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形容詞の語順について [62. 授業風景]

             形容詞の語順について

 ひとつわかればその先にはわからないものが二つ三つ、その輪郭が明確になりはじめるが、その先は霧の彼方へ消え、ことの焦点がなくなってしまう。形容詞の語順もそうした例の一つだろうか。こんなことを考えながら、霧に包まれてゆく根室半島を想像しながら偶然の相似を楽しむ。

 受験参考書を調べたら言及しているものが一つだけあった。もっとも受験参考書は質の良いもの数冊しか手元にない。OxfordとCambridge大学出版局からだされたものも見てみた。その結果は次の通り。

 [qualitative adjectives] ⇒ [colour adjectives] ⇒ [classifying adjectives]

 「色」を真ん中にして左側と右側に分かれている。「主観⇒客観」の順に並べると説明しているものもあるが、それだけでは実用にならない。しかし、詳細に定義すれば複雑すぎてこれも実用にならない。ビギナー向けには、まあ大体のところだけ覚えておけというほかないようだ。

 英語の語彙にも問題がある。qualitativeという語がその内容を適切にあらわしていない。classifyingも同様である。文法学者が苦し紛れに充てた呼称だろう。
 リストに上がっている形容詞をざっと眺めると、qualitative adjectivesは「感情や心の状態を表す形容詞群」と「修飾される名詞そのものがもつ性質・形状・特質などを感覚器官がどのように捉えているかをあらわす形容詞群」にわかれる。これらを一つの言葉で統一的に表現する適当な語や概念が英語にはない。だから用語からは内容の推察がつかない。
 classifying adjectivesには「特定の種類の階層・分野・部分・材質などを表す形容詞群」と「名詞の形容詞語尾がついて形容詞となったもの、日本語にすると「・・・的」に該当する語群」がある。これらを統一的な概念でとらえるために適切な語彙が英語にはないということだろう。

 qualitative adjectivesは次の順序で並べる。
  1. 大小⇒形状⇒性質・状態⇒新旧⇒色彩
    2. oponions⇒size⇒quality⇒age⇒shape
 classifying adjectivesは次の順序で並べる。
  1.origin(地域・産地名)⇒material(材質)⇒purpose(用途)
    2. age⇒shape⇒nationality⇒material

 本によって違うようだ。’2’の方はshapeが両方に入っていたり矛盾があるが、英国最大のコーパスに基づいた形容詞の語順だから、そのまま受け入れるしかない。語法辞典からの引用である。理屈では割り切れない部分があるようだ。
 高校生相手に書いているからと言って、好い加減ではいけない。出典やそれぞれの形容詞群に属する語彙分類リストは『手作り文法講座』としてまとめてあるので、ほしい人はどうぞ。塾生でない人は友人の塾生を通じて手に入れてください。

 くれぐれも教科書リーダーを使ってするような安直な勉強はしないように。そういう勉強法は癖になり、社会人となってから副作用がでる。大事なことは根源まで遡って考えてみるという姿勢は中高校生での勉強スタイルが決めている。繰り返すことが習慣になり、中高の6年をかけて性格の一部にまでなってしまう。繰り返すことはすべからく習慣や癖となり、そのひとの人格や性格の一部をを形成してしまう。だから今日一日をどのように過ごしたか、明日一日どのように過ごすかが大切だ。
 受験参考書レベルの思考から自由になり、読書の範囲を広げてみよう。根室にいてもインターネットで洋書がいくらでも手に入る時代だ。書棚に数冊洋書を置き、ときどき手にしてみるとすこし大人の気分に浸れるだろう。
 
 大雑把だが手元にある3冊の本を検索して分かったことをまとめてみた。結局、細かいところになるとわからない。主観・客観尺度で理由を考えても、あるところからはこじつけになってしまう。でもこんなもので充分だろう。
 日本語の文法も似たようなところがあるが。それは稿を改めよう。
 
  2,008年7月15日   ebisu-blog#225 
  総閲覧数: 21,196/232 days (7月15日10時40分) 


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