#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
EXCELでデータを計算してわが目を疑った、そして見直したが偏差値はかわらない。
<中学校・14支庁管内別・科目別偏差値内訳表>
表-4 | |||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
全道 | 48.9 | 44.6 | 44.6 | 49.1 | 187.3 | 46.8 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 200.0 | 50.0 | |
<道内14支庁管内別偏差値内訳とランキング> | |||||||
支庁名 | 国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | |
1 | 石狩 | 54.6 | 54.1 | 50.3 | 57.0 | 216.1 | 54.0 |
2 | 上川 | 53.9 | 49.8 | 48.8 | 53.6 | 206.2 | 51.5 |
3 | 十勝 | 46.5 | 41.2 | 46.2 | 48.8 | 182.6 | 45.7 |
4 | 留萌 | 49.6 | 40.3 | 41.6 | 46.4 | 177.8 | 44.5 |
5 | 胆振 | 45.8 | 40.3 | 40.8 | 40.8 | 167.8 | 41.9 |
6 | 釧路 | 49.6 | 35.0 | 43.5 | 38.8 | 166.9 | 41.7 |
7 | 渡島 | 42.7 | 35.5 | 37.8 | 40.2 | 156.2 | 39.0 |
8 | 空知 | 40.2 | 31.2 | 39.7 | 43.9 | 155.1 | 38.8 |
9 | オホーツク | 43.3 | 35.0 | 35.9 | 38.4 | 152.7 | 38.2 |
10 | 檜山 | 47.1 | 32.7 | 32.8 | 38.1 | 150.7 | 37.7 |
11 | 後志 | 34.6 | 27.4 | 33.6 | 35.0 | 130.6 | 32.6 |
12 | 根室 | 32.1 | 21.2 | 28.7 | 34.0 | 115.9 | 29.0 |
13 | 宗谷 | 41.5 | 23.6 | 18.4 | 25.0 | 108.5 | 27.1 |
14 | 日高 | 25.2 | 23.6 | 27.5 | 29.5 | 105.8 | 26.5 |
■ 北海道教育委員会が掲げている全国平均超を達成しているのは石狩と上川管内の二つのみ、全国平均の偏差値50かた遠く隔たっている偏差値40以下の8支庁は目標達成のためにどのような具体的な政策を実施するのだろう?
まずは、2013年度の計画と実績をよく対比して、市教委が作成した具体的な計画案のどこがまずかったのか、原因を突き止めるべきだろう。客観的な数値によるPDCAサイクルをおろそかにしていたらいつまでたっても全国平均を超えられない。
■ データを計算してみて驚いた。札幌市が全校参加すると全道平均正答率がハネ上がるようだ。どういうことかというと、全道平均正答率を使った「全道偏差値」が46.8なのに対して、14支庁管内の各管内別偏差値の単純平均値が39.2であるからだ。正答率の高い札幌市のウェートが大きいから、全道正答率は前回よりも著しく上昇している。
都道府県別偏差値では前年度は37位だが、札幌市が全校参加した今年は33位に浮上しているのは札幌市が強制全校参加だったからだ。
■ 言い換えると、札幌市が全校参加しない学力テストでは北海道全体の子どもたちの学力を判断することができないということ。
■ 札幌市の人口は185.6万人、石狩支庁管内の人口は234万人(平成10年度)、北海道の人口は550.7万人(平成10年度国勢調査)だから、石狩管内は42.5%を占めている。札幌市は全道人口の33.7%を占めている。札幌が1/3しか参加しないと123万人分が抜ける。中3の生徒の割合も似たようなものと考えていいだろう。学力の高いおおよそ22.5%が抜けてしまえば、データは使いものにならない。
■ 昨年度、14支庁管内で偏差値40を切ったのは、宗谷・日高・後志の3支庁のみだったが、今年は8支庁ある。北海道の子どもたちの学力がさらに下がりつつあるのだろうか、それとも他の都道府県でも高学力の地域が抜けていたところがあったのだろうか? ⇒不明
やはり毎年全数調査を実施してもらわないと年度ごとの比較ができなくなるので困る。
■ 学力の低い4支庁管内に共通しているのは国語Aと国語Bの偏差値が低いこと、とくに国語Bが最低ランクの4支庁管内は全部偏差値が30以下である。
偏差値30は百校中98番目である。全国的に見ても日高・宗谷・根室・後志の3支庁は最低レベルである。根室管内は99番目に相当する。
*#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22
<根室はどうだったのか?>
表-5 | |||||||
<偏差値データ> | |||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
根室市 | 40.2 | 25.5 | 32.5 | 36.7 | 134.9 | 33.7 | |
根室管内 | 32.1 | 21.2 | 28.7 | 34.0 | 115.9 | 29.0 | |
全道 | 48.9 | 44.6 | 44.6 | 49.1 | 187.3 | 46.8 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 200.0 | 50.0 | |
*全国平均値は都道府県別データから算出した値を使用した |
■ 昨年の根室管内の偏差値は41.4で、今年は29に下がったように見えているが、札幌市が参加することで全道平均値が大幅に上がったことが影響している。迷惑だ、札幌市が30%ほどしか参加しない年度があると経年変化が追えない。
■ 札幌市が全校参加していなかった昨年度は全道偏差値が「真の全道偏差値」よりも低かったから、それと比べて「全道平均との差が縮まった」という根室市教委の分析は「悪い冗談」である。事実は根室の子どもたちの学力低下は進行しているということ。中学生の偏差値は昨年に比べて著しく下がっっている。悔しくてならないが、偏差値29というのが根室管内の実力ベースだ。教えていてもそういう実感がある。昨年度は14支庁管内中9番目、今年は12番目だから学力が低下したのは事実だろう。
■ 根室市の偏差値は根室管内平均よりも高いのは事実だが、それで浮かれてはいられぬ、高いといっても百校中95番目に相当するのだから、全国レベルでは最底辺に属する。偏差値33.7の大学を想定してみたらいい、そんな大学には生徒が集まらないし、学歴にならない。学力がないことの証明になってしまう。いいかい、それほど学力の低い地域に転勤族が小中学生の子どもを連れて喜んでくると思う?連れて来たお父さんお母さんも困り抜いているはずだ。もちろん爺さん婆さんが札幌に住んでいるなら、こどもを置いて赴任するだろう。
根室管内と釧路管内の科目別前年対比データは次のようになっている。
<根室管内対前年比較> | |||||||
順位 | 年度 | 国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 |
12 | 2014 | 32.1 | 21.2 | 28.7 | 34.0 | 115.9 | 29.0 |
9 | 2013 | 41.6 | 45.3 | 38.0 | 40.8 | 165.7 | 41.4 |
<釧路管内対前年比較> | |||||||
順位 | 年度 | 国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 |
6 | 2014 | 49.6 | 35.0 | 43.5 | 38.8 | 166.9 | 41.7 |
9 | 2013 | 42.8 | 45.6 | 34.4 | 39.9 | 162.7 | 40.7 |
*#2492 (1) 根室管内版解説 : RC-1と偏差値 難易度の高い問題を授業でやるべし Nov. 13, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-12
■ 根室管内は昨年と比べて偏差値が12.4も下がった、二桁減少した支庁は根室支庁管内以外にない。根室管内の中3の学力は全道一の下がり方をしている。
■ 根室管内は昨年41.4から、今年29.0へ大幅に低下した。たまたま「不作」の年なのかどうかは不明である。根室市内はC中学校がほぼ全国平均で、B中学校がそれに近い成績であったと思われる。文武両道を言う先生たちが増えつつあるし、放課後補習も増えている、授業の進捗管理も昨年から格段によくなったから、市街化地域の3中学校は底上げがなされつつあると考えていいのだろう。
それでも根室市内全校で33.7という偏差値は全国平均の50には程遠い。全国模試で偏差値33.7の生徒が偏差値50の大学に入学したいと言ったら、進路指導室の先生は笑うだろう。根室高校普通科学年120人中115番の生徒が偏差値50の大学に進学を希望するのと同じだから。
でもね、あきらめてはいけない、正答率の絶対的な差はそれほど大きくない。集団で正答率を1割アップすれば全国平均に肉薄し、2割アップすれば全国平均を凌駕できる。要するに適切なプログラムをつくってやればいいだけのことだ。市街化地域のC中学校が実例を見せてくれた。
■ 昨年度のデータでは、全国平均と根室管内平均の正答数の差は4科目合計でたったの3.5問に過ぎない。根室管内正答数平均値56.7問(93問中)、全国平均正答数60.2問である。このようなわずかの差でも教育行政が適切なバックアップをしない限り、根室管内平均値は全国平均には届かない。どの市町村のどの学校のどの科目という風に限定できないと適切な対応ができない。それにしても各市町村教委は学校別・科目別のデータをもっているのだろうから、学校別・科目別に適切な対策を支持できるはずである。それをしないあるいはできないのは職務怠慢であろう。
■ 課題はハッキリしている。国語Bの偏差値が25.5と極端に低いのは読み・書きのスキルに大きな問題のあることを意味している。中3で読み・書きスキルが小4以下の生徒が20~30%くらいいそうだ。分数や小数の四則計算技能が身についていない生徒も30%くらいいるだろう。「読み・書き・計算」トレーニング量が不足している。
躾や小学校教育に大きな問題のあることを中学校の学力テストデータが示している。
■ 根室市教委はこの偏差値データをみてどう思うのだろう?
昨年度の全国学力テスト結果に根室市教委の課長職の「全道平均との差が縮まった(=学力が上がった)」というコメントが北海道新聞に載っていたが、昨年は全数調査ではなく札幌市の中学生の2/3が参加していなかったから、全道平均値が真の平均よりも低かっただけの話、あのときも弊ブログで根室市教委批判を載せたが、その通りだったことが2014年度全数調査による学力テストでハッキリした。
昨年度の『~結果評価報告書』には「結果についての点検がなされていない」という意見がつけられていたが、根室市教委はどのように改善したのだろう?
根室市教委は2014年度の学力テストが偏差値33.7で全国平均50との格差がさらに広がったのだから、学力向上のための教育施策について客観的な数値データで点検をすべきだろう。
仕事はひたすら正直に誠実にやればよい。
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■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
#2485 (小・中対比) 2013年度
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2890 H26全国学力テストデータ分析(5):偏差値の仕組み解説 Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1
#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1
#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2
#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1
#2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20
*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13
偏差値で見ると、恐ろしい結果が見えてきますね。
SS20台などとは、言葉を失いそうになります…。
by ZAPPER (2014-11-28 11:01)
ZAPPERさん
こんにちは、いいお天気です。釧路の朝はマイナスの気温のようですが、根室はまだプラスです。
>偏差値で見ると、恐ろしい結果が見えてきますね。
>SS20台などとは、言葉を失いそうになります…。
根室管内のデータを見て、ワークシートのどこかに間違いがあるのではないかとあわててチェックしましたが、ありませんでした。
根室管内の偏差値が29.0、悲惨です。箸にも棒にもかからないほどひどいことは、偏差値を見慣れている人にはすぐにわかるでしょう。
根室市内は33.7ですが、これもひどい。市内も管内も目くそと鼻くそぐらいの違いしかない。
偏差値はわかりやすいですね。わたしも結果に驚いています。
7-9月期のGDPが大方の予想がプラス2%だったのが、マイナス1.6%になったのと同じくらいに驚いています。
根室管内では学力のスタグフレーションが進行しているようです。
by ebisu (2014-11-28 11:47)