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#4399 ファイザー社のワクチンは実用上は欠陥商品か? Nov. 14, 2020 [8. 時事評論]

 ファイザー社のワクチン1.2億回分の購入契約を日本政府が取り交わしている。
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日本政府は20年7月、21年6月末までに1億2000万回分のワクチンの供給を受けることで米ファイザー社と基本合意している。

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 -80度で保管しなければならないワクチンなんて世界初だろう。
 保管の要求仕様が₋80度だから、その条件を満たす冷凍庫で保管しなければならないが、保管体制が整っていない。
 1980年代終わりにわたしは日本最大の臨床検査センターのSRL八王子ラボで検査機器を中心とした固定資産の購入業務を一人で担当していた。その当時、2年半ほどで十数台マイナス80度の仕様の冷凍庫を買った。一番温度が低いのは研究部から購入協議書が出された日立製のマイナス150度・横型の冷凍庫だった。₋80度は全部縦型を購入した。出し入れがしやすいからだ。蛋白質の変性がほとんど停止できるのが-65度付近だ。新型コロナワクチンはそういうワクチンなのだろう。
 投資固定資産管理システムで「-80度冷凍庫」の固定資産分類コードで検索すれば、どの部署に何台冷凍庫があるかわかるようになっている。おそらく50台以上あるだろう。臨床治験に関わる部門だけで、検体保管用に20台はあるはず。患者さんは亡くなってもあの冷凍庫の中で細胞は生きています。夜、残業をせざるを得ないときに、たまに「出るんです」よ。人の気配がしたり、物音がしたり...、お祓いを頼みましたが、霊感の強いお坊さんが「うわー!」と言って、無理でした。臨床治験検査データ管理会社の経営を任されていた時に一度だけ夜、八王子ラボの中の一室、ずらりと-80度の冷凍庫が並んだ部屋での検体のハンドリング仕事につき合いました、たしかに背中がざわつきましたから、それから一人では残業させないようにしました。数人でやれば仕事も早く終わります、感度のいい人は感じてしまいますから。わたしは鈍い方です、ぜんぜん平気な人もいました。

 ファイザー側のワクチン生産が軌道に乗れば、基本契約に従って、ワクチンが日本へ輸出される。保管設備の整備が整わなければ、大半が廃棄されることになる。ワクチン購入契約にタッチした官僚がとても気が利いていて、マイナス80度の冷凍庫の整備手配をしたとは思えない。まったく別の組織と人が担当するのだろうが、民間企業や病院が関係しているから、そういう調整経験のある官僚がいるとも思えない。
 菅総理も加藤官房長官も西村担当大臣も、そして首相官邸も仕事の内容がまるで分っていない、人事権を掌握し、恫喝すれば仕事が回ると勘違いしている。総理大臣が人事権を振り回すバカだと類は友を呼ぶ。仕事のできる者は恣意的に人事権を振り回して人を動かすようなことはしない、そんなことをしたら仕事がうまくいくはずがないことを知っているからだ。

 たった1万人の臨床試験が終われば、来年6月までに1.2億人分のワクチンがファイザー社から送られてくる。いまさら、国内メーカー数社に-80度仕様の冷凍庫の増産要請を出しても、間に合わないだろう。
 実務はさらに複雑である。保管施設をどこに設置し、配送と接種をどのようなタイミングで、どのような実務デザインでやるのかすら、まだ手がついていないだろう。この環には冷凍庫製造メーカー、ワクチンの物流を担当する民間企業やさまざまな経営形態の病院やクリニック、そしてワクチン接種を受けたいと思う国民が連なっているから、実務デザインの難易度と実務調整の難易度がとても高い。しかし、それらをクリアしないと、現場は大混乱、そしてワクチンの大半が捨てられることになる。

 ワクチン廃棄については2010年に214億円のインフルエンザワクチンの前科がある。当時は厚生省が国内メーカーに買い取らせて処理したようだが、グローバル企業相手にそんなことはできない、基本契約でしっかり縛られているだろうよ。
*新型インフルのワクチン、期限切れで廃棄 214億円相当
 20代後半に産業用エレクトロニクス輸入専門商社の管理部に籍を置いて、システム開発や経営分析、経営企画の傍ら、欧米50社の契約書管理を1年間やっていたことがある。せっかくの機会だから逐一見させてもらった。こんな機密書類を見る機会はその時しかないと感じたので。契約書はぶ厚く、何かあったときに備えて詳細に取り決め事項が並んでいる。国内の契約書とはまるでレベルが違う。おなじ「契約書」という言葉では呼びたくないくらい違う。(笑)

 国内に-80度の冷凍庫を整備して、実務デザインをして、関連企業の調整をしなければ、ワクチンの大半は使用できずに廃棄処分となる。それを指して「ファイザー社のワクチンは実用上の欠陥商品か?」と云った。真の欠陥は首相官邸や担当大臣の実務デザイン力、関連民間企業の協力調整能力のなさ、人事権を振り回せばそれでことが解決するという、愚かな思考様式にある
 要するに思考様式の合う者同士がツルみ、そうではないものは離れるということ。仕事のできる者がいるとしたら、同じ類ではないから菅内閣から距離を置くようになるのだろう。そうしてみると、答弁にならぬはぐらかしの名人加藤官房長官の「ご飯論法」がさえわたっているのが気になる。答弁はぐらかしが仕事だと勘違いしている。ご飯論法に知恵を絞ったら、肝心のやるべき仕事に智慧が回らなくなるのはあたりまえ。
 いま大事な役割を負っているから、たくさんの肩書をもつ西村康稔氏(経済再生担当大臣、全世代型社会保障改革担当大臣、新型コロナ対策担当大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策))も新総理の友のようだ。肝心要の仕事の方は大丈夫か。渾身の力で仕事に集中したときに所期の成果が出せるもの。類が友を呼んでしまったので、新内閣と首相官邸はクズが多い。困難な仕事をこなせるまともな人材が他にいないのか?


<SARS-CoV-2PCR検査保険点数:高すぎ、下げよ>
 保険点数は1350点だから、PCR検査1回に13500円かかる。税金もしくは社会保険の負担になる。国立感染所センターや都道府県の衛生研究所のコストをベースにした点数だと思う。民間検査センターはこの種のPCR検査は550点である。そこまで下げたらいい。税金の負担も社会保険の負担も激減する。
 杜撰な精度管理基準でにわかにPCR検査を始めたクリニックや検査センターがニョキニョキでている。濡れ手に粟で法外に儲かるからだ。保険点数を550点にすれば、そういう不健全な状態は雲散霧消する。
  こんな簡単な「調整」すら、10か月が過ぎても、西村担当大臣にも厚生労働大臣もできないのが実態。問題意識にすら登ってきていないのだろう。首相官邸のメンバー(たとえば山中京大教授を脅したコネクトなんちゃらのお二人、そして公安出身の杉田氏)はそれぞれ別のことにご執心で、国民にとって大事な仕事に興味すらなさげ。





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