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財源不足10億円超に(道新地域版より) [26. 地域医療・経済・財政]

2,008年2月5日   ebisu-blog#073
総閲覧数: 3220/70 days (2月5日9時06分現在)

 心配していたことを仁科記者が取材報道している。なかなか好い取材と分析である。記事の内容は深刻だが、地元に赴任した記者が成長していくのは喜ばしいことである。コメントは後で書く。まずは転載するので記事を読んで欲しい。今朝の新聞から、無断転載御免。

財源不足10億円超に

根室市11年度 元金償還はじまり急増

【根室】市は2012年度までの財政収支試算(普通会計ベース)をまとめた。歳出を抑制するため05年度に実施した公的資金の借り換えによる元金償還が始まる11年度に10億円を超える財源不足が見込まれる。
 試算では、予算編成中の08年度は9600万円の財源不足と算出したが、09年度から財源不足が発生。不足額は09年度8100万円、10年度2億4600万円、12年度は8億2600万円、12年度は8億2600万円を見込んでいる。
 不足額が急増するのはこれまで取り組んできた歳出抑止策で後年度にまわしていた負担が11年度にピークを迎えるため。政府系資金より償還期間が長い低利の民間資金への借り換えや下水道事業会計支出金平準化による当面の支出減などで将来に負担を残しているという。このため市は新年度の予算で財源超過額を減債基金に積み立てる方針。
 一方、市立病院事業会計への一般会計からの繰り入れは新年度の医師体制が不確定なため、本年度当初と同じ4億8100万円で算出。大幅な増加が予想される病院の不良債務を解消する経費は含んでいない。
 根室支庁を振興局に格下げする道の支庁再編案も実施を想定していないため、状況次第ではさらに財政が悪化することも考えられる。市財政課は「基金の取り崩しなどでは対応できない。今からお金を貯めていくしかない」と話している。(仁科裕章)

【コメント】
 案の定である。棒線部分は平成17年度のことである。長谷川市長と大地みらいの北村理事長がやった仕事だ。市債を民間からの借入れに変更すると、5年間は実質公債費比率計算式の分子から外すことができる。実質借金としては公債も民間金融機関からの借入れも区別がない筈である。それを名目を変えただけで、算式から外すことができることがおかしい。夕張市と同じ仕組みでの財政破綻が防げないではないか。抜け穴のあるザル法である。市の財政課担当職員に郷土を愛する心が少しでも残っているなら、は抜け穴を利用してはいけない。品位と節度があればそのような安易な道を選べないはずである。財政課の職員は皆理解していたはずだ。
 償還が始まるときには長谷川市長の任期は終わって過去の人、新しい市長が選出されているだろう。「責任は新市長へまわそう」。根室の将来を考えないその場しのぎの弥縫策であったのだろうか。会社にもそうした小役人のような輩が必ず一人や二人はいるが、課長職か稀に部長職どまりでそれ以上出世できない。大きな権限をもたないから会社も潰れない。藤原元市長は財政が難局を迎えることがわかっていたのだろう。再出馬ぜず、さっさと札幌に引き揚げた。お利口な人物である。
 市長の責任回避の弥縫策に乗ったか、乗せたのが北村理事長であろう。地元の名門金融機関にも器の大きな人材がいないようだ。都市銀行や地銀に比べれば信金は金融機関の末席のひとつである。人材に制限のあるのは当たり前かもしれない。根室市の財政破綻の引き金を引いた張本人を二人挙げるとすれば彼らである。それでも全部を彼らのせいに帰すことはできない。

 市立病院の移転問題で4~5年ほど前だったか、商工会館のホールで市民の意見を聴いたことがあった。そのときの長谷川助役(当時)の発言は、事情を知っていながら市民への説明会で嘘を平気で言う典型的な小役人だった。まさかあの程度の人物が根室市の市長になるとは、他に立候補する人がいなくて無投票当選が決まったときには、根室の財政はこれで終わりだと感じた。「おわりのはじまりだ」それが無投票当選の決まった夜の感覚だった。
 選挙期間中に、「オール根室」の掛け声で北村理事長が長谷川候補を支持した。そして市長に着任するとまもなく、市債の民間金融機関への借り換えが新聞で報じられた。役者は二人、北村理事長と長谷川市長である。あ~あ、これで償還が始まる5年後に根室の財政破綻が時限爆弾としてセットされてしまった、そう慨嘆した。

 民間金融機関への借り換えを行った平成17年度は病院への繰出金が10億円を超えている。18年度決算は見ていないがほとんど同じだろう。19年度決算では前にも書いたとおり17億円だろう。このときに正面から市立病院事業の赤字問題に取り組めばあるいは2012年の財政破綻は避けられたのかも知れない。

 市の財政課はなぜ平成20年度の市立病院への繰出金予算を4.8億円しか組まないのであろう。財政課町の判断というよりも市長の判断だろう。ありえない数字である。国の基準にしたがえば病院会計への繰出し金基準額は3.8億円前後になるようだ。赤字の巨額さとその赤字に対する市の無策の程度がわかる。
 17年度に10億円を超える巨額の赤字を出したにも関わらず、公債を民間金融機関へ借り換えることによって、赤字縮小策の実施を先延ばししてしまった。それが致命傷である。小役人はこういう頭の使い方しか知らない。小役人の小役人たる所以である。
 今に至っても「医師確保が不確定」などと莫迦なことを言っている。前年以上の医師確保など道内の地方自治体病院のどこにそのような病院がある。旭川医大をはじめとして札医大や北大の医局は新臨床研修制度で数十人単位で定員不足をきたしている。道内の大学は派遣増員の要請に応えられるわけがない
 平成20年度の予算では17億円の病院事業赤字を見込んで、一般会計から17億円の繰出金予算を組むべきである。そうすれば一般会計の歳入欠損は16億円超に達するだろう。減債基金への積み立て?なにを莫迦なことを言う。140億円の歳出予算から20億円以上の歳出をカットしなければいけない状況になっているのである。市と財政課のやるべきことは20億円の歳出カットの具体策を提案し直ちに実行することである

 もう根室の財政破綻は避けられないところまで来てしまった。長谷川市長を無投票当選させたときから決まっていたことである。残念ながら根室市民自らの選択であった。北村理事長は引き金を引いただけである。それ以上の罪はない。彼が財政赤字の原因を作ったわけではない。根室の将来を想像することができなかっただけだ。これを想像力の貧困という。心ならずも晩節を汚すことになった哀れな人という見方もできる。
 根室の町は昔から「有力者」といわれる「想像力が貧困なる者たち」が寄り集まり、分不相応な肩書きをたらいまわしにし、将来を考えない選択を繰り返すことで衰退を加速させてきた。飛行場誘致問題も北方領土問題も根っこは同じかもしれない。なぜだろう?知識と教養と智慧が貧弱だったことが淵源にあるのではないのか?だとしたら今の子供たちを教育するしかふるさとを再生する道はない。30年かかるだろう。
 経営用語で言えば、具体的な長期ビジョンと達成手段である戦略の欠落である。ようやくそのような伝統が終わりを告げようとしている。
 ときどきコメントを書いてくれるごっちさんではないけれど、一度破綻したほうが市の再生が早くなるという意見に賛成する人が多いのではないか。でも、現実に破綻を目の当たりにすることは辛い。家族・親戚・友人・知人に具体的な影響がある。他人事ではない、自分にもそれは及んでくる

 破綻したらどうなるかは夕張市が実例で教えてくれている市の職員は半分になり、残った職員の年収は30%減である。看護士さんたちもその多くが職を失う。職を求めて都会に出ざるを得ない市民が続出する。市税収入も急減する。札幌だってそう簡単に職はない。正社員の職への道はさらに険しい。出て行く人にも、残る人にも厳しい現実がまっている。
 道外へ出ざるを得ない人が数百人単位で出るだろう。出てゆく人たちが、ローンを組んだ家を借金の清算のために投売りする。不動産価格は下落し、売りに出した家は買い手がつかず売れない。そうなると都会に出てから自己破産せざるをえない。言いたくはないが生活破綻を苦にした自殺者もでるだろう。
 病院は解体、民間へ委託。引き受け先がなければ規模を大幅に縮小した「診療所」になりかねない。患者の中には困って釧路へ転出せざるをえない人がでる。
 建築関係の発注は激減、倒産する建設会社がいくつか出るだろう。根室市の人口は7年程度の内に25000人へと急減する。市内のスーパーはふたつに減るだろう。
 これらに比べれば、根室支庁の振興局格下げなどたいした問題ではない。議論などいらないから、さっさと格下げして財政再建を急いでくれればよい。支庁再編よりも北海道の財政破綻のほうがはるかに地域経済にとって怖いできごとである。高橋晴美知事も長谷川俊輔市長も無策な点では五十歩百歩である。
  町の政治を小役人や市議たちに任せっぱなしにしているとこういう事態が起きる。わずか3万人の町、人材が不足している。難局に正面から具体策を提案し果敢に実行する新市長の出現が望まれるが、この難局を乗り切れる人も、被害を小さくできる人も現在の根室の人口3万人の中にはいないのかもしれない。長谷川市長は具体策がないのなら、その任に非ずで、さっさと辞任すべきだろう。「無投票選挙で市長にしていただきましたが、この難局を乗り切る具体案がありません。申し訳ありませんが辞任いたします」と表明すればよい。仁科記者が適切な解説をつけて報道してくれるだろう。
 このようなきついことを書きつつも、人材難だから長谷川市長にがんばってもらうしかないのだろうとも思う。誰が市長になってもやるべきことは同じだ。長谷川市長、問題から逃げるのはやめにして、正面から財政問題と戦おうじゃないですか。

 町は4年以内に確実に悲惨な事態を迎えることになった。一人ひとりの市民が4年後の自分の生活を想像すべきだ。そして被害を最小限にするためにいま何をしなければいけないか一緒に考えよう。長谷川市長をどのように支えるべきかも考えよう。現実的、具体的に。

 時間は残されていない。根室市の財政は平成20年度実質破綻を迎える。市債が発行できないからといって安易に民間からの借入金を増やすのはつけを後に回す最低の愚策である。選挙権をまだ持たぬ子供たちに、これから根室に生まれ来る子らにツケを回すのは終わりにしよう。逃げずに正面からこの難局に立ち向かおう
 平成20年度40億円の実質歳入欠陥を考えるとき、根室の財政は実質的に破綻したと言わざるをえない。プライマリーバランスの実現が不可能な領域に踏み込み、ある時期の夕張市と同じように雪だるま式に借金か膨らむ時期に突入してしまった。
 さて、夕張市と同じことになるかならぬか、ここいらが正念場である。



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コメント 1

ごっち

新聞では分かりにくい市政に少し興味を持てるようになりました。専門家に任せておけば大丈夫、なんて思いがあったのですが全くそんなことは無いのですね・・・。
学が浅いので生意気なコメントは避けますが、色々な利害関係もあるでしょうが将来性のある政をしてほしいですね。
ebisuさん勉強になってます!!これからも色々教えてください。
by ごっち (2008-02-07 23:19) 

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