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市立病院の看護師不足が深刻化(北海道新聞より) [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年4月13日   ebisu-blog#167 
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 南風だろうか、太平洋から根室半島に吹き寄せる風が強い潮香を運んでくる。子供の頃の遠足で、砂浜でオニギリを食べながら吸い込んだ磯の匂いを思い起こさせる。

 市立病院の看護師不足が深刻だという。20代の看護師の退職が相次ぎ、一昨年は16人、昨年度は15人が退職した。2年間で31名(約30%)の退職は異常事態といえるが、病院の先行きが見えないことが若い看護師が退職する原因になっていると道新が報じている。

 夕張市のように民間の診療所となれば、市職員としてはいったん解雇となり、退職金や年金に大きな影響が出る。転職するなら早いほうが有利であると考えたとしてもしかたのないことだろう。根室に住む全員が強固な郷土愛を持ち合わせているわけではないし、郷土を愛してはいても仕方のない個人的事情を抱えている場合もある。

 病院経営に対する不信感が根底にあれば、残念なことだが今後も若い看護師の退職は続くだろう。診療体制の崩壊を防ぐ唯一の対策は病院経営を健全化することだ
 11億円もの赤字を3年間垂れ流し続けて、経営に不安をもたない職員はおそらく少ない。それなのにほとんど効果のない医師増員に奔走するのみで、経営改善努力を怠ってきたツケが廻ってきたことを知るべきである。
 具体的な将来ビジョンをもたず、経営改善もなされない現状にあきれて、病院の現状を知っている若い看護師さんたちが2年も前から沈む船から降り出したのだろう。道新の記事は市立病院の内部崩壊を見る思いがする。
 こんなことは書きたくないのだがあえて書く。人柄を批判しているのではない。それぞれ好人物かもしれない。私は見当違いの現状認識を批判するのみである。看護部長と病院事務局のコメントが載っているので、そこをよく読んで欲しい。若い看護師さんたちと認識のギャップがあまりにも大きいと感じるのは私だけだろうか。将来に失望し、あきれて職場を去る気持ちがわたしにはよくわかる。
 関係者は厳しい現状から逃げるのをやめて、稼動している144ベッドに合わせて縮小均衡策含む現実的な将来ビジョンを数ヶ月でまとめて公表し、粛々と実行すべきだ。そうすれば若い看護師さんたちもついてくる。

 4月12日 北海道新聞朝刊 根室地域版より転載

  市立根室病院
 看護師不足が深刻化
  都市部で求人急増
   本年度採用まだ2人
【根室】市立根室病院で本年度、看護師不足が深刻化している。2007年度中に15人が退職したのに対し、08年度で採用できたのはわずか2人。06年4月の診療報酬改定で、退職している都市部の看護師獲得合戦の影響が大きい。同病院にとって、医師だけでなく、看護師の確保も重要な問題になりそうだ。(仁科裕章)

 現場の作業に影響も
 同病院の看護師は現在、正職員95人。入院患者10人に看護師一人を配置する「10対1」の基準を維持している。だが、看護師不足に伴い、3人体制だった内科病棟の深夜勤務が4月から、2人体制に縮小。仕事量が増加するなど看護の現場に影響が出始めている。
 06年の診療報酬改定では、看護師を手厚く配備した病院の診療報酬を加算する措置が導入。「7対1」の最高基準を目指し、道内では札幌を中心に看護師の求人が急増、好条件での引抜が激化した。
 ただ、市立病院は医師不足による入院患者数の減少に伴い、06年度に4病棟のうち1病棟55床を休止。残る病棟に看護師を振り分けたため、手厚く配置でき、診療報酬改定の影響は小さかった。
 しかし、医師不足で病院の先行きが見えない不安から、20代の看護師の離職が相次ぎ、06年度は16人が退職。07年度は7人を採用したが、医師が確保されるにつれ、入院患者も増え、看護師不足が表面化した
 離職した看護師は専門的な勉強をするため、札幌などの病院に移るケースも多かったという。逆に市立根室病院は公立病院だけに患者のクレームが多い点など、業務負担の大きさが嫌われているようだ。
 山田美智子看護部長は「新人看護師が経験をつめ、教育が受けられる魅力的な病院にしなければ。看護学校を訪問し、就職を要請していきたい」という。同病院事務局も「医師を確保すれば、とうぜん、それに見合った看護師の数が必要になる。医師だけでなく、看護師も大切にしなければならない」と危機感をあらわにしている


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