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#4439 英語音読特訓:発音記号と発音トレーニング Dec. 23, 2020 [49.3 高校英語教科書を読む]

<更新情報:12/24朝8時40分> ハリーポッターと又吉直樹『火花』を題材に、アスペルガー君と雑談を<余談>に追記

 水曜日はニムオロ塾は休みの日だが、今年は奇数月は高2、偶数月は高1の英語音読特訓授業をやっている。ルールは2名以上の参加希望があること。1対1ではやらない。やってもらいたければ誰かを誘ってきたらいいということ。今日は2名が参加。「VividⅠ」のLesson 8 'The Shinx in Danger' と Lesson 9 'A bridge between Japan and the U.S'の2ページ分のみ。
 5回音読して、文型を伝え、チャンクごとに和訳させていく。意味が分かったところで、大きく口を動かしながら一緒に5回高速音読する。読みにくい文は10回音読する。速度は回を増すごとに速くなる。息継ぎの部分でチャンクの切れ目が生徒に伝わる。必死についてくるのがビンビン伝わってくるから楽しい。

 進出単語は発音記号を見ながら記号と音をつなげていく。
 やっかいなことに英語の「あ」の音は5つある。[æ] [ɑ] [ə] [ʌ] [a]

 dam /dæm/  fascinate /ˈfæs.ɪ.neɪt/  graduate /ˈgrædʒ.u.ət/  
 crop /krɑːp/  box /bɒks/ /bɑːks/ 
 alarm /əˈlɑːm/   
   around /əˈraʊnd/ 
 drum /drʌm/ 

*https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/cdn.progrit-media.jp/production/imgs/images/000/003/753/original.png?1554107866

 単語単位で「あ」音を発音し分けたあとで、文章を読むときに「あ」音に注意して一緒に読む。最初はゆっくり、だんだん速くする。 
 前回は[p]と[b]の比較発音トレーニング、同じく[f]と[v]、[p]と[b]、[t]t[d]をやったので、今回はthの発音(濁音と清音)のトレーニング。
 clothing /ˈkləʊ.ðɪŋ/  
   although  ːlˈðoʊ ⇔also  /ˈɑːl.soʊ/ 
 thank /θæŋk/  think /θɪŋk  thought  /θɑːt/  
 [θ]の音を3秒間持続、そのままの下の位置で濁音 [ð]を3秒間維持。交互に何度も練習、それから単語、次いで文章中でこの二つの音に意識を集中して一緒に音読する。


 文が長い時や構文が複雑なときは簡単な文に書き直して例示する。節⇒単語に置き換え、句⇒単語に置き換え。
 こういうことをやりながら、ひたすら音読、チャンク単位で頭から読解、意味をイメージしてさらに5回音読。
 
 こうしてやれば、中学生の3年間、不幸にしてカタカナ発音の先生に習っても、なんとかなります。自閉スペクトラム症傾向のある生徒が「おもしれ―」って喜んでました。英語初めて赤点取ったのでようやく音読トレーニングの参加する気になった、気まぐれなんだから。(笑)
 「俺、英語の先生に、「発音記号教えないの?」と訊いたら目をまん丸くしてた。そして「中学校で習わなかったの?」って驚いてた」
 ついこの間の後期中間テストで英語が赤点だった生徒にそんなこと言われて、面食らっただろう。
 「それで教えてくれるって言った?」
 「返事なかった」、そう云って、にやり。
 こういうやり取りのときは表情が楽しそうにころころ変わる。

 根室では中学校でも高校でも発音記号の読み方は教えていない。教えてあげたら、こんなに喜んでやるのに。
 音読は体力が必要です。高速音読になるとほとんどスポーツのノリでやれます。
 「一息5回読もう」

 Even in junior high school, Taylor went on studing Japanese by herself.

 これくらいの文なら一息5回は軽いものだ。二人とも楽勝に一気読み。これができると文章が脳内に音として残っているから、その音を頼りにディクテーションできる。
 「一気書き3回やってみよう!」
 高速音読は全力疾走に似ている。いつの間にか全力で英語を読んでいるから面白い。英語赤点とったのに、次回は一気に90点目指して駆け上がれ!アスペルガー君は気まぐれ、さてどうなるか。3回を3セット、例えば帰宅時にfirst、食後にsecond、風呂上がりにthird、これで9回だ。1か月間で90回読むことになる。その日やれなかったときは翌日朝やればいい。①眼で見て記憶する、②口を大きく動かして音読することで口が覚える、③そして音は耳から入ってくる。④脳内で音読している声が響くようになるし、スペルも脳内に書くようにして思い出せる。そうなるころには文章丸ごと自然に覚えてしまっている。

 テイラーは小学生のころに日本語の勉強を始めたと前の段落に書いてあるので、even in junior high schoolは「中学生になってからもなお」ということ。テイラーちゃんは小学生の時に日本語を習い始め中学校になってもなお興味を失わず、日本語の勉強を独力でし続けたってこと。
 「先生!独学ってことだよね」
 「そうだよ、訳は自分が会話で使っている語彙でいいんだ。たまに気取っていいよ、本で読み覚えた語彙使ってみてね」
  
 楽しい水曜日英語と音読特訓授業だった。ノンストップで2時間。あれ、10月のときは「先生、途中で10分休み入れてください!」、なんて声が女生徒の方からかかっていたのに、今日はノンストップ2時間へっちゃらだった、「先生、お腹すいちゃった」だってさ。「わたしも一緒だ、音読授業はお腹がすく(笑)」
 音読トレーニングは脳と身体を同時に使うスポーツだから、お腹がすきます。集中できた証拠ですよ。
 
 英語が苦手になった生徒は手間暇かけてやれば、たいがいなんとかなります。3年間でついてしまったカタカナ発音の癖をとるのはなかなかやっかいですから、中にはトレーニングを嫌がって何ともならない生徒がたまにはいます。それはしかたがありません。「鳴くまで待とう時鳥」ということになります。

<アスペルガー君:「ユーチューバーになりたい!」>
 最近何かつまんないらしく、学校やめて引きこもりたいなんて言い出した。うまくいかないことがあったのだろう。何かは推察がつく。それで、雑談に誘ってみる。
 「ハリーポッター知っているかい?」
 「先生知らない高校生いないよ(笑)」
 「何冊ぐらい売れたと思う?」
 「...」
 「じゃあヒントだ、又吉の『花火』は空前の大ヒットで、累計販売冊数は209万部、単価は1200円だ」
 「ハリーポッターは180か国64言語で7巻5億冊売れている」
 500/2.09=239倍
 一冊につき、500円の印税収入だとすると、
 ハリーポッターは500,000,000×500円=25×10^10=2500億円
 又吉直樹の『火花』は2,090,000×240=5億円

 「どう、英語で本書いた方が儲かるっしょ?」
 「ええ、そんなに違うの?」
 「違うんだ」
 英語圏の人口は15億人、英語を公用語や準公用語にしている国は21億人もある。合計で36億人だから、日本語の人口の29倍だ。市場規模が29倍ということ。
 「ユーチューブの配信、バイリンガルでやったら面白いことになるかもね」
 「収入30倍ってこと?」
 「うーん、英語の勉強しようかな、会話できればいいや」
 「それじゃあ、話の奥行きが出ないから、英語の本もたくさん読まなきゃ、そこからネタ探ししてポンポンだしたら飽きられない」
 「日本の古典からの引用を英語でやったら面白いものになる、たとえば徒然草から」
 「花は盛りに、月は隈なきをのみ(※1)見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ垂れ籠めて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。咲き(※2)ぬべきほどの梢、散りしをれたる庭など(※3)こそ見どころ多けれ。」なんて英訳ですらすらやれたら楽しいね。
 『枕草子』や『伊勢物語』を題材にした、いい男とは、いい女とはなんてテーマも面白いが、君の性格には向いていない。ナンパなんてめんどくさくてする気もないだろ。(笑)
 
 「お金いただくんだから、努力は必要ではないの?」
 「そうか、会話と本を読めってことか...」
 「今日、家に着いたら、やったとこ3回読んでみて」

 わたしは花火師、花火を仕掛けるだけ。炸裂するのはアスペルガー君自身、自分のポテンシャルをどこまで引き出せるかだ。さて、どうなるかお楽しみ。この生徒いつの日にか化けるかな?


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