#3343 英国EU離脱と日経平均急落 June 24, 2016 [8. 時事評論]
昨日の日経平均終値は16,238.35円だったが、英国の国民投票で離脱派が勝利すると、15,000円割れとなり、終値は14,952.02円、前日比1286.33円下がった。明日いくらか戻すだろうが、投資機関は周章狼狽しているのだろう。円相場は100円前後を行きつ戻りつ、102円/ドル、114.60円/€に落ち着いた。€(ユーロ)はこの2ヶ月で11円下がっている。2年前と比べると27円ダウンである。
英国の離脱は2年後らしいが、それまでに入出国や貿易に関する詳細なルールつくりのための交渉がある。新たに生まれるルールがEUの未来を大きく変えることになるだろう。冷静に交渉を見守るべきだ。複数のシナリオで対応策を検討しておいたらよい。
円が高いことは日本の国力が相対的に強いということだから基本的にプラスなのである。しかし、GDPで測った国力は少子高齢化が進み人口減少が長期的に続くから、縮小せざるを得ない。マイナス成長で、一人当たりの生産力を維持できれば良い。いつまでも経済成長を追いかけないで、マイナス成長へ頭を切り替えるべきだ。
今日の日経平均が自公政権成立の3年半前からの推移を眺めたときに異常な相場かどうかを判定してみたい。
日経平均は円高になれば低下し、円安になれば上がるから、安倍総理は異次元のゼロ金利では飽き足らず、日銀黒田総裁にマイナス金利という異次元の金融緩和に踏み込ませ、株高を演出した。さらに2014年10月31日にGPIFのポートフォリオを変更させて、国内株式投資比率を2倍に増やした。現在ではGPIFは50兆円の国内株式を保有している。
要するに株高はアベノミクスの自作自演だった。メッキがはげれば大損がGPIFにも日銀にも出ざるを得ない。
為替変動の影響を消すために、日経平均を各月の平均円/ドル相場で割り、100倍してNYダウと比較しやすいように処理し、「(日経平均)$換算値」と表示した。一番右側に赤で表示してあるのは「NYダウ-日経平均ドル換算値」であり、その平均値は-2047である。
日経平均ドル換算値の変動幅は「17,038-11,692=5,346」あり、「NYダウ-日経平均ドル換算値」は「-3197-(-666)=-2,531」の変動幅をもつ。
この3年半で日経平均はMax20,563.15円、Min9,446.01だから変動幅は11,117.15円で円で見る限り変動幅が大きい。売買は海外の投資機関が7割を占めているので、ドル換算値で安くなれば買いが入るという構造になっている。その海外投資機関も大半が脱税の温床になっている世界各地のタックスヘイブンからのものだという。相場を乱高下させているのはそうした海外の怪しげな投資機関とアベノミクスによる異次元のマイナス金利である。
為替相場が100円/$は2013年5月だが、そのときの日経平均は13,774.54円である。その近辺のデータを見るとひとつだけ15,000円を超えているだけで、ほとんどが13,000円台である。
だから、15,000円割れは騒ぐようなことではないが、国内上場株式を大量に買い込んでしまった年金基金と日銀に巨額損失が出ることは避けられそうもない。ドルだけでなくユーロが円高になっていることも、日本株の売りを誘うことになる。
アベノミクスの負の側面である。
<日米経済成長率から見た株価の評価>
もうひとつ付け加えることがある。その国の株価が経済成長率を反映しているとすれば、マイナス成長の国の株価は低下し、プラス成長の国の株価は上がると考えてよい。2011年から年次で日米の経済成長率を並べてみたい。ネタ本は「世界経済のネタ帳」から「経済成長率の推移」である。
日本 米国
2011年 -0.03% 1.60%
2012年 1.74 2.22
2013年 1.36 1.49
2014年 -0.03 2.43
2015年 0.47 2.43
2016年 0.49 2.40
合計 4.00 12.57
平均 0.67% 2.10%
*http://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=NGDP_RPCH&c1=US&c2=JP
米国は最近6年間年平均2.10%経済成長し、日本は0.67%でほとんど成長していない。少子高齢化と人口縮小を考慮に入れると、この傾向はさらに拡大する。
経済成長率から見ると、日経平均のドル換算値はもっと下がってよいのである。2012年12月の自公政権成立とアベノミクス3年半の軌跡をみると、経済成長が見られなくなったというのが事実である。
GPIFが年金支払のために基金を取り崩す日が来る。そのときに日本株を大量にしかも毎年売りに出すことになり株式相場は下がり続けることが予測されるが、そのときの株価が1万円を割っていたら、20兆円の穴が開くのではないか。国債の暴落リスクが追い討ちをかける。日銀はいつまでも国債を買い続けられない。それがモノの道理である。
英国の離脱は2年後らしいが、それまでに入出国や貿易に関する詳細なルールつくりのための交渉がある。新たに生まれるルールがEUの未来を大きく変えることになるだろう。冷静に交渉を見守るべきだ。複数のシナリオで対応策を検討しておいたらよい。
円が高いことは日本の国力が相対的に強いということだから基本的にプラスなのである。しかし、GDPで測った国力は少子高齢化が進み人口減少が長期的に続くから、縮小せざるを得ない。マイナス成長で、一人当たりの生産力を維持できれば良い。いつまでも経済成長を追いかけないで、マイナス成長へ頭を切り替えるべきだ。
今日の日経平均が自公政権成立の3年半前からの推移を眺めたときに異常な相場かどうかを判定してみたい。
日経平均は円高になれば低下し、円安になれば上がるから、安倍総理は異次元のゼロ金利では飽き足らず、日銀黒田総裁にマイナス金利という異次元の金融緩和に踏み込ませ、株高を演出した。さらに2014年10月31日にGPIFのポートフォリオを変更させて、国内株式投資比率を2倍に増やした。現在ではGPIFは50兆円の国内株式を保有している。
要するに株高はアベノミクスの自作自演だった。メッキがはげれば大損がGPIFにも日銀にも出ざるを得ない。
為替変動の影響を消すために、日経平均を各月の平均円/ドル相場で割り、100倍してNYダウと比較しやすいように処理し、「(日経平均)$換算値」と表示した。一番右側に赤で表示してあるのは「NYダウ-日経平均ドル換算値」であり、その平均値は-2047である。
日経平均 | NYダウ | ||||
円 | ドル | 円/ドル | $換算値 | ||
2012年11月 | 9,446.01 | 13,025.58 | 80.792 | 11,692 | -1,334 |
2012年12月 | 10,395.18 | 13,104.14 | 83.5778 | 12,438 | -666 |
2013年1月 | 11,138.66 | 13,860.58 | 89.16 | 12,493 | -1,368 |
2013年2月 | 11,559.36 | 14,054.49 | 93.1661 | 12,407 | -1,647 |
2013年3月 | 12,397.91 | 14,578.54 | 94.7884 | 13,080 | -1,499 |
2013年4月 | 13,860.86 | 14,839.80 | 97.6995 | 14,187 | -653 |
2013年5月 | 13,774.54 | 15,115.57 | 101.082 | 13,627 | -1,488 |
2013年6月 | 13,677.32 | 14,909.60 | 97.3311 | 14,052 | -857 |
2013年7月 | 13,668.32 | 15,499.54 | 99.7505 | 13,703 | -1,797 |
2013年8月 | 13,388.86 | 14,810.31 | 97.87 | 13,680 | -1,130 |
2013年9月 | 14,455.80 | 15,129.67 | 99.2789 | 14,561 | -569 |
2013年10月 | 14,327.94 | 15,545.75 | 97.8214 | 14,647 | -899 |
2013年11月 | 15,661.87 | 16,086.41 | 99.7883 | 15,695 | -391 |
2013年12月 | 16,291.31 | 16,576.66 | 103.4116 | 15,754 | -823 |
2014年1月 | 14,914.53 | 15,698.85 | 103.935 | 14,350 | -1,349 |
2014年2月 | 14,841.07 | 16,321.71 | 102.1561 | 14,528 | -1,794 |
2014年3月 | 14,827.83 | 16,457.66 | 102.2725 | 14,498 | -1,959 |
2014年4月 | 14,304.11 | 16,580.84 | 102.5638 | 13,947 | -2,634 |
2014年5月 | 14,632.38 | 16,717.17 | 101.79 | 14,375 | -2,342 |
2014年6月 | 15,162.10 | 16,826.60 | 102.0524 | 14,857 | -1,969 |
2014年7月 | 15,620.77 | 16,563.30 | 102.78 | 15,198 | -1,365 |
2014年8月 | 15,424.59 | 17,098.45 | 102.9571 | 14,982 | -2,117 |
2014年9月 | 16,173.52 | 17,042.90 | 107.2442 | 15,081 | -1,962 |
2014年10月 | 16,413.76 | 17,390.52 | 108.0614 | 15,189 | -2,201 |
2014年11月 | 17,459.85 | 17,828.24 | 116.2122 | 15,024 | -2,804 |
2014年12月 | 17,450.77 | 17,823.07 | 119.3126 | 14,626 | -3,197 |
2015年1月 | 17,674.39 | 17,164.95 | 118.3078 | 14,939 | -2,226 |
2015年2月 | 18,797.94 | 18,132.70 | 118.5633 | 15,855 | -2,278 |
2015年3月 | 19,206.99 | 17,776.12 | 120.3868 | 15,954 | -1,822 |
2015年4月 | 19,520.01 | 17,840.52 | 119.5495 | 16,328 | -1,513 |
2015年5月 | 20,563.15 | 18,010.68 | 120.6894 | 17,038 | -973 |
2015年6月 | 20,235.73 | 17,619.51 | 123.7505 | 16,352 | -1,267 |
2015年7月 | 20,585.24 | 17,689.86 | 123.2433 | 16,703 | -987 |
2015年8月 | 18,890.48 | 16,528.03 | 123.2338 | 15,329 | -1,199 |
2015年9月 | 17,388.15 | 16,284.70 | 120.285 | 14,456 | -1,829 |
2015年10月 | 19,083.10 | 17,663.54 | 120.0619 | 15,894 | -1,769 |
2015年11月 | 19,747.47 | 17,719.92 | 122.5329 | 16,116 | -1,604 |
2015年12月 | 19,033.71 | 17,425.03 | 121.924 | 15,611 | -1,814 |
2016年1月 | 17,518.30 | 16,466.30 | 118.3061 | 14,808 | -1,659 |
2016年2月 | 16,026.76 | 16,516.50 | 115.0932 | 13,925 | -2,591 |
2016年3月 | 16,758.67 | 17,685.09 | 113.0705 | 14,821 | -2,864 |
2016年4月 | 16,666.05 | 17,773.64 | 109.9652 | 15,156 | -2,618 |
2016年5月 | 17,234.98 | 17,787.20 | 109.0622 | 15,803 | -1,984 |
日経平均ドル換算値の変動幅は「17,038-11,692=5,346」あり、「NYダウ-日経平均ドル換算値」は「-3197-(-666)=-2,531」の変動幅をもつ。
この3年半で日経平均はMax20,563.15円、Min9,446.01だから変動幅は11,117.15円で円で見る限り変動幅が大きい。売買は海外の投資機関が7割を占めているので、ドル換算値で安くなれば買いが入るという構造になっている。その海外投資機関も大半が脱税の温床になっている世界各地のタックスヘイブンからのものだという。相場を乱高下させているのはそうした海外の怪しげな投資機関とアベノミクスによる異次元のマイナス金利である。
為替相場が100円/$は2013年5月だが、そのときの日経平均は13,774.54円である。その近辺のデータを見るとひとつだけ15,000円を超えているだけで、ほとんどが13,000円台である。
だから、15,000円割れは騒ぐようなことではないが、国内上場株式を大量に買い込んでしまった年金基金と日銀に巨額損失が出ることは避けられそうもない。ドルだけでなくユーロが円高になっていることも、日本株の売りを誘うことになる。
アベノミクスの負の側面である。
<日米経済成長率から見た株価の評価>
もうひとつ付け加えることがある。その国の株価が経済成長率を反映しているとすれば、マイナス成長の国の株価は低下し、プラス成長の国の株価は上がると考えてよい。2011年から年次で日米の経済成長率を並べてみたい。ネタ本は「世界経済のネタ帳」から「経済成長率の推移」である。
日本 米国
2011年 -0.03% 1.60%
2012年 1.74 2.22
2013年 1.36 1.49
2014年 -0.03 2.43
2015年 0.47 2.43
2016年 0.49 2.40
合計 4.00 12.57
平均 0.67% 2.10%
*http://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=NGDP_RPCH&c1=US&c2=JP
米国は最近6年間年平均2.10%経済成長し、日本は0.67%でほとんど成長していない。少子高齢化と人口縮小を考慮に入れると、この傾向はさらに拡大する。
経済成長率から見ると、日経平均のドル換算値はもっと下がってよいのである。2012年12月の自公政権成立とアベノミクス3年半の軌跡をみると、経済成長が見られなくなったというのが事実である。
GPIFが年金支払のために基金を取り崩す日が来る。そのときに日本株を大量にしかも毎年売りに出すことになり株式相場は下がり続けることが予測されるが、そのときの株価が1万円を割っていたら、20兆円の穴が開くのではないか。国債の暴落リスクが追い討ちをかける。日銀はいつまでも国債を買い続けられない。それがモノの道理である。
2016-06-24 16:06
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