SSブログ

#5151 官製賃上げと国民負担率の増大という矛盾 Jan. 24, 2024 [8. 時事評論]

 岸田首相が春闘での賃上げ要請を経団連にしている。賃上げで消費を拡大して経済に好循環をもたらそうというわけ。
 その一方で、国民負担率(国税+地方税+社会保障負担)は増大を続け、同じ所得なら実質手取りは減少を続けているのである。
 どれくらいか?
データ元:「国民負担率の推移」
①1970年 24.3%
②1990年 38.4%
③2023年 46.8%

 年収500万円で②と③ケースで手取りを計算すると、それぞれ308万円、266万円となる。33年間で42万円国民負担が増大して使えるお金が減少している。

 なぜこんなことになっているのか?
 もちろん要因はひとつではない。一番大きいのは消費税だ。消費税の導入は1984年4月である。これが段階的に引き上げられて、いまや10%になっている。介護保険のスタートは2000年4月、これも国民負担率上昇に一役買っている。ふるさと納税制度は地方税の再分配システムだが、大都市で持ち出しになるところへは、国から補助金が支出されているから、これも国民負担率の増大や、財政赤字拡大に一役買っている。増税して補填する補助金の手当てをしないと維持できない制度なのである。そんなことは政府からほとんど説明がなされない。
 赤字国債での財政ファイナンスも入れると国民負担率はこの33年間で、38.4%から53.9%へ激増した。そして国債の発行残高は毎年30~50兆円のペースで積み上がりつつある。政府債務残高はすでに1500兆円を超えたようだ。

 かてて加えて、この30年間で国民一人当たり実質所得は上がっていない。OECDでこんな国は他にはない。

 民間企業の経営者の団体には賃上げを要請しておきながら、自らの放漫財政運営を放置し、国民負担率を上げることで、足りない分をあがなっている。歳出を減らす努力はまったくしない。
 消費税率を下げる、国会議員の報酬を引き下げる、ふるさと納税を廃止する、財政が赤字の間だけは公務員給与を民間企業並みに下げる...痛みを伴う財政改革はいくらでもやりようはあるではないか。
 自らできることを一切やらずに、民間経済団体に賃上げ要請というのはまことに不可思議だ。一緒になって旗を振っている連合の芳野会長は頭のネジが外れているのだろう。


にほんブログ村
 

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。