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#4112 英語が苦手の高2生のための短期特訓10th:最終回 Oct.23, 2019 [78-1Vivid 3短期特訓補習]

<更新情報>
10/23 朝8:35 デカルトに関する追記

 毎週水曜日に2時間、合計10回短期特訓補習授業をやってきた。最終回の今日はLesson8'Water: The Biggest Problem in the Century' を1ページ半やった。5-10回音読、すべてのセンテンスと節の文型を確認しつつ、読解を坦々とやる。今日は冠詞に焦点を当てた。
 たとえば、’The Biggest Problem’と’the Century’はなぜ定冠詞がついているのか。’Water’はなぜ無冠詞なのか、’all the water on the planet’ のwaterにはなぜ定冠詞がついているのかなど。単数無冠詞、不定冠詞、定冠詞、複数無冠詞、複数定冠詞が使い分けられたら、高校レベルを超えている。授業では無冠詞には空集合の数学記号「Ф」を用いている。数学の大好きな生徒たちだから、なじみのある記号が食いつきやすい。(笑)

 たとえば、次のような例文を挙げて、意味や使われる場面の違いを解説した。
a1) She goes to school by bike. 
a2)  My mother went to the school yesterday.

b1)   He has been in hospital for a month.
b2)   He goes to hospital.
b3)   He went to the hospital last week.

 長い文が出てきた、英語が苦手の生徒は長文が苦手で、なかでも長いセンテンスは見ただけでアレルギー症状を起こす。それもとりさらねばならぬ。この章の2番目の文がちょうど都合がよかった。

 You may think it quite natural that a waiter brings you a glass of water when you sit at a table in a restaurant in Japan.

 デカルトは、複雑な問題に遭遇したら、「問題をよりよくとくために、必要なだけの小部分に分割すること」とその著『方法序説』の中で、科学の方法「四つの規則」の2番目で述べている。数学でも英語でも応用できる至言である。やってみよう。
You may think+O
it quite natural that a waiter brings you a glass of water
when you sit at a table in a restaurant in Japan

 こういう風に三つに分けてしまうと、それぞれ簡単な文となる。
 ①のOとはObject(目的語)である。その目的語が②の節構造になっているだけ。thatを挿入して黒板に書いて見せたら、何人かが「それならわかる、なんでthat入れてくれないの?」、そんなに親切な文ばかりやったのでは、新聞英語はいつまでたっても高根の花になる。
 ②は受験英語の「it…that」構文というやつで第Ⅱ文型だ。itはthat以下であるあるから置き換えたらいい。「that以下は極めて自然なことだ」と言ってるだけ。
 ③のwhenで導かれる節は第Ⅰ文型、時を表す副詞句、たとえば、this morningやyesterdayと同じ役割だ。英語は語順が決まっていて、時の副詞句は文末にくるのが基本で、それ以外の位置に来ていたら、強調である。したがって、「日本のレストランでは席に着くと…」というだけ。長いセンテンスも三つに分解してしまえば簡単になる。
 数学が好きな生徒たちのために、大中小括弧で括って関係を明瞭にすると次のようになる。

 You may think [it quite natural (that a waiter brings you a glass of water)][when you sit at a           table in a restaurant in Japan].

 次のように、スラッシュを二か所に入れただけで意味がとりやすくなる。
 You may think / it quite natural that a waiter brings you a glass of water / when you sit at a table in a restaurant in Japan.

   第Ⅲ文型 「S+V+O+Place(=∅)+Time」のplaceに関する句が空集合になっている例である。
(日本のレストランでは、席につくとウエイターがコップに入った水をもって来るのが極めて当たり前のことにように思える)

 ジャパンタイムズの記事にはもっともっと長くて複雑な構文が出てくる。長くて複雑な構造の文が出てきたら、やってみせたように番号をつけて箇条書にしてしまうか、文の節構造ごとにスラッシュを入れたらいい。そのとたんに、ずいぶん簡単に見えてしまうだろう。

 はじめて仮定法の文が出てきたので、仮定法過去と仮定法過去完了の解説をして、1題、英作文してもらった。
 If oil were to run out tomorrow, we would be able to survive.  But if it were not for water, we wouldn't.  
(石油が明日枯渇してしまっても、わたしたちは生き延びられるが、水がなければ生きられない)
  アンダーライン部は成句である。
英作文問題:「太陽がなければ、何も生きられない」、「太陽」は無冠詞か、不定冠詞aか、それとも定冠詞theをつけるのか、よく考えること。

 生徒:if it were not the sun, anything can't live.

 惜しい!80点だ。can'tがcouldn'tになれば正解だった。わたしたちが住む太陽系には太陽が一つだけだから、the sunが正しい。
 昨日、並べ替えの問題をやっていた生徒が、正答率4%の問題に正解できたと喜んでいた。動詞にshowを使う問題で、授与動詞4文型は「動詞+人+もの」の語順が基本となんども説明していたから、身についたようだ。いままでできなかった問題が正解できてうれしい、それを繰り返すことで、楽しみながら成績がアップしていく。勉強はいやいややっても身につかないが、楽しみながらやる者は大きく成長する。だから、いままでできなかったレベルの難問に正解できたら、その都度大いに喜んだらいい。

 
これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず。


 ところで、ベネッセのスタディサポート・テストがあったのだが、受講していた5人は全員前回よりも英語の正答率がアップしていた、わたしはとってもうれしい。
 進研模試数学が5人とも学年10番以内だが、英語が苦手で、英語の偏差値が38-48であった。来週、進研模試があるが、まだそれほど点数は伸びないだろう。2月の模試までには、英作文トレーニングを3回やるつもりだ。それが終了すれば、さらに15点アップする。
 何も言わなくても、最近は5人とも英語の教科書を開いていたり、それぞれいろんな問題集やプリントに取り組んでいる。勉強しているから質問も出る。こちらは、質問に応えるだけでいい。「英語も勉強しろ」と言わなくてよくなった。(笑)
 2月の進研模試では、数学の偏差値よりも英語の偏差値のほうがよくなる生徒が出ると思う。

 国数英の3科目とも上がった生徒が三科目合計点で学年5位に上がってきた。2月はこの生徒の目標は学年3位だ。先週聞いた志望大学が変わるだろう、もちろんランクアップとなる。
 他の4人も三科目合計点で学年10番以内に入ってきてほしい。
 半年後には英語が苦手だった5人のうち3人は英語の偏差値が60を超えているだろう、そうなったらとっても愉快だ。(笑)

 学年トップの生徒には、この特訓は不要で、’Sapiens’を読んでいる。授業の様子はカテゴリー「44-2 Sapiens」にまとめてあるから、偏差値80超を目指す人は利用したらいい。二次試験対策にもなるし、大学院入試の準備にもなる。
 この生徒は英検2級を受験したが1次試験はバンド+7で通過、2次試験(面接)も問題なしだ。英検2級クリアが条件になっている大学医学部があるので、クリアしておきたいということだった。
 481頁あるハラリの’Sapiens’邦題『サピエンス全史』を読み終わるころには、準1級に手が届く。準1級の問題集を並行してやっておけば、語彙力も問題がなくなる。Sapiens一冊だけで、高校3年の教科書のおよそ26年分の分量があるから、すごい分量だ。大学受験勉強でこんなことをやる生徒は全国にもほとんどいない。(笑)

 学力に応じた個別指導をすれば生徒は勝手に成長するのである。


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