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#5046 中国の日本水産物輸入禁止措置解消策:簡単です Aug. 30, 2023 [8. 時事評論]

 林外務大臣が、WTOの委員会へ持ち込むなんてことを公表しましたが、火事が起きているのに、薪を放り込むようなことになりませんかね。
 他に妥当な策はないのでしょうか?

 トリチウムは半減期間が12年ですから、40年保管しただけで1/10に減少します。同じ理屈で80年で1/100に、120年で1/1000に減少できます。1/10に減少しただけで、中国の原子力発電所が年間に排出するトリチウム量を下回ります。
 外務大臣の林さんは、経済産業大臣の西村さんと協議して、40年保管後の放出を政府方針として打ち出せばいいだけに見えますが、違いますか?

 自然界にトリチウムの存在量は100~130京Bqです。宇宙線から年間7京Bqのトリチウムが生成されますが、12年で半減するので、存在量が安定しています。ところが1950年代の度重なる原水爆実験や原子力発電所の稼働、そして使用済み核燃料再処理工場の稼働(フランス)で、inputの量が増えました。トリチウムの存在量が徐々に増大しています。
 六ヶ所村の再処理工場がアクティブ試験をした2006年と2007年に排出されたトリチウムは1京8000兆Bqです。福島第一原発に保管されている「ALPS処理水」125万トンに含まれているトリチウムは860兆ベクレルですから、その21倍です。国会議員の川田龍平氏の国会での質問書に対する政府答弁書によれば、六ヶ所村の再処理工場が稼働すると年間1京8000兆ベクレルのトリチウムが排出されます。
 再処理工場が稼働しているのはフランスだけですが、ロシアや米国もプルトニウム生産のために同じことをしています。いま再処理工場を建設する計画が持ち上がっています。中国だってそのうちやるに違いありません。
 4つの再処理工場が現実のものになったときに、排出されるトリチウムを六ヶ所村の再処理工場を基準に計算すると7.2京Bqですから、宇宙線が生成するトリチウム量に匹敵します。生成量が2倍になれば、トリチウムの自然界での存在量も2倍になります。

 低レベルトリチウム水が染色体異常を起こすことが実験で知られています。もちろん、人道上人間を使って実験はできませんから、植物やヒト・リンパ球を使った実験です。
 原爆の放射能が染色体異常を起こしたというデータはあります。広島と長崎のデータです。米軍が長期間にわたって調査し、奇形を起こした胎児のサンプルもホルマリン漬けして収集・保管しています。
 胎児や成長期の子供のように細胞増殖が盛んな時は、放射能感受性が大人に比べて格段に高くなります。受精卵が奇形を起こすことで自然流産が増えますし、小児骨髄性白血病のように遺伝子や染色体が放射線で障害されることに起因するさまざまな疾患が増えます。確率論的な問題ですから、確率が2倍になれば、患者は2倍になります。さまざまな小児癌が多発することになりかねません。

 80年保管して、1/100になってから海洋放出をすると発表したら、中国との今回の原発汚染水処理にかかわる問題がなくなると思いますが、いかが?

 日本は唯一の被爆国ですから、福島第一原発事故の汚染水処理に当たっては、世界一厳しい基準を自ら作って、実行すべきです。そして、使用済み核燃料の再処理工場閉鎖を呼びかけたらいいし、米国の使用済み核燃料再処理工場計画を阻止したらいい。
 日本政府は凛として誇り高くあってもらいたい。
 それが健全な保守主義を標榜するわたしの願いです。

*それぞれのデータの根拠はいままでのブログに記してあります。

<余談-1:札幌市の空間放射線量が高いのはなぜ>
 フランスの再処理工場と米国の原発材料製造工場は同じくらいの緯度帯にあり、そこ方待機に排出された放射性物質が、ジェット気流に乗って、ちょうど札幌市付近に落ちると、聞いたのは1990年頃の放射線の専門家の合宿研修での発表の場でした。札幌市の空間放射線量が高いのはなぜだろうと長年不思議に思ってきたが、原因がわかったという話でした。
 わたしはこの分野の専門家ではありませんが、SRL学術開発本部長宛に招待状が来ていたので、前日に本部長から「(俺)行けなくなったから、ebisuが代わりに行ってくれ」と迷惑な業務命令でした。異動して数か月、直属上司である本部長の仕事の依頼を断ったことがありませんでしたので、気安かったのでしょう。暗礁に乗り上げて困っていた案件を5個ほど解決してました。(笑)
 開発部のメンバーにも放射線の専門家はいませんでしたから、仕方なかったのでしょう。合宿研修でじっくり専門外の話を聞いてました。自己紹介の時に困りましたね、場違いでしたから。でも収穫はありました。異分野の専門家数人と人脈ができたのは大きな収穫だったかも。こういうことは損得抜き、無駄でいいのです。
 専門外のことなら、普通は1週間あれば複数の専門書に目を通してから参加します。そうでなければ失礼ですからね。

<余談-2:汚染水保管タンクの耐用年数とコスト>
 石油タンクの法定耐用年数が15年ですから、同じでしょうね。いま1000個あるとして、40年保管だと4000個のタンクが必要です。敷地は福島第2原発にすればいいので大丈夫そうです。1個に1億円かかると擦れは、3回建て替えで、今後1兆2千億円かかります。建て替え費用が2億円なら、2兆4千億円です。
 40年間で2.4兆円なら、年間600億円の負担です。東京電力の売上は5兆円ほどあるので、どうってことのないお金です。それでもやらないのは、コストをケチっているから。安全を犠牲にしても安くあげたいようです。この会社の経営方針なのでしょう。
 廃炉のコストも原発事故賠償コストも最終処分場での保管コストも原発の採算を計算するときのコストには組み込まれていません。これらを入れたら、原子力発電はとてつもない高コスト事業になります。原子力発電が一番安いと嘘をついてきたので、ほんとうのことが言えない。経営は正直にやってもらいたい。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

<余談-3:海洋放出に反対している国々
 中国やロシアや北朝鮮だけではありません。先進国ではドイツ、アジアではタイやマレーシア、オセアニアではバツアヌやソロモン諸島がトリチウム水の海洋放出に反対しています。世界でただ一つの被爆国の日本がすべきことではありません。トリチウムの半減期が12年ですから80年間保管してから放出すれば、トリチウムの放出量が1/100にできるのに、なぜそうしないのか?原発の発電コストが再エネに比べて法外に高いことがはっきりするからです。


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