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#3085 アンガー・マネジメント効能アリ July 19, 2015 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 生徒を教えていて困ることに一つに、度の過ぎるワガママや情緒不安定がある。必要なことでも嫌なことを我慢してやることができない生徒の割合が増えているように感じている。これは学齢期前、そして小学1・2年生での家庭の躾の問題が大きい。今日はイライラや怒りを伴う情緒不安定のほうをとりあげてみたい。

 普通の人間の心の状態は汐の満ち引きのようなもので、気分が高揚したり軽い鬱(うつ)状態になったりを繰り返している。個人差が大きいのでそれが極端に出る人も中にはいるし、波の振幅が大き過ぎて時にコントロールを失ってしまう人もいる。自分ではなかなか上手に処理できずに鬱状態がひどくなる場合にはどうしたらいいのだろう。
 鬱状態になると勉強が手につかず、「自分はダメな人間です」というような自己否定的な言葉が次から次と出て押さえられない。そういう状態に陥っているときにはあきれるくらいよく出る、そして口から出た言葉は呪文のように自分の心を言葉通りの状態に絶え間なく誘導し、鬱状態は負のスパイラルに入り込んでどんどん深くなる。
 ほうっておいたら自傷行為(自分で自分を傷つけること)もしかねないし、イライラして勉強が手につくはずもない。自己否定的な言葉に縛られて、不安やイライラはいっそう募ることになる。

 だから、ときに生徒の心の状態を見て、手助けをする必要がある。イライラやイライラの爆発=怒りに対処する方法がある、アンガー・マネジメントという。怒りの原因を見つめて、それを取り除いてストレスを緩和し、怒りを上手に処理する方法である。料理法みたいなものだと思っていい。

 問題を起こしている生徒に、勉強が手につかないなら持っているスマホで「アンガー・マネジメント」というキーで検索して3つくらい読んでみたらいいよと話したら、隣で聞いていた生徒が勉強に飽きて調べだした。「あれ、先生これ面白い!」と次々に読んでいるが、当の生徒はいっこうにスマホで検索する様子を見せず、落ち込んで突っ伏している。重症だとその日はあきらめ、「暇なときに思い出したら検索していくつか読むことを勧めるよ、怒りの原因は外側にはない、自分の中になるんだから、自分で処理できる。怒りが心にわいたときにはこうやってお腹から息を全部はき切るんだ、こういう風にね」、そう言って息の吐き方の手本を見せた。長く吐く息は30秒ほど掛かるから、吐き切ったときには怒りはもう静まっている。怒りは高性能の瞬間湯沸かし器のようなもの。
 この生徒はこのところイライラが募ってお母さんと口喧嘩が頻発するようになって抑えられなかった。

 それから2日たって、明日模試があるからと補習に来た。「先生、読んでみた、そうしたらこころが軽くなった」と笑顔、明日の模試に備えて数学の過去問を解説したが、砂が水を吸い込むように吸収する。気合が入っていた。いつもなら5時間掛かるところを1.5時間でクリア、勉強には時にびっくりするほど心の問題が影響する。教室を自宅へ移して、規模を縮小してよかった。

 Anger Management
  angerはイライラや怒り、manegementは経営という意味があるが、要するにものごとを上手に処理することをいう。

 イライラしている人、怒りたくないのになぜか怒ってしまう人、自分がダメ人間だと落ち込んでいる人は、ネットサーフィンしてみたらいい。学問の分類は臨床心理学の分野に入るようだ。

 一人の生徒に効果があったので、世のため人のため、困っている中高生のために、改善事例を広く知らしめたい。

*一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ホームページ
http://www.angermanagement.co.jp/

 臨床心理学 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%A8%E5%BA%8A%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%A8%E5%BA%8A%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6

 アンガーマネジメント事例 東洋経済
http://toyokeizai.net/category/angermanagement

<余談:スマホは便利な道具>
 アンガーマネジメントなんて用語を知っても、団塊世代が高校生の頃は、岩波新書ですら取り寄せるのに1ヶ月掛かっていたから、その関係の本を読むなんて根室にいたらほとんど不可能だった。
 いまはネットで検索すれば概要を知ることができる。ネット検索に関しては地域間格差がない。
 しかし大きな書店で数冊、アンガーマネジメントに関する本を手にとって見るほうがいいに決まっている。高校を卒業して根室から出て行って、都会に住んでいる人たちは、月に一度は大きな書店へ行って、興味のあるジャンルの本を片っ端から手にとってみたらどうだろう?



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