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#4786 放課後講習と夏休み利用しての周回遅れの克服 July 22, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

 根室市内の中学校は今日7/22が終業式である。根室高校の終業式は7/25(月)だ。根室高校では放課後「講習」をやっている。1年生の英語の「講習」には6月実施のベネッセ模試の長文問題をテキストに使っていた。
 生徒がそのプリントをもってきて、自分で和訳し、わからない箇所を質問するので、答えながら大事なポイントをピックアップして解説したら、もう出る必要がないという。講習では数行やって終わりで、「授業速度が遅くてかったるい」というのが彼女たちの意見。
 無理ないと思う。根室西高校と統合してから普通科120人のうち80人ほどは以前の根室西高校の生徒の学力だから、北大を受験しようかなと思う数人の生徒たちにとっては、「かったるい」授業にならざるを得ない。学力別に二つに分けるべきだが、そうすると先生の数が2倍必要になる。部活指導もあるし無理なんだろうと思う。

 根室高校は国公立大学進学を増やす方向に方針転換をしたのだが、北大進学を考えている生徒たちの学力に応じた「講習」体制はとれていない。言っていることとやっていることがちぐはぐ。
 先生が足りなくて、学力別編成が採れないなら、国公立大進学者数を増やすためには、低学力層向けの「講習」を切り捨て、高学力層の生徒達への講習を強化するしかない。ビジネス用語でいうと「選択と集中」である。当たり前のことを当たり前にやる、それがマネジメントだ。学校管理職の仕事ということ。

 人情として低学力層を切り捨て、高学力層に資源を集中するなんてことはやれないのだろう。そんなことをしたら、たちまち学校は荒れることになる。偏差値45の高校が国公立大進学者を増やすというのは、先生たちが大変な苦労を背負いこむ覚悟が必要なのだなあと、夏休みを目前にして思う。

 明日は土曜日でニムオロ塾は休みだが、北大進学を考えている3人の高1の生徒へ英語の音読特訓補習をする予定だ。昨年高2の生徒たちが使っていた『VIVID2』の第6章、Part 3と4を、やれたら第7章のPart 1をやることになる。2時間ぶっ通しの授業。これが彼女たちに最適な授業速度です。
①私が音読しながらスラッシュを入れる箇所を指定する。
②一つの段落を3回音読
③冒頭へ戻り一つずつ3回読んで、スラッシュごとに和訳(大和言葉落とし)
④意味をイメージしながら英文を3回読み。
⑤段落が終わればそれを2回音読。
⑥ページ全体の音読を1~2回

 随時、生徒の質問には答えています。いつ質問してもいい。「啐啄同時」とか「石火の機」というでしょ、対面授業でしかできませんから、そういうことを大切にしたい。今日もいい質問が二つ出ました。質問で、生徒の腕が上がってきているのがわかります。わたしの方からも質問はよくします。
 7/23の音読特訓補習授業では、「このnot~anyをnot~someと書き換えられますか?書き換えたら、ニュアンスはどう違ってきますか?」、なんて質問をしてます。
 When they(=tourists) land on the islands, they are asked to clean their shoes in order not to bring in any new species.  ...p.80
(landは動詞、飛行機なら「着陸」、船なら「上陸」です。この文章からはどちらにも解釈できます、決め手はありません。わたしはNHK4のBS番組で船で上陸する観光客を見たことがあります。)

 生徒の最初の反応は、「えっ!」、絶句しました。この反応が「石火の機」です。質問された瞬間に飛び出したのがこの台詞、そんな質問はまるで予想してなかったのです。こんなことを繰り返すうちに、気の利いた生徒達は、先生が今度は何を訊いてくるか文章を読むたびに考えるようになります。こういうことを漫然と聞き流すようでは見込みがないのです。

 生徒と一緒に合計12~13回読むので体力が必要です、授業が終わるとお腹が空いてます。(笑)
 生徒たちは若くて元気がいいので3時ぶっ通しでもやれそうです。2時間はあっという間です。
 水曜日も休みなので、普通の学力の生徒たちのために英語の音読特訓補習をしていたが、部活の方が大事なようでサッパリ来ないので、これも高学力の生徒たちの音読特訓授業に来週から切り換えようと思う。ほとんどの生徒にとって部活は小石だと思います。その道でプロになろうと考えている生徒は別ですよ、相当頭使ってトレーニングしないと一流のプロにはなれませんから。たかが地区大会で優勝したいぐらいなら、趣味の領域です。勉強スポイルして、毎日ブカツにいそしむなんて、愚の骨頂。文武両道でやりなさい、部活は週に3回で十分です。メニュー工夫すれば効果はまるで違ってきます。頭を使わないから、効果の小さいメニューが更新されない。
 高2の教科書を消化したら、次は高3の教科書にチャレンジしてもらう。5-8名ほどの生徒たちは、1年かからずに、高校3年分の教科書をこなせる潜在能力がある。大人が関わって引き出してあげたらいい。
 数学も同じことです。ふだんの授業は「速度遅すぎ&難易度低すぎ」で、難関国立大学受験の生徒たちの足を引っ張ってます。ひとり、共通テストレベルの問題を動画で解説している先生がいらっしゃいます。以前はこのレベルの問題を普段の授業で採り上げることはできませんでした。工夫している先生もいらっしゃる。ありがたいですね。
 進路指導室と学校長は国公立大合格者を増やすと根室高校の方針を北海道新聞の取材に答えて公言したのですから、しっかりマネジメントしてください。

 現在の1年生には北大に現役合格できそうな生徒が4~5人います。根室高校が有効な対策を組めたら、全員合格するかもしれません。しっかりした支援体制が取れなければ、一人も現役合格できないということもありえます。
 中高一貫校の生徒たちは高校1年で数Ⅱをやっています。国数英は1年前倒しの授業なのです。そういうシステムで学力を強化している生徒たちと、北大受験で競うことになります。すでに周回遅れ(1年遅れ)で後を追いかけている状況なのです。めげるな根室高校生。太陽はこの極東の町から昇ります。(笑)

 周回遅れなんだから、夏休みは1日10時間勉強したらいかが?それが夏休み25日の内の20日間やれたら、将来、たいがいの国家試験は合格できます。高校時代に1日10時間の勉強を体験しておくことはとっても大切です。

 高校1年生の英語の教科書に、ガラス瓶に大きな石、小石、砂と順に入れていくたとえ話が載っています。砂から入れたら、大きな石はガラス瓶に入りません。1日10時間の勉強を20日間確保するのはあなたたちの人生にとって大きな石ですよ。それをガラス瓶に最優先で投入してください。
*高校1年英語教科書『FLEX①』”Lesson 2 : The jar of life"


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コメント 3

10数年前の卒業生

だいぶ前にコメントさせてもらったものです。

正直なところ67%が西校の学力だと、先生たちも学生もかなり苦労するでしょうね…(バカにしてるわけでは決してないです。)統合前でも数3は数研出版?だかの教科書基本だったくらいなので、1番上のクラスでも大して難しくありませんでした。それがさらにぬるくなってしまってるという感じですかね…

当時は塾行かなくても中堅国立行ける人は普通に居ました。模試で上位順位表に載る人も普通にいたり。点数見せあって、友達同士で切磋琢磨したりもしてました。今はそうではないのでしょう。その状況で国立大合格者増やすというのは更なる対策などが必要でしょうね。

根室高校、頑張ってほしいですね。学生さんも応援しています。
by 10数年前の卒業生 (2022-07-23 21:16) 

ebisu

10数年前の卒業生さん

学力差がこんなに拡大してしまっては、国公立大進学者数を増やすのはさぞ大変だろうと思います。
国公立大と言っても、今年の進学実績は、18人中12名は、公立函館大3,釧路公立大3、千歳科学技術大1、室蘭工大4,名寄市立大1。偏差値50前後の国公立大が大半です。
北大総合理系は1人、もう一人は過年度生ですね。

中学生の学力テストを見ると、この20年間で高学力層が枯渇化現象を起こしています。この点からも学力差が拡大しているだけでなく、高学力層が激減していることが見て取れます。ふだんの定期テスト問題の難易度が低下しているのは、中高に共通しています。

でも、一部の先生ががんばっています。高校では共通テストレベルの問題の解説動画を自分で作成して生徒に提供している人がいます。いままで授業では扱えなかった難易度の問題です。ふるさと納税利用で、根室高校生にはHP社製の比較的高性能なパソコンが配布されています。どんどん利用してもらいたい。

古里の後輩たちの学力の現状に関心を寄せてくれてありがとう。
by ebisu (2022-07-23 23:04) 

ebisu

トップクラスはもう釧路湖陵には進学しなくなりました。
2年前は札幌光星高校ステラコース、今年は札幌北高校と札幌光星高校マリスコースへそれぞれ一人が進学しています。
根室高校からでは難関大学への進学は無理だと判断する親が増えているのでしょうね。
たしかに、進学校は授業の難易度が高く、速度も大きいですから、受験には圧倒的に有利です。
でも、根室からでも戦えます。
旭川医大へ道北・道東推薦枠で現役トップ合格した生徒が1昨年いました。いつまでに、何を、どのように勉強したのかは弊ブログに記録を残してありますから、真似をしたらいい。
2次試験の小論文で300点満点で295点とっています。
理系が得意な生徒だったので、国語がネックになると考えて、小6から17冊の本を選んで、日本語音読トレーニングをしました。国語の受験問題は塾ではやっていません。音読トレーニングのみです。トップレベルの大学のゼミ並みの議論は高校生になってからやれるようになりました。
なにしろ生徒の出来がよかった、そしてやる気が持続しました。(笑)
by ebisu (2022-07-24 00:02) 

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