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#4936 首都直下型地震関連死者数はどれほどになるのか? Mar. 5, 2023 [12. 自然災害への備え]

  前回弊ブログ#4935で人口縮小が強力な災害対策になりうることを論じたので、今回は社会的弱者へどのくらい影響するのか、具体的に試算してみようと思います。

 首都圏(1都6県)には4299万人が住んでいます。総人口の34.3%です。仮にこのうち老人が25%だとすると、1074万人です。このうちの30人に一人が震災関連死すると35.8万人になります
 特別養護老人施設や療養型病床、精神科へ入院している老人たちを考えると、水と電気の確保がなければ、次々に亡くなるでしょう。お風呂に入れることができず、おむつ交換すらできない状態が数か月間続いたら、現場は地獄です。看護師さんもヘルパーさんも逃げ出したくなります。震災直後の3か月間は、看護師さんやヘルパーさんたちも被災しており、交通も遮断されているので、半数も集められないでしょう。3か月そういう状態が続いたら、収容している人たちの何割かが死ぬでしょう。
 300ベッドの療養型病床の病院を想定してみます。ふだんでも毎月5-10人がなくなりますが、看護師やヘルパーさんの半数が震災で通勤不能になると仮定すると、寝たきりの患者に30分ごとに寝返りを打たせるなんてことができませんから、褥瘡を抱える患者が激増します。水もないから見る間に悪化していき皮膚が崩れ骨が見えるようになります。褥瘡から感染症を引き起こして苦しみながら1か月しないうちに亡くなるでしょう。患者の2割は3か月以内のなくなる可能性が高い。家族は遺体を引き取りたくても手配ができないし、火葬場へ運べません。夏場だったらたいへんです。すぐに遺体は腐り始めます。医療廃棄物の収集車も回ってこれません。
 入院していない老人も避難所やテント、車の中で暮らすなどして、水分補給や食事が十分には摂れませんので、弱い人から衰弱して死んでいくのはどうしようもありません。

 弱者は老人だけではありません。妊婦は出産予定の病院が稼働していない可能性が大きい。否応なしにリスクの高い出産になります。混乱が半年も続いたら、震災翌年は出生者数が激減するでしょう。
 赤ん坊はミルクの確保がたいへんです。赤ん坊とお母さんたちが困らぬように備蓄が必要です。紙おむつもたくさん必要になります。
  老人用の紙おむつは、半年間でどれぐらいの量が必要なのか、特別養護老人ホーム、療養型病床群の病院、精神科で老人看護をしている病院,グループホームなど施設ごとに必要量を積み上げ計算しておきます。
 備蓄コストをたっぷりかけないといけませんね。備蓄の保管場所の選定もして、倉庫をつくって保管を始めなきゃいけません。そうした拠点の一つに別海町の牧場跡地を利用したらいい。平均で200町歩の規模ですから、倉庫を建てていくらでも保管できます。東北や九州にも必要です。できれば関東周辺にも。

<自立して運転できる井戸水のくみ上げシステム>
 太陽電池のような自立型の電源確保とそれとつながった井戸水のポンプの設置が明暗を分けます。百メートルの升目に一つくらいはあったほうがいい。
 用意があれば地震関連死者数を1/10以下に減らせるかもしれませんね。飲み水だけでなく、食器や食材を洗う水、身体を清拭する水、トイレの水なども衛生上不可欠です。
 下水処理がストップするので、どれくらいで回復できるのか、また備えができるのか、具体的なシミュレーションが必要です。わかっていないことが多いからです。
 下水処理場の電源も太陽電池や風力発電設備を用意しておきたい。上水道のパイプの断裂や下水溝の断裂も起きるでしょう。専門の技術をもった要員はどれくらいいて、普及にどれほどの日数がかかるのか、被害の程度を3段階ぐらいに想定して、計算してみてもらいたい。
 スマホへの給電設備も井戸の周囲に設置してもらいたい。
 
<百万人を3~6か月間避難させる準備>
 全壊と全焼する家屋が61万棟と試算されていますから家を失う被災者は百万人を軽く超えます。首都圏直下型地震は人口が密集しているので家屋の被害は甚大です。マンション1棟が全壊したら、数十から百を超える家族が家を失います。
 海上に停泊している船舶から大型ヘリで、3~6か月間避難したい希望者の輸送を行いたい。百万人としたら、大型ヘリは何機いるのだろう?
 1機92人が最大積載量だというが、手荷物もあるので50人くらいで計算してみよう。一日5往復できるとすると、百機で何人運べるだろう。
 50人×5往復×100機=25000人
 40日かかって百万人が運べる。大型ヘリ百機、災害対策用に備蓄・要員の訓練を常時やらせたい。仮設住宅用のコンテナハウスの輸送に10機必要だから、110機の備えが必要だ。
 住宅を失った被災者が百万人全国の各地方の公営住宅や空き家へ3~6か月間避難できれば、被災地の負荷が軽減できる。
 全国の都道府県や市町村の公営住宅にすぐに使えそうな空き家がそれぞれどれくらいあるのか、平時に調査して、リストアップしておかないと非常時に役に立ちません。リストをつくり、外観と内装の写真をつけて整理しておきたいですね。

<輸送用大型ヘリと海上ヘリポートの国内開発の必要性>
 参考までに挙げておきますが、南海トラフ地震では、全壊・全焼家屋は209万4000棟と予測されています。災害対策用輸送大型ヘリコプター100機は最低限の用意であることが理解いただけるのではないでしょうか。武装の必要はないので、日本で開発したらいい。開発後の実際の運用で上がってくる問題を分析して改良ができます。現在自衛隊で運用している大型輸送ヘリはボーイング社の製品で、「武装ヘリ」です。災害大国日本で開発したら、
いいものができそうです。陸上交通が寸断されて使えないのは東北大震災でも明らかですから、ヘリの離発着は海上でやらなければなりませんので、10~20機くらいを積載できる艦船も開発の必要があります。10機積載型なら10隻、20基積載型なら5隻が必要です。

<輸送用ヘリの保有台数>
 令和2年の防衛白書によれば、陸上自衛隊CH-47J/JA(輸送定員55人)が53機、海上自衛隊は輸送用ヘリの機数はゼロ、航空自衛隊はCH-47Jが15機、合計68機しかありません。300機ほど必要ですから必要量の1/4もありません。輸送用ヘリだけでは間に合いません、パイロットの育成が急務であることがわかります。
 災害救助用として100機保有台数を増やし、パイロットを200人増員して訓練してくれたら、安心感が違ってきます。

<火事場泥棒や強姦の横行を防ぐための具体的な段取り>
 東京都の試算では23,000人が地震で亡くなります。ずいぶん少ないなという印象がします。地震関連死者数の推計計算や数値公表はありません。何も対策をしなければその数十倍が1年以内に地震関連死するでしょう。
 阪神淡路大震災での災害関連死は意外に少なく、921人です、盗み、強姦が横行してます。火事場泥棒は撃ち殺したっていいと、当時ビートタケシが発言しています。

<遺体の焼却・川流し>
 焼却場の処理能力をはるかに超える死者は、川や海へ流すか、数百体単位で野焼きするしかなさそうです。そのための燃料確保も必要になります。公衆衛生上、緊急の問題です。準備がなければとても迅速な対応はできません。

<備えがあれば被害は1/10にできる>
 現実的で具体的な備えがあるかないかで、地震後の首都圏のありさまはまったく違ってきます。
 東南海大地震や千島海溝を震源とする四百年に一度の巨大地震は、人口が稠密ではないので首都直下型ほどの深刻な被害は出ないでしょうが、事前にシミュレーションして、対策を考え、準備はしておくべきでしょう。
 備えには、個人でするものと、都道府県や国がやるべきことがあります。

<国会・都道府県議会。市町村議会の役割>
 さて、都議会も国会も大阪府議会も北海道議会もそんな議論はほとんどないようです。議論しなければ災害は来ないと言わぬばかりのありさま。これから50年間にこれら三つの巨大地震と大津波が日本列島を襲う可能性が大きい。しっかりした政治指導者を選んでおかないと、痛い目を見るのは彼らを選ぶ国民自身です。
 総理大臣、都道府県知事、市町村長のやるべきことも少なくありません。

<災害による人口減の加速>
 わたしは2006年7月にスキルス胃癌と巨大胃癌を併発して、胃と胆嚢の全摘、浸潤していた胃周辺のリンパ節切除、浸潤していた横行結腸の一部切除手術をしているので、水分補給や食事が摂れなくなると、すぐに衰弱死します。食べる気もなくなるでしょうから、穏やかに死ねます。地震が起きてすぐだと、遺体の処理に家族が困るでしょうから、ひと月後くらいに衰弱死するのがちょうどよさそうです。
 若い人たちは、しっかり生き延びて、巨大地震後に人口縮小下で平和に暮らしてもらいたい。
 人口半減が案外早く来そうです。人口が半分になれば、大災害があっても影響は半分以下になります。危険な土地は住宅を建てる必要がなくなるので、台風や集中豪雨などの水害にはいまよりずっと強靭になるでしょう。百年のビジョンをもって、さまざまな災害を考慮した街づくりや国造りをしたいものです。



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