②44人
  ③39人

《評価》
 成績上位層がテスト対策により、記憶するだけの勉強をしている可能性を強く疑わせる。内容をきちんと理解していたら、全国的に見れば難易度の低い簡単な問題の学力テストであるから、解けないわけがない。つまり、成績上位層の生徒はやった問題を覚えているだけで、思考力が劣っていることがうかがえる
 こういう勉強の癖をつけると社会人となってから困ることになる。中高生のときに思考力を鍛えなければ、思考力の弱い大人に育つ。役職がついて仕事を任されても何をどうしてよいのかわからない、そのような社会人になりかねない。そういうタイプが実社会に何人もいたからである。仕事ができずにノイローゼになる者、責任を他に転嫁することばかり考える者などろくなことにならない。
 現実の社会で生起する問題は正解が何か分からず、答えは何通りもありうる。現実社会で間違いのない答えを見つけるには思考力が武器である覚えるだけの勉強は大事な思考力を鍛えずに青春時代の貴重な時間を浪費させてしまい、つきつめて考えることをしない性格をつくり上げてしまう繰り返すことは、習慣になり、習慣は性格を形成してしまう。だから、毎日やること、繰り返し定期的にやることをおろそかにしてはいけない。

《効率的に補習をやることで学力テスト平均点は全道トップとなりうる》
 ピークが二つあるということは別のことも物語る。塾に通っている生徒と、そうでない生徒で山が二つに分裂してしまっている可能性である。
 これを埋めるには、下位10階層に対して学校が補習するしかない。ほぼ半数がこの階級に属しているから、1科目に付き週3回×3ヶ月補習を実施すれば二つの山は崩れてひつとになる。平均点は1科目20~26点上がるだろう。500点満点で5科目計で100~130点平均点を挙げられる。300点なら60~78点アップの190~208点だ。
 もちろん定期試験問題の難易度を学力テストより上げることも前提条件である。教委がデータを公開しないので私はデータをもっていないが、補習のやり方次第でおそらく全道トップクラスの平均点の学校となる。学校教育の役割はこれほど大きい。
 
《テスト対策の功罪》
 テストがあるからテスト対策をやるというのは短絡である。点数を上げるためだけに勉強するわけではない。上げ膳据え膳に慣らされたら、社会に出てからどうなるだろう。温室の中でぬくぬくと育ててしまったら、外に放り出された(社会人になった)ときにどうなるだろう。ほとんどがしおれてしまうに違いない。どの親も、生徒もそのような育てられ方を望んではいないだろう。
 ニムオロ塾では中間や期末テスト対策を最初の5年間はほとんどやらなかった。首都圏の学習塾で定期試験対策をやるところは、あっても少数で、補習塾だ。進学塾で学校の定期試験対策をやることはありえない理解が深まり、思考力が鍛えられればどのようなテストをやろうとも上位の点数は獲れる
(東京でも公立中学校の定期試験問題は易しい。だから生徒は塾通いをして難易度の高い問題に取り組む。そうしなければ有名私立高校へは進学できない。)
 しかしこの1年間、英語については私もテスト対策をやっている。英語の成績の悪い生徒が多いからだ。基本が分かるように、繰り返し教科書の文例をとりあげて黒板に問題を書き続け、「基本トレーニング」を繰り返している。テスト前に2回やるが、とくに英語の成績が悪い生徒に効果が大きい。
 成績がよい生徒は、難易度の高い問題集を独力で解いて、分からないところを質問すればいい。塾で使っている問題集は一部は高校の範囲まで載っている。東京の有名私立高校受験問題では高校1年の解法を知っていた方が短時間で解けるような出題がなされている。道立高校では出題される可能性がなくても、生徒の実力を高め、思考力を鍛えるために私はなるべく難易度の高い問題が収載されている問題集を選んでいる。
 結論を言うと、テスト対策はほどほどにやり、あまり生徒に手を貸さないのがよい。自分で努力する余地を残すことも教育である

《現実に即したユニークな授業形態》
 学習速度の速い生徒と遅い生徒ではニーズが違うので、グループ指導と個別指導を組み合わせた授業をしている。ニムオロ塾では成績不振の生徒には個別に補習をする。ひたすら手間隙をかけて基礎を叩き込むしか成績を上げる手立てはない。魔法のような授業などどこにもありえない。データをにらみながら、毎月毎年、ひたすら授業の改善あるのみ。

 2008年10月7日 ebisu-blog#339
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