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#4959 NHK番組 解体キングダム Apr. 12, 2他より [A.6 仕事]

 標記の番組を見た。「頼りは命綱のみ 巨大鉄塔を解体せよ」というタイトルだった。
 古い鉄塔の外側に新しい鉄塔をつくり、新しい送電線を引っ張り連結する。次に内側にある古い鉄塔を解体する。
 27.5万ボルトのあたらしい送電線を引っ張るのは、ラインマンという4人のチーム。碍子(ガイシ)に新しい送電線を接続してボルトで止める。地上40mの高所作業だが、張られたラインに縄梯子をぶら下げてそこを降りて振ら下がったままでの作業だ。観ているだけで、こちらの方が足がすくむ思いがした。23歳から41歳までの高所作業の専門職人が15人ほどで作業をしていた。そこの現場は3か月間で、終われば別の現場での作業に移る。危険な作業を安全をしっかり確保しながら、声を掛け合っててきぱきと仕事していた。

 新しい送電線を架け替えたら、次は内側の古い鉄塔の解体専門職人のチームに交替した。40mの先端部分の床を構成する鉄材のボルトを外す。錆止めでボルトが鉄材に固着しているが、モンキーレンチをハンマーでたたいて外していく。下では78歳の親方が、ウィンチの操作と作業指示をしていた。作業をしていた人たちはみな60歳を超えていたが、スルスルと40mの鉄塔の天辺まで昇っていった。相当な腕力がなければ上まで昇れない。鉄塔の床面は薄くて幅が7-8㎝ほどの鉄材が格子状に組み立てられてできていた。最上部の床面をつくる鉄材の最後の一本を吊り上げるために中央部の穴のあけられたところまで歩いて近づいたら、撓(しな)った。折れそうなので、元へ戻って腹ばいになって中央部の穴のところまで行き、ウインチにつながっているワイヤーの金具を穴に通して、無事に鉄材が1本下ろされた。全部で700本になるという。
 すごいな、60歳を過ぎた職人が10人ほど息を合わせて作業をしていた。78歳の親方は下から声をかけている。
「あわてるな、ゆっくりでいい!」 

 長年やっていて、息があっているから、安全にやれる作業なのだろう。こういう専門職人の仕事を若い人たちが引き継いでいかないといけない。みなさん、専門学校などで電気工学を学んだ人たちだ。

 こうして今パソコンを使っていられるのも、送電線から電気が流れて来るからだ。「ラインマン」や「送電鉄塔の建設・解体専門職人」がいないとわたしたちは電気を使えない。
 すごい仕事だ、わたしにはとてもできそうもない。こういう仕事を担う人たちの給料は平均よりもずっと高くていい。いい仕事は収入でも報われるべきだ。



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tsuguo-kodera

 この記事は投稿直後に読みましたが、少々異論があり、コメントしませんでした。ワクチンの新しい記事があり、読みました。勉強になりました。私は今年も5回目を打つつもりです。どうせ短い命です。帯状疱疹は経験者。対処法はマスターしました。(笑)
 この記事を再度読み、コメントしたくなりました。済みません。
 送電線も鉄塔も私はあかんと思っています。日本は斜面や山や川があり、鉄塔の設計は難しいのが常識。機械構造設計と地面の耐久性が最大の課題。スパコンでも倒壊を予測できません。
 量子コンピュータは確率論です。倒壊確率は計算できても、有限要素法、地面モデリング計算法、要素設計など専門知識が必要です。台風や地震で地盤が緩み、倒れる鉄塔が増えざるを得ません。熟練の機械設計の専門家が必要ですが、皆さんもう退職しました。
 アホが立てる鉄塔に潰されないようにしましょう。風力発電も太陽光発電も結局必要なのは熟練の機械屋です。機械屋を不要にするまで量子コンピュータが進化するか、私には笑える面白い話です。
by tsuguo-kodera (2023-04-17 13:57) 

ebisu

koderaさん

投稿ありがとうございます。

37年ほど前だったかな、東京で大雪が降ったことがありました。ちょうど箱根の温泉へ子どもと女房を連れて行った日のことでした。夜から冬が降り始めました。
電線はぼた雪が凍り付いて太くなっていました。それが風で煽られて小田急線沿線のあちこちで寸断してました。送電用の鉄塔も倒れてました。案外やわだなと思いました。小田急線の駅を降りたら、夕暮れ時で、ブラックアウトでした。20~30cmほど積もった雪道を歩くのは北海道生まれのわたしには愉しいことでした。道路にはほとんど車が走っていません。除雪するブルトーザーがありません。

テレビ番組を見て思ったのは、解体専門業者の職人たちのチームが全員60歳以上だったことでした。この人たちが引退したら、若い人たちが仕事を引き継げるのだろうかという疑問がわきました。技術が途切れる懸念を抱かざるを得ません。

帝人と治験合弁会社をつくったときに、帝人側の定年を過ぎた人が、「帝人にはもう国内に工場をつくれる人がいなくなった」と言ってました。海外工場はつくっていたのですが、国内でずっと工場をつくってこなかったので、技術の継承ができなかったと言ってました。仕事がないと職人は育たない。

熟練の機械設計屋さんも手薄なのですか。
えらいことです。
日本の社会を支えるインフラは維持できるのでしょうか?
長い目で見て技術屋を育てておかないと、とんでもないことになりそうですね。

首都圏で震災が起きたあと、送電線が切れたり、鉄塔が倒壊したりしたら、それらを元に戻すのにどれほどの時間がかかるのでしょう。
作業が困難を極めることは予想がつきますが、どこから人を集めてどのような体制で仕事してもらうのかを検討するだけでも大仕事です。水道はもとより下水のストップが一番困るかもしれませんね。
交通網がストップし、食料や飲料水すら確保が難しい中での復旧作業です。すでに技術の継承ができなくなった分野もあります。何ができて、何ができないのか、そしてどれくらいの時間がかかるのか、必要な人材はどうやって全国から確保するのか、だれがやってもたいへんな仕事です。

手遅れの分野が、これ以上広がらぬように祈るばかりです。
by ebisu (2023-04-17 20:34) 

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