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#3940 進研模試の結果データ:全国平均値と根室高校平均値比較 Mar. 1,2019 [71.データに基づく教育論議]

 根室高校と根室西高校が卒業式である。根室西高校はこれで閉校になる。根室の教育環境が変わる大きな節目の3月である。

  さて、1月実施の進研模試の結果データで全国平均値と根室高校普通科平均値の比較をしてみたい。たったこれだけのデータでもいろいろなことがわかる。最初に断っておきますが、進研模試は各科目百点満点です。

2019年2月進研模試平均点比較  
  国語 数学 英語 合計
a.全国  43.8 30.8 33.7 108.3
b.根室高校 36.4 20.0 19.6 76.0
a-b 差異 7.4 10.8 14.1 32.3



 平均点の合計で見たら、根室高校は全国平均値の7割の得点である。中学校の全国学力テストには現れていないとんでもない差があるということ。試験問題の難易度が高くなると、学力格差が拡大してしまうというのは、ふだんいかにぬるい授業に終始しているかということ。全国標準からかけ離れたローカルな難易度の授業の結果である。そして自律的・自主的に難易度の高い問題に取り組む生徒がいかに少ないかということも表している。家庭学習の躾の問題も大きい。
 中学校の学力テストで五科目合計点で400点を超える生徒が各校学年に1人しかいなくなっている。最近はゼロの学年すらある。学力上位層が枯渇しかかっているから、全国平均の7割という結果が出てしまっているのだろう。

 全国平均値と一番差の開いている科目は英語である。国語の2倍の開きがある。根室の高校生は英語が苦手と言えるだろう。なぜ苦手なのだろう?根室は英語教育が盛んである。中高生時代に英語が苦手だったお母さんたちが多いということか。その英語教育が英語の学力向上にはちっとも寄与していないことをこのデータは示している。会話中心、お遊びだからだろう。それはそれでいい、どこかで英語の学力をアップするような勉強法に切り換えたらいいのだ、そこがうまくいっていないということ。中学校でも高校でも英語の授業が成果を上げていない証拠である。格差は高校生になってさらに拡大しているのではないだろか。

 根室高校で英語を教えている先生たちはこのデータを見ているはずだが、自分たちの指導のしかたや、学校の指導体制に問題アリとは考えないのだろうか?わたしにはとっても不思議に見えている
 
 次に全国平均との差が大きい科目は数学である。数学は学力別に5クラス編成になっており、試験問題も共通問題が40%、残りの60%は学力別編成によって異なるものが作成されている。ようやく学年末テストでそういう方針が決まったようだ。学力データを無視した高校統合によって無用な混乱がようやくひとつの出口を見つけたように見える。英語よりも数学のほうが全国平均との格差が小さくなっているのは、学力別クラス編成の授業が効果を上げたのだろう。英語だって、根室高校普通科の生徒たちの学力格差は、数学同様に大きいのである。中学校の学力テストデータを見ればよくわかる。
 この学年が3年生だった時の最後の学力テストは昨年2月2日である、C中学校の英語の平均点は60点満点で22.7点、数学は20.3点だった。B中学校は数学が22.9点、英語が24.6点である。別海中央や中標津中学に比べて著しく低かった。C中学校は一番悪い時には16点を切った。最後の模試が一番平均点が高いのは例年のことだ。
 それが根室高校普通科へ進学してから、さらに格差が広がったとみるべきなのだろう。英語がとくに低下している。進研模試の試験問題の難易度は北海道の中学校が実施している学力テストに比べると格段に高い。生徒たちはそうした難易度の高い試験問題になれていないし、学校の授業も難易度の高い問題はほとんど取り上げない。学力が低すぎて取り上げられないというべきか。中学校の学力テスト問題の難易度には大きな問題があるのだが、現場の先生たちから改善の声があがったという話を聞いたことがない。問題の難易度を上げたら、学力の低い生徒たちがますますやる気を失う。学力の底上げをしないと行かないのだが、有効な対策は採られていないので、平均点が下がる一方である。10年後も同じなのだろう。

 学力の低下にあせった高校の先生たちは宿題を出し始めた。宿題ノートの提出まである、まるで小学校。一方で自主的、自律的な学習を推奨しながら、他方で宿題を強要する。学力の高い生徒は、先生たちはいったい生徒をどういう方向にもって行こうとしているのかと不信感を強めている。自分で計画を立て、難易度の高い問題集にチャレンジしている生徒にとっては、レベルの低い宿題の強要は邪魔なだけ。そういう教育をしていたら、親が仕事で根室へ赴任しても子どもの学力が高ければ連れてこない。

 国語が一番全国平均との差が小さい、英語の半分である。だが、全国の中高生の3人に一人が教科書を独力で読んで理解できないほど、日本語能力が低下していることを考えると、根室のこどもたちの日本語の力はじつに憂慮すべき状態にある。
 根室高校普通科には4割程度、教科書を独力で読んで理解できない生徒がいるだろう。教科書を音読させればすぐにわかることだが、そんなことを試す先生は聞いたことがない。読んで理解できないということは予習して来れないということだ。高校の標準的なレベルの教科書は予習してくることを前提につくられている。予習しなければ授業についていけない。先生たちも授業のレベルを下げざるをえなくなる。
 根室西高校と統合したことで、根室高校の教科書ではとても歯が立たない生徒が4割ほどに増えていると思う。わからないから、授業も聞いていない。スポイルされたままになり学校は荒れてくる。若いからどこかにエネルギーをぶつけることになる。

 学力をアップできれば防げる。学力アップには戦略が必要である。たとえば、数学はまあまあ興味があるが英語は大嫌いな生徒がいたとする。わたしは、生徒が嫌いではないほうの数学ばかりやっているのを黙認する。そのうちに学力が上がってくると、「学校の授業がよくわかる」といいだす。そしてテストの点数もかなりあがる。英語も上がらなければ3科目合計での偏差値が上がらない時期が来る。その時がチャンスで、英語の特訓を開始する。生徒がやる気にならなければ特訓は英語嫌いをさらに助長するだけに終わる。だから、じっと時期が来るのを待つのである。
 生徒の学力をどのようにあげていくのか戦略があれば、数年かけて苦手科目を得意科目に変えられる。その場しのぎの対策では苦手科目を得意科目には変えられない。

 さて、根室高校の先生たちは、科目別にみてこんなに全国平均値と差がある現状を変えるために戦略をどのように立案するのか期待している。
 大きな学力格差があるのに一律の宿題なんてナンセンスの極地である。根室の人口を減らす方に大きく寄与することになる。教育が豊かな町づくりの礎である。進研模試の結果データをもう一度見て、学力分布を一瞥すれば、一律の宿題がいかに現実無視かすぐにわかるはず、素直に反省し再考願いたい。

 生徒がもってきた英語の宿題プリントを見た。電力エネルギーがテーマになっており、結構長いものだ。進研模試の偏差値が70以上なら30分、50なら2~3時間かかるだろう。半分の生徒が偏差値40未満だろう。この生徒たちは何時間にらめっこしてもできない。独力では無理で、手とり足取り教えてやらないとアウト。

 塾では別に時間をとって、全文解説しなければならない、それも個別補習である。今週からはじめたよ、数人の生徒が半年後には偏差値が15-20アップするだろう。とっても手間がかかるが、塾は生徒が可愛いからやる、なにがなんでもやる。いまなら、生徒たちは期待に応えてくれるだろう。

<宿題について>
 2月の進研模試で偏差値60以上の生徒はその科目は宿題免除でいいのです。自主的・自律的に難易度の高い問題を解いていないと偏差値60は超えられませんから。
 そして偏差値45以上と以下とで、宿題は2種類用意してもらいたい。それくらいの手間かけてやりましょうよ。自力で勉強できないほど学力の低い生徒がたくさんいますから、対策を何か考えてください。


<FBお友達のコメント> 3/2追記
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受験者層(母集団)の違いじゃないでしょうか。全国学力調査は全生徒が対象。進研模試は進学希望者が対象。
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言えますね、高1の進研模試は全国の公立高校普通科の生徒たちが参加しています。参加人数は45万人です。公立高校でもレベルの低い普通科は参加していません。意味ありませんから。昨日閉校になった根室西高校は一度も実施したことがありません。
公立高校でレベルの低い群が参加していないことにより、平均点が高くなっているでしょう。だからそこからの偏差も大きくなる。Sさんの言う通りのようです。ありがとう。
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 このSさんというのは国内最大の研究機関職員で資格をたくさんお持ちの方です。ジャンルを問わず本をよく読んでいます。好奇心の塊のようなおもしろい人。あ、趣味であちこちの学校で理科の授業をしています。押し売りしなくても、お呼びがかかるほど関西では有名人になりつつあります。根室の中学校や高校でも理科の授業してほしいな。頼めば来るよ。根室市教委でお願いしたら?関西空港からの交通費と1泊の費用だけでOKです。名人芸の授業ですから、先生たちも勉強になります。


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