SSブログ

#4846 分を時間に換算する:5年生の質問より Oct. 14, 2022  [52-2 生徒の質問]

 昨日10/13の授業で小学5年生から質問がありました。
 いま学校では約分や通分のところをやっていて、時間の換算問題が応用で出てきてました。通分は分母の最小公倍数(GCM)を見つけて、分子分母にGCMをかければいいのです。

 帯分数の引き算の問題があって、挙手をして
「はい!」
「これやり方わからないので説明してください」。
 通分してから、分子が引けないときは、帯分数の整数部分を一つ減らして、分母と同じ数を足せばいいだけ。黒板で説明すると簡単です。
 2(2/7)- 3/5=
  こういう問題でしたね。「2と2/7」あるいは「2+2/7」を書けないので、苦し紛れの表記です。

 28/35の約分の問題でもてこずっていました。28と35の最大公約数(LCM)を見つけて約分すればいいのですが、逆九九までやっていない生徒はなかなか見つけられず、標準的な生徒の3~5倍くらいは時間がかかります。家庭で逆九九の指導を徹底してください。計算は数学の基礎です。
(割り算が遅くて数学が苦手になる生徒が案外多いのです。根室では中学3年生で割り算や分数計算の苦手の生徒が3割以上いると思います。団塊世代でそういう生徒は1割ぐらいなものでした。ソロバン塾がほとんど消滅しかかっていますが、その影響は小さくありません。)

 「先生、何か便利な方法ありませんか?」、声がかかりました。
 「九九で28は何と何を掛けますか?」、「4x7です」
 「では35はどうですか?」、「5x7です」
 (4x7)/(5x7)
 「ほら、分子分母に同じ数字7があるから、7で約分できますね。思いつかないときは九九に分解してみるのもいいかもしれませんよ」

 次の質問は15分を時間に換算する問題でした。
 「分を時間になおすには、1時間が60分だから、60で割ればいい⇒15/60=1/4」
 そのあとで、黒板に円を描きました。15分の所に印をつけてもらいます。十字に線を入れると四分円になります。ちょうど15分のところに線が届きます。
「同じ大きさの扇型がいくつある?」
「四つです」
「四つのうちの一つを分数で表してください」
「1/4です」
「さっき、15/60とやりましたね、約分した数字を見てください」
「あ、1/4、同じだ」
「気がついたね、そういうことなのです」
「何だか分かったような気がする」

「いつも言ってますが、「わかった」だけではダメですよ、そこからなんどもやって「できる」にしましょう」
 うちで何度も練習してください、これをやらないと元の木阿弥になります。
 塾へ来ても効果のない生徒の半数が、説明を聞いて「わかった」生徒です。家で何度かやってみないと身につくことはありませんよ。お金払って塾に来る意味がありません。いったんやめて、勉強しなくっちゃいけないと思ったときにまた来たらいいのです。

 次に10分をやってみます。同じように円を描きます。10分刻みで円の周りに点をつけます。
「何個の点がつきましたか?」
「6個です」
「じゃあ、10分は1/6時間だね」
「あ、そうか」

 32分は時間に換算するとどうなりますか?
「32,64,96」
 32の倍数は60にならないでしょう。こういう場合は60を分母にして考えましょう。
 32/60=16/30=8/15

 秒を分に換算するときも同じですよ、分母が60です。なぜかな?
「1分は60秒だから」
「いいね」
 秒を時間に換算するときは、分母は「60x60」にすればいい。秒を分にするのに分母を60にして、さらに分を時間に換算するのに分母を60にするからそうなります。
 時間を分に換算するのは簡単ですね、60を掛けたらいいだけ。

 この小5の生徒は今年の正月から来た生徒です。落ち着きがすこしありませんで、しばらくは1時間半の授業は無理でした。集中力が続かないのです。無理させずに、斉藤孝著『声に出して読みたい日本語』の早口言葉で遊ばせたり、ルビ付きの本の中から選ばせて読ませたり、してました。数か月たつ頃、90分集中して算数の勉強していることが多くなりました。カラーのB4サイズの問題プリントを学校でやらせていますが、はじめて150点満点だったときにうれしそうな顔して「満点でした!」ってテスト用紙を見せてくれました。文章題もしっかりあってましたね。一度、満点が取れると自信がわきます。それが表情にも出るし、面白くなって勉強に興味がわいてました。だから90分集中力が続くようになったのでしょう。
 
 K君の授業はこれで終わりでした。終わってからお母さんと、一緒にご挨拶してくれました。愉しかったのだそうです。勉強するのはほんとうは愉しいことなのです。わからないと点数も取れないし愉しくなくなります。わたしたち塾の先生ができることは、わかっていないところを見つけ、そこにパッチ(つぎはぎの布)を充てて、補修してあげること、そして生徒の質問を材料に勉強の仕方や考え方を伝えることです。
 全員がうまくいくというわけにはいきません、こちらの技量の問題や生徒との相性の問題がありますので。だから、タイプの異なる私塾がいくつか必要なのです。

 お兄ちゃんが一緒に来てましたが、予習していくと学校の授業がよくわかると、予習するようになったそうです。来年は中学生ですから、間に合ってよかった。中学生で数学や英語を予習している生徒は20%はいないようです。成績上位10%に入りたかったら、予習は必ずやりましょう。

 根室の上位10%は高校生になったときに、ベネッセの進研模試で全国偏差値50以上。つまり全国の公立高校普通科の平均的な学力をクリアしているというだけのことです。根室の中学校は釧路・根室管内18校の学力テストデータでは最下位です。この20年間で、根室の子どもたちの学力が市街化地域の中学校では最下位まで低下したということ。
 教育関係者(根室市教委、学校の校長、そして先生たち、PTA)はその原因をしっかり分析して、手を打たないといけませんね、それがあなたたちの仕事ですから。
 根室の子どもたちの学力が、釧路根室管内で最低ということは、根室の未来を担う人材がいなくなるということですよ。現在もだいぶ怪しい。むしろ大人の劣化が、家庭の躾(しつけ)を含めて、子どもたちへ影響しているとみるべきかもしれません。子どもたちが勝手に劣化するわけはなさそうですから、根室の子どもたちの学力低下は、子どもに関わっている大人の方に問題があると思わなくてはいけないようです。厳しいことを言ってすみません。
 根室の経済諸団体、大丈夫ですか。20年後には半数くらいの地元企業が人材を確保できずに消滅する可能性が出てきたということですよ。

 高校生は予習して行かないと、標準的な難易度の教科書で標準的な速度の授業についていけません。根室高校の普通科の2/3の生徒がすでに「普通の難易度の、普通の速度の授業」にはついていけてません。数Ⅱですら選択科目になってしまいました。根室西高校と統合前の根室高校では考えられないことです。数Ⅱと数B両方が必修科目の時もありました。入学してくる生徒(2/3)の学力レベルが著しく低下したということです。20年前の根室高校普通科の学力レベルを維持しているのは、「特設コース」の40人中、30人ほどにすぎません。保護者のみなさんも

根室の子どもたちの学力低下に危機感をもってください。根室の中だけ見ていたのでは、こんなに激しい学力低下に気がつけません。釧路や別海や中標津などの中学校と学力テストの平均点を比べたら、学力低下の状況がよくわかります。中標津町の中学校は根室の中学校の後を追っています。別海中央中学校が根室とは比較にならぬほど平均点が高い。教育長や学校長が学力向上に関心が高いのです。

 できれば小学校高学年になったら、予習方式で勉強するように切り替えてください。そうすれば高校卒業まで大丈夫です。
 
 5年生の生徒、
「僕、もっと早く大人になってこの塾へ来たかった」、そう言ってくれました。塾がなくなる前に小学生・中学生・高校生になって、塾で勉強したかったということなのでしょう。どうもありがとう。
 この生徒二人は10か月のお付き合いでしたが、何かを伝えられたとしたら、うれしい。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。