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#2919 預金7千億円か:銀行口座開設はどういう手口で可能か? Dec.24, 2014 [8. 時事評論]

 お隣の国の話だが面白い記事が北海道新聞に載っていた。汚職や収賄で蓄えた預金7100億円の一部が邦銀にあるらしい。中国共産党指導部にの中には親日家がいるようだ。

 人間の欲望を抑えるタガの外れた「共産主義=労働者」の国では汚職のスケールが大きい。共産党幹部たちの欲望はとどまるところを知らぬ。官僚の地位にお金がついて回るのは「中国三千年の歴史」で一貫している。共産主義とは政治指導部と官僚がほしいままに振舞える政治体制らしい。わたしは45年前まで労働者の国だと大きな勘違いしていた。

 邦銀の口座開設審査は厳しい、外国人はパスポートの提示を求められる、本人確認をしなければ口座開設ができないようなシステムになっている。
 仮に口座開設ができたとしても、中国籍なら数百億円あるいは千億円もの預金は不正蓄財によるものだということが一目瞭然であるが、このとき当該邦銀はどういう行内事務手続きをすることになっているのだろう?
 大口の預金だから支店長は預金者本人と面識があるはずで、金額が大きいから本店にも業務報告がなされ、頭取も知っていたことになる。
 ebisuのいた会社は数百億円の銀行預金があったから、その辺の銀行支店や取締役支店長の対応はよくわかる。

 スイスの銀行には不正蓄財された資金が世界各国から流れ込む。当人が死ねば秘密口座の資金は銀行の所得となる。じつにうまみのある商売だ。国家ぐるみでそういうことをしている国もあるが、日本はそうではない。
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  日本の銀行では雑役雑益扱いになるがスイスの銀行はそうではないらしい。国の収入になるようなシステムあるいは会計制度になっているようだ。日本もそうすべきだろう。以下、コメント欄から転載する。ハンドルネーム時白須さんに感謝。
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スイスは相続人不確定の場合、最終的に相続財産は国家に帰属します。銀行の雑益とはなりません。
加えて言えば、スイスのプライベートバンクはjoint accountがスタンダードなので、共同名義人の誰かが資産承継するのが一般的です。
また、FATCAの施行により、秘密口座としての利用価値も薄れてきています。
by 時白須 (2014-12-25 22:35) 
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 この記事にある令氏の場合は、中国籍なのでFATCAの対象外である。FATCAは米国籍の人が海外で新規に口座開設するときに適用になる。
 休眠口座は雑益算入されるが、相続人がいない場合の口座の扱いは日本も国の収入となることを時白須さんが二つ目のコメントで教えてくれた。
 もうひとつ追加情報があった。FATCAと似たような規制「国外財産調書制度」が今年から日本で実施されているという。
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 ではどのようなからくりで預金口座を作り、そのままばれずに預金し続けることができたのか、新聞やテレビ報道で知ることはできるのだろうか?

 わたしはその手口に興味がある。
 財務省金融庁は預金口座がつくられていた銀行にどのような指導をするのだろう?

12月24日北海道新聞4面
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預金7千億円か
  
令氏一家
【香港共同】香港紙、東方日報は23日、重大な規律違反の疑いで調査を受けて中国国政助言機関、人民政治協商会議(政協)の令計画副主席の一家には計370億元(約7100億円)の預金があるほか、京都に邸宅も所有していると報じた。
 同紙によると、令氏の一家は、日本とシンガポールの銀行に口座を預金している。また京都には、令氏の妻が2軒の邸宅を所有しているという。
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 いろいろな考え方がありうる。
①不在蓄財だろうがなんだろうが、お金はお金と割り切る。
②不正蓄財がばれたら中国当局から返還要求が出るから、受け入れない
③うまみが大きいから、取り扱いはグレイのままにしておく

 さて、あなたの判断ではどれを選ぶ?

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コメント 7

時白須

>スイスの銀行には不正蓄財された資金が世界各国から流れ込む。当人が死ねば秘密口座の資金は銀行の所得となる。じつにうまみのある商売だ。

スイスは相続人不確定の場合、最終的に相続財産は国家に帰属します。銀行の雑益とはなりません。
加えて言えば、スイスのプライベートバンクはjoint accountがスタンダードなので、共同名義人の誰かが資産承継するのが一般的です。
また、FATCAの施行により、秘密口座としての利用価値も薄れてきています。
by 時白須 (2014-12-25 22:35) 

時白須

相続人不確定→相続人不存在の誤りでした。

中国高官等の不正蓄財ですが、この北海道新聞の記事の内容では、預金先が邦銀なのか、外銀の日本支店なのかよくわかりませんし、SPCなどを隠れ蓑にした法人名義の口座なのか、令氏の個人名義なのかどうか。預金額は7,100億のうちいくらなのか、単なる生活口座に過ぎないのか、普通預金なのか信託や運用商品に姿を変えているのか、様々な疑問が出てきます。

少なくとも中国は外為管理規制が物凄く厳しいので、どのように国外へ資金を還流させたのかが気になりますね。
昨年のキプロスショック以降、ビットコインを利用した海外への資金移動取引が中国人の間で流行りましたが、今はどうなんだろう。

by 時白須 (2014-12-25 22:58) 

ebisu

時白須さん

スイスの銀行は雑役扱いにはできないのですか。国の財産になる。では秘密口座を国が知りえているということか銀行のほうからの通知のどちらかですね。前者はありそうもないから、後者ということですか。
スイスの銀行家は正直者が多いということ。どうもそういう善意に頼ることは考えにくいので、スイスには何か特別な監査制度あるいは監査手続きでもあるのでしょうか?

ジョイントアカウントがスタンダードとは初耳でした。ずいぶん日本と事情が違うのですね。
日本では雑役処理されて銀行の収入になっていますが、財源不足なのですからヨーロッパ並みに国の収入にすればいいと思いますが、できないのでしょうね。

FATCAは、たとえば邦銀が新規口座開設者に対して米国籍であるか否かについての質問書類に口座開設者が答える形式になっているようです。「自己申告」の類ですね。

今回の中国籍の令氏は邦銀に預金口座を開設してもFATCA対象外ではないのでしょうか?
スイスの銀行で口座開設をしても同じことだではないでしょうか。

そうしてみると、スイス銀行に秘密口座を開くことは、米国籍の人間には米国当局へ通知されるのでうまみがないとは言えるようですね。
口座開設者の自己申告の真偽については口座を開設する銀行側にはおそらくなんらかの審査義務とそれを担保する何かがあるのでしょうね。
わたしにはわからないことだらけです。

時白須さんのお陰で、ジョイントアカウントやFATCAの二つについて新しい知識を得ることができました。ありがとうございます。

事実と違っているところは本文に注記を入れておきます。
by ebisu (2014-12-25 23:16) 

元根室人

はじめまして。

ebizuさんの疑問にダイレクトに対応する回答にはならないかもしれませんが、日本の銀行の場合、犯罪による収益の移転防止に関する法律により、取引時に様々な確認がなされる体制になっています。
各種照会や確認をすることで、少しでも後ろめたい考えがある人が銀行と取引することの抑止力となっているのでしょうね。

ご参考URL
https://www.zenginkyo.or.jp/service/procedure/document/

https://www.zenginkyo.or.jp/topic/hansyuuhou/


なお、銀行への指導は財務省ではなく金融庁かと思います。
by 元根室人 (2014-12-25 23:33) 

ebisu

元根室人さん

なるほど決められたルールはあるのですね。
女房が某大手都市銀行に数年間勤務していたことがあるもので、新規口座開設は審査が厳しいのになぜ、令氏が簡単に口座を開き巨額のお金を預金できたのかという疑問を口にしたので、弊ブログでとりあげました。

邦銀への預金額がいくらかは新聞記事には載っていませんが、数百億円から千億円を超える金額が流れたとすると、いろいろなルールをスルーする理由がわかりません、
海外支店の支店長が功をあせっても、巨額の預金はすぐに本店の目につくし、内部監査もあるし外部監査もある、金融庁の監査だってあるでしょう。

ファイアーウォールのような何重にもなったバリアーがいとも簡単に破られたのは、どこかに抜け穴があるからでしょう。
わたしはそこのところが知りたいのです。

でも、お客様対応マニュアルのような犯罪による資金のマネーロンダリング防止用の口座開設ルールはお示しの二つのURLで知ることができました。ありがとうございます。

銀行の監督は財務省ではなく、、金融庁でしたね、これはわたしの間違いです、重ねて御礼申し上げます。
by ebisu (2014-12-26 00:41) 

時白須

>スイスの銀行は雑役扱いにはできないのですか。国の財産になる。
>日本では雑役処理されて銀行の収入になっていますが、財源不足なのですからヨーロッパ並みに国の収入にすればいいと思いますが、できないのでしょうね。


日本でも同じです。休眠口座の雑益編入と勘違いされていませんか?日本においても民法959条のとおり、特別縁故者への財産分与がされた後もなお残余財産がある場合、相続人不存在が確定し、残余財産は国庫に帰属します。銀行は雑益編入できません。


>今回の中国籍の令氏は邦銀に預金口座を開設してもFATCA対象外ではないのでしょうか?

はい、令氏はFATCA対象外です。スイスのプライベートバンクにおける秘匿性の現状について、FATCAの施行によってその秘匿性も薄れてきているという点を述べたつもりですが、今後の流れとしては、米国人の非居住者を対象とするだけではなく、各国間で自国の非居住者の口座情報を共有する方向で進んでいます。ちなみに日本ではFATCAと類似する制度として、今年から国外財産調書制度が施行されています。

by 時白須 (2014-12-27 17:29) 

ebisu

時白須さん

丁寧な説明、おかげさまでわたしの考え違いがよくわかりますた。
おっしゃるように

>休眠口座の雑益編入と勘違いされていませんか?

その通りです、休眠口座の雑益編入と同じになると思っていました。
昔は財産隠しのために他人名義での預金がありましたから、実質の預金者が亡くなれば、口座は休眠口座となるわけで、そうなれば雑益編入される、そのように考えていました。

他人名義の隠し口座はいまは開設しにくくなっています。
他人名義の隠し口座でない限り、名義人が亡くなり相続人がいない場合には国庫収入となる、そういうことですね。

>ちなみに日本ではFATCAと類似する制度として、今年から国外財産調書制度が施行されています。

法的規制はどんどん進化しているのですね。
勉強になりました。m(_ _)m
by ebisu (2014-12-27 23:37) 

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