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たそがれ近い cycling 8 [85.サイクリング]

            たそがれ近い cycling 8

 サイクリングの本によると、朝か夕方のサイクリングが強い紫外線を浴びずにすむから健康によいという。さて、夕方のサイクリングの感触はどうだろうかと試してみた。原野の真ん中を走り、オホーツク海へ抜けて海沿いを走り、戻ってきた。走行距離は20㌔である。
 これで7月27日から通算260㌔走ったことになるが、少し分かってきたことがある。10㌔タイムトライアルで平均分速400㍍なら心拍数をあまり上げずにサイクリングを楽しめるが、500㍍は空気抵抗の関係から、必要エネルギーが大きすぎて現在の体力では無理で、追い風でなければ不可能であること。
 またしても他人の意見の受け売りとなってしまうが御寛恕願いたい。ロードバイクの本によれば、空気抵抗は速度の2乗に比例するというから、時速24㌔と時速30㌔では1.56倍もの空気抵抗を受けることになる。パワーは“抵抗(力)×速度”なので、結局速度の3乗に比例するとも書いてあった。計算すると、1.95倍のパワーを必要とする。とても無理だ。心拍数をあまり上げないでする楽しいサイクリングは平均分速400㍍が現在の体力相応である。
 平均時速30㌔を維持しようと頑張ると苦しいわけが数値計算の結果よくわかる。追い風だと時速20㌔くらいまでほとんど無風に感じる。そういう時は巡航速度が30~35㌔で走れる。耳元でなる風の音がまるで違う。アゲインストだと後ろから来る車のエンジン音が風のゴーとうなる音でかき消されてほとんど聞こえない。
 牧の内のコースは折り返しだから、行きか帰りのいずれかがアゲインストになる。追い風だと5,000㍍を10分と少しで走れるが、アゲインストの方は同じ距離を1.7倍時間がかかる。 
 面白い現象があった。白線を踏んで走る訓練をしていたら、突然に20~30㍍先の白線がずいぶん幅広になったような気がする。錯覚かと思って何度も意識したが、確かに線の幅が太い。
 中島敦の作品『名人伝』に弓の名人に弓の極意を習う場面が出てくる。馬の毛の先に虱を縛ってぶら下げ、来る日も来る日もその虱を見続けるのである。一月が経ち二月が経つ、そして三月、虱は人間の頭ほども大きくなる。半年経つうちには馬のような大きさに見えてくる。そうなってから的をめがけて矢を射ようと思うと、的が二階建ての家ほどにも大きくなって見え、外れる筈がなくなってしまう。
 まんざら嘘ではないなと、太くなった白線を見ながら、中島敦の『名人伝』を思い出したわけである。漢学の素養の深い彼の作品は文体は硬いが独特の味わいをもつ品のある文章である。ついでに言うと永井荷風の日記『断腸亭日乗』も切れのよい文体だ。
 一生このような品のある文章を書ける可能性はあるまい。下手は下手なりにたくさん書くうちにはそれなりの個性のにじみ出た文体になることを期待しつつ、こうしてよしなしごとを書き綴る。
 このブログも9ヶ月で記事は284、アクセス数は3万を超え、8月単月の一日当たり平均アクセス数は220となった。金比羅神社のお祭り、お盆、夏休みなどが重なったせいだろう。冗長な文章に付き合ってくれた見知らぬ読者や旧知の読者、そしてブログを続けることを薦めてくれた友人、それぞれに感謝申し上げる。 m(_ _)m

 これから昨日飲んだ優しい性格の大吟醸酒を食事をしながら飲もうと思う。やさしいお酒が誘うやさしい時間をゆっくり楽しみたい。みなさんもいい日曜日の夜でありますように。

 2008年8月31日 ebisu-blog#284
  総閲覧数:30,345/279 days(8月31日18時30分)


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