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#3086 空間図形の三角比応用問題  July 19, 2015 [52. 数学]

 今日の根室は花火大会。彼や彼女のいない中高生も友達にあてつけられながらそれなりに楽しんだだろう(笑)。後は8月9日から始まる金刀比羅神社のお祭りまで、こころはうきうきしている。
 全国一涼しい根室もこのところ連日20度を越える「猛暑」に生徒たちは「アツイアツイ」とあえいでいる。本日の最高気温は13時の23.5度(最低気温は午前4時の13.1度)、何が暑いのかと、根室高校を卒業してから東京に35年間住んでいたわたしは、根室っ子の暑がりようにあきれてしまう。こういう生徒たちも東京の大学へ進学すれば「23.5度、超すずしい!」というようになる、根室のよさは根室を離れてみてしみじみ実感できる。
 夏勉強するには全国一快適な環境の根室だから、高校生諸君は夏休みに入ったら1日8時間以上勉強したらいい、一生の内で一日中勉強していていいなんてハッピーな時期はそう長くはない。

 「首都圏や札幌圏の高校生に学力差をつけるのはいつだ?」
 「いまでしょ!」


 さて、本題に入ろう、7月18日に根室高校では模試があった。試験を受けた帰りにニムオロ塾へ寄った生徒から数学「大問B3」の(3)の問題について質問があった。解答をざっと見たが理解できないので解説して欲しいという。
 空間の位置関係の認識センスがいい生徒なら時間内になんとか処理できる、さて時間内に正解できたセンスのよい生徒は何人いただろう?根室高校で2年生の7月にこの問題を上手に処理できるのは、0~3人だろう。
 この問題は2年生、数B受験者用の選択問題である。問題文を転載するので、高校時代に数学が好きだった方は思い出してやってみたらいかが。

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△ABCがあり、AC=3、∠ABC=45°、cos∠BAC=1/3である。
(1) sin∠BACの値を求めよ。また、辺BCの長さを求めよ。
(2) △ABCの外接円の中心をOとする。△OBCの面積を求めよ。
(3) (2)のとき、△OBCを底面とし、BP=CP=OP=BC である点Pを頂点とする四面体POBCをつくる。四面体POBCの体積を求めよ。
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 攻略の仕方を読みとってもらいたい、赤字にした部分がこの問題の攻略ポイント。だから、問題文に示された条件は、これをどう使えば正解にたどり着けるのかという視点で読もう。この種の応用問題は問題の読み方がほぼ半分のウェイトを占めている。「読み・書き・計算」で一番重要なのが読みである。大事な順番に並んでいる。

 (1)と(2)は問題ないだろう、生徒もこの2題はクリアできた、後で答えを書いておく。生徒ができなかったのは(3)の問題である。△OBCを底面として頂点Pがどういう配置になるのかが読めれば正解にたどり着ける。そこが読めなければ正解にたどり着けず、漂流してしまう。どこへ向かって漕いだらいいのかわからない。

 四面体の体積Vの計算式は簡単である。Pから△OBCの外接円への垂線の足の接点をHとすると、計算式は次のようになる。
   V=1/3・底面積・h=1/3・△OBC・PH
 これが分からない生徒は模試を受けていないだろうから、問題は△OBCの面積と四面体の高さPHである。OBCの面積は(2)で計算済みだから、PHを求めることがこの問題のポイントだと分かる

 △OBCを底面にした四面体を頭の中でイメージすると、頂点Pが底面に対して斜めに張り出すことは容易に想像がつくが、頂点Pからの垂線が△OBCの外接円のどの辺りに落ちるのかは、問題文をもう一度読み直さなければわからない。(3)の問題文にヒントがあるはずで、四面体の辺に一つだけ条件がついているからこれを使えということだ

 BP=CP=OP=BC 

 図を正確に書いてみてもいいし、この条件から読み取るのもいい。与えられた式は頂点は△OBCの各頂点から等距離にあることを表しているから、△OBCの外接円の中心に垂直にポールが立っているとイメージしてもらいたい。そうすると、外接円の円周上の任意の点からポールの一点Pに線を引いたらすべてその長さが等しくなることに気がつく。空間イメージはこれだけで十分だ。△OBCの外接円の中心をO'とすると、四面体の高さPHは、直角三角形BO'Pの辺PO'となる。
 PB=BCだから4、

 外接円の半径が少し厄介そうだ。辺BCの中点をMとすると、∠BAC=∠BOM=45°だから、
  cos∠BAC=sin∠OBC=sin45°=1/√2
 (この値は(2)の問題で、△OBCの面積計算の際に使っている) 
 あとは正弦定理で外接円の半径R'を計算すればいい。その値は9√2/4である。
 直角三角形PBO'の PB=4、BO'=R'=9√2/4から三平方の定理で辺PO'を求めると、
   PO'=√94/4

   V=1/3 ・ △OBC・PO'=√47/6

 <答え>
(1) sin∠BAC=2√2/3、 辺BC=4
(2) △OBC=√2
  (式:1/2・BC・BO・sin∠OBC=1/2・4・(3√2/2)・1/3)
(3) V=√47/6

 <参考>
分割した図を3つ描くとよい。
 ① △ABCとその外接円、そして外接円の中心OとBとCをそれぞれ線分で結ぶ
 ② △OBC、BCの中点をMとする図を描く
 ③ 直角三角形PBO'(O'=H)

 無理に四面体の立体図を描かないほうがいい。分割したほうが様子が分かりやすくなる。

  複雑な問題に遭遇したら、「第二はわたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること
    ―デカルト『方法序説』「科学の方法、四つの規則」より―

 <参考-2>
 暇つぶしに辺ABの長さを求めてみたらいい。△ABCはAB=BCの二等辺三角形になっている。△ABCは三辺が4:3:4の整数比、角度は45°、67.5°、67.5°の二等辺三角形。

*#3073 高校生の哲学への関心度 July 5, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-05-1

 #3082 利便性の追求の果てには何があるのか July 15, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-15

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*#2935 『資本論』と経済学(1):「目次」 Jan. 25, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-25

 #2936 『資本論』と経済学(2):「1.経済現象と日本の国益」 Jan. 26, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26

 #2937 『資本論』と経済学(3):「円安はいいことか?80⇒120円/$の威力」 Jan. 27, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27

 #2938 『資本論』と経済学(4) : 「経済学とは?」 Jan. 27, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27-1

 #2939 『資本論』と経済学(5) : 「『資本論』の章別編成」 Jan. 27, 2015  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27-2

 #2941 『資本論』と経済学(6) : 「マルクス著作の出版年表」 Jan. 29, 2015   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-28-1

 #2942 『資本論』と経済学(7) : 「デカルト/科学の方法四つの規則」 Jan. 29, 2015
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 #2943 『資本論』と経済学(8) : 「ユークリッド『原論」 Jan. 29, 2015   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29

 #2944 『資本論』と経済学(9) : 「何をやりつつあったかは残された文献に聞け」 Jan. 29, 2015    
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29-1

 #2945 『資本論』と経済学(10) : 「プルードン「系列の弁証法」 Jan. 29, 2015    
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 #2947 『資本論』と経済学(11) : 「労働観を時間座標系においてみる」 Jan. 29, 2015     
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29-4

  #2948 『資本論』と経済学(12) : 「学としての『資本論』体系解説」 Jan. 29, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-30

 #2950 『資本論』と経済学(13) : 「マルクスの経済学体系構成法」 Jan. 31, 2015
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 #2951 『資本論』と経済学(14) : 「マルクスの労働観と日本人の仕事観」 Jan. 31, 2015
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 #2952 『資本論』と経済学(15) : 「ヨーロッパ労働観⇔と日本の仕事観」 Feb.1, 2015
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 #2953 『資本論』と経済学(16):「仕事がキツイ!に潜む心(仕事観)の問題」 Feb.1, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01

 #2955 『資本論』と経済学(17):「要領の悪いものほど忙しいとぼやく」 Feb.3, 2015
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 #2958 『資本論』と経済学(18):「教育の職人」 Feb. 5, 2015
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 #2960 『資本論』と経済学(19):「日本経済の未来」 Feb. 6, 2015
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 #2961 『資本論』と経済学(20):「経済成長の天井 山田久氏の論」 Feb. 7, 2015
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 #2964 『資本論』と経済学(21):「過剰富裕化論」 Feb. 8, 2015 
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 #2966 『資本論』と経済学(22):「相対的貧困率上昇と富裕層増大」 Feb. 9, 2015
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 #2967 『資本論』と経済学(23):「ピケティの空想的所得再分配論」 Feb. 10, 2015
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 #2968 『資本論』と経済学(24):「浜矩子 予算案と公共性について」 Feb. 11, 2015
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 #2971 『資本論』と経済学(25):「村落共同体と税:自由民と農奴について」 Feb. 12, 2015
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 #2972 『資本論』と経済学(26):「文部科学大臣下村博文「教育再生案」について」 Feb. 13, 2015
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 #2973 『資本論』と経済学(27):「注-1~5」 Feb. 13, 2015
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 #2974 『資本論』と経済学(28):「注ー6」と主要文献リスト Feb. 14, 2015  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13-1

 #3082 『資本論』と経済学(29):利便性の追求の果てには何があるのか July 15, 2015
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<『方法序説』>

 高校生はこれくらいのレベルの本を少し背伸びしても読んで欲しい。フランスではこの本を国語のテクストに使っているそうだ。この本はサイエンス(科学)について書かれた哲学書である。デカルトは哲学者であり、数学者であり、科学者であった。
 日本にはこのような複合領域の研究者を多面的に扱える学者がすくない。構造言語学の大家であるチョムスキーもそういう分野の学者であり、彼の本の翻訳がなかなかなされないから、原書で読まざるをえない。理系と文系の境界領域あるいは両方の素養が必要な領域には重要な研究分野が多い。マルクス『資本論』もそういう領域の本である。文系の学者の目でばかり見ていたのでは、肝心要の「学の体系構造」が視野に入ってこないのである。したがって、世界の理論経済学者たちはずっと頓珍漢な議論をし続けている。その構造を明らかにし、新しい経済学の可能性に言及したのはebisuの論文が世界初。(⇒弊ブログのカテゴリー「資本論と21世紀の経済学」を参照)

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 ワイド版のほうが活字が大きくて読みやすい。

方法序説 (ワイド版岩波文庫)

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